分からない感情に名前をつけて
同性での性的な接触描写がありますので、苦手な方はご注意下さい。
(一之瀬視点)
人を好きになる、という事が分からなかった。
良い奴とかいうのは分かる。
恋だとか愛だとかいうのが分からなかった。
だから、告白されたとしても断って来た。
だけど、あの日。
佐山に好きだと告げられた時。
同性だとか色々理由付けはできたのに、何故か「恋や愛が分からないから、応えられネー」と素直に答えた。
佐山は俺を抱きしめてきた。
「俺にこうされるの、嫌か?」
「…落ち着かないけど、嫌じゃねー」
「じゃあ」
軽く、唇を押し当てるだけの軽いキスをされた。
驚き以外の感情で少しだけ心臓が跳ねたのに、驚いた。
「嫌か?」
「イヤじゃ、ない、けど、なんか、変」
「そう、か…悪かっ「佐山!」お、おう」
「この感情が分かるまで、お前が俺の部屋に来たり、俺に触れたりキスしたりするのは許容する。」
「…えっと、じゃあ世間一般でいう『お付き合いしてる仲』つう認識していいんだな?」
「キスしていいのは恋人か夫婦って関係だろうから、そうなるな。」
「よっしゃあ!!」
佐山との関係は、ゆったりと進んでいた。
普段はお互いの生活を優先してる。
放課後や休日は一緒に過ごすのが増えた。
手を繋いだり、ハグしたり、触れ合ったり、キスも何度もした。
佐山とのキスは妙な感じがする。
「アレ?いないのか?」
部屋に行く約束だったから来たのに姿が見えない。
耳をすますと、寝室から音がした。
そっと近づき、ドアを開けると姿が見えた。
「っ、一之瀬…ハァ」
俺の名を呼び、慰める佐山から目が離せない。
震える手で口元を押さえて、そっとドアから離れる。
使っていいと言われている客間に逃げ込み、へたり込んだ。
佐山は、俺の事、好きなんだから、エッチだってしたい、よな。
佐山が、キス以上してこないし、男女じゃないから忘れてた。
いや、キス以上をしないのは、俺がキスまでならしていいと言ったから、我慢してくれてたんだろう。
ドクドクと鳴る心臓と荒れる息が煩い。
「どうしたら、いいんだ…」
あまりの衝撃に、項垂れた。
(佐山視点)
休日。一之瀬が来る日。
好意に疎いアイツも可愛いと思うし、何か感じて俺と過ごす事を決めてくれたのは嬉しい。ただ、俺は性的な意味も含めて好きなので、辛い。
「にしても、遅いな」
電話をかけてみると、家の中から聞こえた。
「!?」
まさか、アレ見られたとか無いよな!?
慌てて音のする方へ行くと、使っていいと言っている客間だった。
「い、一之瀬?いるのか?」
ノックするが反応ない。
そっと開けると、開いた。
開けた先には、床に座り込んだ一之瀬の姿。
慌てて駆け寄れば泣きそうに潤んだ瞳で見上げられて、心臓が苦しくなった。
「ど、どうした!?」
「朝以外で、急にこんな風になるの、初めてで、ジッとしてても、治まらないし」
そういい示す先は、膨らんだズボン。
は?色恋っか、性欲とも無縁な生活してたのか…!?
「わ、わかった、とりあえず立てるか?」
「無理っ」
「わかった、ほら、おいで。」
俺は一ノ瀬をなんとか抱えあげて、ベッドに下ろしてやる。
「自分で触って出せば楽になるから、な?」
「…どう、やって?」
「えっ、いや、普通に…って、したこと無いのか!?」
「…して」
「え?」
「俺に触るの、いや?」
「イヤじゃないけど、その」
「佐山の、好きにして、いいから…たすけてっ」
認識を改めた。
こいつにとっては、初めてのあり得ない事態なんだよな。
「わかった。怖くなったら言えよ?」
いつものように、優しく抱きしめてキスをする。
さて。
舌を使ったディープなキスはどう反応するかな?
重ねた唇の間から舌先で、唇を開けるよう促す。おずおずと開く唇を割り口腔に侵入。舌をからめとる。
「んっ!チュ、んぅ、ふっ」
びっくりしつつも受け入れてくれた。
必死に息継ぎしてるのが可愛い。
口腔を弄びながら、手は服を脱がしにかかる。ベッドに押し倒して、ズボンを剥ぎ取れば一之瀬少し慌てたが、残念、逃がさないぜ?
硬くなったそこを優しく包むように握る。
ピクンと身体が大きく跳ねた。
「あっ!」
「怖いなら抱きついていいからな?」
そっと優しく擦ってやれば、一之瀬は息を詰めた。
「っ、んっ」
「気持ちいか?」
「わか、なっ、いっ」
真っ赤になって、半泣きで喘ぐ姿に支配欲と庇護欲がわく。
俺のもガチガチだ。
身体を震わせて絶頂を迎えた一之瀬を抱きしめる。
「…さやまっ」
「あー可愛い。もう、大好き。愛してる」
「…俺も。佐山が、好き」
「へっ!?」
「佐山になら、体、触られても、大丈夫だし、気持ちいい…」
「一之瀬!」
ギュッと抱きしめると抱き返してくれた。
「…佐山?改めて、恋人として、よろしくね?」




