雲上の花嫁
白銀の月が輝く夜
湖の浅瀬に立ったイリリアは
胸に咲いた薄紫色の痣を月光に晒しながら、希った(こいねがった)。
誰か、どうか……来て。
失意と諦観の只中、現れたのは銀にも輝く白い髪を持つ美丈夫。
その胸に咲いた花印が、我が花嫁の証。
嬉しそうに告げた美麗な男性は、雲の上に住むとされる幻の種族、竜人族の王子。
天上で、共に暮らそう。
これはひとりの少女が
神秘の宿る遥か高い霊峰の頂きに至り、苦難の末に幸せになるための物語。
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「竜」は和風の竜をイメージしています。
表記は「龍」ではなく、「竜」で統一しています。
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作中に流血表現あるいは暴力的な表現が出てくることから、R15表記&残酷表現ありとしています。
後々、主人公が負傷する描写も出てきますのでご注意ください。