たまご料理は希望の味
「え。。本当に海斗さんと潤さんなの」
「そうだよ。心配してたんだ。瑠璃ちゃんがこの世界でちゃんとご飯を食べられているか?料理は家庭科の調理実習でやったぐらいって言ってたし。俺達はある程度の料理の経験があるから、食材が違っても何とか元の世界の食事に似せる事はできたけど」
家ではお母さんが全部やってくれていたから、本当に調理実習でしかやったことない。調理実習でもお米を洗ってと言われて洗剤を入れようとして、クラスメートに止められた。
「とりあえず、もう会議の時間が迫っているから、出勤しないと。今日のお昼は俺が瑠璃ちゃんじゃなくて、ルルちゃんのも作るから。夕ご飯は練習ついでにここで食べればいいから」
「お弁当助かります、でもその上夕ご飯まではカイルード団長に迷惑じゃないですか?」
「2人分も3人分も同じだから大丈夫だよ。あと俺のことも役職じゃなくて、カイルードって呼んで?」カイルード様がニコッと笑ってる。
「仕事以外の時でしたら。。。」
「うわー熊がニヤついてる」とジョナサン様も。。。やっぱり他の人も熊さんって思ってたんだな。
こちらの熊は前世と同じなのかな?
私は家に戻って制服に着替えてから出勤した。本日は予算を決定し、ジョナサン様が事務官長としてOKを出せば終わりだ。
王宮から騎士団に割り当てられた予算を各騎士団に分配するのはなかなか骨が折れる。1番武器や防具を消耗するのは第三騎士団だが、田舎なので生活費は安い、第一騎士団は全くその反対だ。
今回はカイルード様が新しい第三騎士団の団長を助けつつ、第二騎士団の予算も決めたので、第一騎士団長は残りを貰えて満足そうだった。
後は私がそれを書類にまとめ、ジョナサン様が数字を全て確認して署名する。
お昼は少しすぎてしまったが、これでお昼後に集まる必要がなくなったので予定より早い。
「ルルさん、すみませんがカイルード団長と第二騎士団の前回の繰越し分について話し合いたいので、事務官長室に案内してあげてくれませんか?私は第一騎士団長と第三騎士団長に写しを渡してから行きます」
「かしこまりました、ジョナサン様、カイルード団長、こちらへどうぞ」
事務官長室は私の働いている会計課の部屋の奥にある、カイルード様を案内してから、お茶を入れに行く。
「ルルー、会議は終わった?一緒に食堂に行く?」と同僚が声をかけてくれるが、
「後、ちょっと予算書をまとめなきゃいけないから、お昼はずらして取るので気にしないで行ってきて」というと頑張ってねと言って去って行った。
ちょっと罪悪感がある。
お茶を持って戻ると、カイルード様がお弁当を広げていた。
「ルルちゃん、お茶ありがとう。飲み物はあの変な色とかじゃなくてよかったよな」
そう飲み物はまあ変なのもあるが、紅茶とかコーヒーは普通にあるのだ。
「今日のお弁当はなんですか?」と
ワクワクしながら聞く。
カイルード様は大袈裟な動きでお弁当の蓋をとる。
「お嬢様、本日のランチはこちらです」
ぱかっと開けたお弁当箱の中は、たまごサンドイッチとお肉が挟まったサンドイッチだった。
「わーーたまごサンド大好きなんです、これは何のお肉ですか?」
「鶏肉にそっくりな味なんだけど、サンドリザードって爬虫類。卵も鶏卵と同じなんだけど、真っ青でちょっと細長い」
あ、それって昨日の卵だ。あれは正解だったんだ。次はちゃんと食べよう。
「この世界の食べ物って、前の世界のものと似てるけど全然味が違ったり、見たことがないものが意外な物と同じ味とかあるから、ひたすら試してみるしかないんだ。初めは苦労したよ」
その時ジョナサン様が部屋に入ってきた。
「悪い待たせたな。お、今日はサンドイッチか」
私はジョナサン様にもお茶を入れて、みんなで食べ始める。
「「美味しいー」」私とジョナサン様がそういうと、カイルード様は嬉しそうだ。
「このパンってパン屋さんで売ってないですよね」
「これはジョナサンが焼いているんだよ」
「え?このお店のよりすごいパンを自宅で?」
「あいつは料理学校時代から発酵オタクでね。自然酵母パンとかを元々作っていたんだよ。で。。こっちでも作り始めたんだって。でもそれだけじゃないんだよ、1番すごいのは。。。」
その時ドアがノックされた。
「ジョナサン様、すみません。ルルさんの仕事は終わりましたか?彼女に聞きたいとこがあるんですが」
「は!はい、すぐに行きます」
私は片付けをしようとお皿を手に取ろうとしたら、カイルード様が私の手を握った。
「ひ!」
「あ!ルルちゃんごめん。。片付けは俺たちでするから、仕事に行って」
「は!はい。ありがとうございます」
私はそのまま部屋の外に出た。
「ルル?どうしたの顔が真っ赤よ。ランチは食べた?あ!もしかしてカイルード団長のお弁当見たの?大丈夫?気分は悪くない?」
「いえ、ちょっとびっくりしただけで。。。」
私は何も考えずに言ってしまった。
手を握られた事にびっくりしただけで、お弁当の事ではなかったのに、そのまま話が伝わってしまった。
就業後にジョナサン様の家に来た私は、カイルード様に頭を下げた。
「本当に申し訳ございません。。。。」
「ルルちゃんは気にするな、もともとそういう噂はあったし」
私は会計課でカイルード様のランチを見て、私の気分が悪くなったという噂が流れていたと言う話を帰る時に聞いた。
「まあまあ、落ち込まないで、今夜は卵料理だよ。さっき帰りに追加で卵を買ってきたんだ」
机の上には昨日の青の細長い卵がある。見た目で食欲がゴリゴリ削られる。
「よくこれを食べようと思いましたね。私は怖くて割れなかったです」
「これはね。。まだ他の卵に比べたら、全然マシだったから。。。」
「そうだな、レッドバードの卵とかやばかったな」
2人とも遠い目になってる。これは聞いちゃいけないやつだ。
「そして。。これが俺が国境近くにいた時に見つけた物。王都でも少ないけど手に入らない事はない」
カイルード様はそう言って、黄色のトゲトゲしたドリアンの様なものを机に置いた。
そしてナイフで一刀両断した。
「おい、カイルード、机が割れるだろう、気をつけろ」
実の中は何かつぶつぶした物がぎっしり詰まってる。
「国境地域ではこれは家畜の餌で熟したら他の物になるんだが、でも触ってごらん」
私は恐る恐るつぶつぶしたものを触ると。。形は違うけどこの感触。
「お米ですか?これ?」
「そうなんだよ、米っぽいと思って炊いてみたら、本当に米っぽくなって、俺はこれを見つけた時、ジョナサンについ伝令を送ってしまったんだ」
それ、戦闘時とかの緊急用ですよね。
「これはお湯で茹でるだけでいいんだ、お水は2倍量だよ」
そう言いながらカイルード様はお鍋の用意をする。
「ルルちゃんは卵を割って、ボウルに入れてね」
青の卵から黄色の黄身が出てきた時はちょっとホッとした。
カイルード様は炊けたご飯に味付けをして、赤いものを入れている。
「これも木の実なんだけど、絞って砂糖と一緒に煮詰めるとケチャップぽくなるだ」
ケチャップライスにオムレツを作って、真ん中に切れ目を入れると、レストランのオムライスみたいなのができた。
「オムライスにも感動ですが、このオムレツの技術の方が感動的です。TVで見た洋食店のオムライスと一緒」
「よく親父の手伝いをしていたからね。洋食屋の鉄板メニューだから」
「「「いただきまーす」」」
私はパクッとオムライスを口に入れる。
「うーーーー、美味しい!!もう、この卵と米もどきがあればこの世界で生きていける気がします」
中のケチャップライスもすごく美味しい。
そんな私をみるカイルード様の眼差しは優しかった。
途中でルルとカイルードの名前を色々変えたので、ちょっとごっちゃになっていて直しました。名前をつけるの難しいです。




