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第二話 スモーク

「来年導入予定の子育て支援金制度について

石山総理は、深刻化する少子化を止める為、

広く国民に理解を求めると……」


 美沙は朝のニュースをチェックしながら

また同じような事言ってるなあと思っていた。

 以前から美沙は疑問に思う事があった。


 少子化対策は1994年からもう30年以上も続けて

一度も結果を出せてない

子育て世帯に支援し続けて結果が出ないなら

何故独身世帯に支援しないのだろう


 そういえばワイドショーのコメンテーターの意見や

討論番組でもそんな議論を聞いた事が無い

皆に話してみようと思いながら出社した。


 昼休み。同僚達といつも通り4人でランチを楽しむ。

美沙は率直に聞いてみた


美沙「ねえ少子化対策ってさ、前から子育て世帯にばっかり

   支援してるでしょ?あれっておかしくない?」

社員A「え、何で?」

美沙「だって保育園とか出産とか、

   もう子供がいる世帯に支援しても全然出生率回復して無いでしょ?

   だったら子供がいない独身に支援したら良くない?」

社員B「独身をどう支援するの?」

美沙「例えば、エステ代とか婚活の費用とかを国が支援しても

   いいんじゃない?

   1人生んでる人達に2人目を産ませるんじゃなくて

   今子供0人の人達に1人目を産ませても子供増えるでしょ?」

社員C「え~そんなの今まで前例がないじゃん」

美沙「ならやってみれば良くない?それに

   戦後は集団お見合いとかやってたんだよ?

   少子化が国難って言うなら今がそれやる時じゃない?」


社員A「なら美沙がやってみたら?」

社員B「お?いいね、ついに政界進出かな?」

テーブルは笑いに包まれ、真剣な話をする空気を流された。

 美沙はさすがに空気を読んでこの話題は捨てる事にした。


 ランチも終わり皆でくつろいでた時、隣の社員A子が言った。

社員A「え?何これ?」

美沙「どうしたの?」

 A子はスマホで見てた、Zのトレンドワードランキングの画面を

美沙に見せた その画面には


『15位 #日本国民安楽死計画』


美沙「日本国民安楽死計画?何これ私も知らないんだけど」

社員A「なんか怖くない?」

美沙「なんかあれじゃない?信じるか信じないかは貴方次第的な」

 平静を装っていたが美沙はこのキーワードに不気味さを感じた。

そして自分達の気づかない場所で何かがうごめいてるような、

そんな言い表せない感情を覚えたのだった。



その夜

「美少女戦隊ブレザースター!星に代わって、懲らしめちゃうわよ!」

 美沙は幼少期に好きだったアニメ

ブレザースターのコスプレを楽しんでいた。

たまにコスプレをして部屋をうろついたり自撮りしたりするのが

美沙の趣味だった。

「何か気分アガって来たからZに愚痴っちゃうわよ!」

 美沙はZに投稿した。


『なんで子育て世帯にばっかり税金使うんだろう

独身世帯にも税金使わないと不公平じゃない?

既婚者達に2人目産ませるんじゃなくて

独身達に1人目産ませても少子化対策になるわよ!』


と投稿した。

 天井の電気のひもをブレザースタースティックで 

つんつんしてた時スマホにDMの通知が来た。

(ん?もしかして……)

DMを見てみるとまた昨夜の男、スモークからだった。


『公平な目線を持っているな』


(褒めてるつもりか?このストーカーめ!)

美沙が無視しようと思ったその時

 リリリ…… 突然着信が来た

「ワア!!」美沙は声を出して驚いた。

未登録の見知らぬ番号 美沙は応答拒否した。

 スマホにDMの通知がまた来た。見てみるとスモークから


『電話に出てくれないか』


と、あった。

美沙は怖かった。だがこの時は逃げたい・忘れたいという

気持ちより、こいつの件を終わらせたい・こいつにキレたい

という気持ちの方が強かった。美沙はさっきの番号に掛けた。


プルル…

スモーク「内崎美沙か?」

美沙「あなた何で私の番号知ってるの?」

スモーク「すまないが調べさせてもらった。

     この方が話が早いんだ。判ってくれ」

美沙「わかってくれじゃ無いわよ!個人情報保護に反してますよ!

   こんな事してたら懲らしめちゃうわよ!

   じゃなくて、警察呼びますよ!(ヤバッ)」

スモーク「?……本当にすまなかった。話を聞いてくれないか?」

美沙「何?何がしたいの?」

スモーク「あんた編集長にネタをボツにされたんだよな?」

美沙「え?うん、そうだけど」

スモーク「その編集長が怪しい。

     そいつの会話を盗聴して来て欲しいんだ」

美沙「は?盗聴!?何言ってんの?何で私がそんな事?」

スモーク「俺達は協力関係になれると思うんだ。

     あんたもスクープが欲しいんじゃないか?」

美沙「スクープ?まあ、確かに。でも急に言われても」

スモーク「詳しくは会って話そう。今から会えるか?

     俺も姿を見せたいんだ。会いたい。」

美沙「え?……」

 美沙は男からガッツリ会いたいと言われるのは久しぶりだった。

美沙「わ、わかったわよ~そこまで言うなら

   可哀そうだから会ってあげる。でも変な事したら

   すぐ大声出すからね!」

スモーク「問題ない。助かる。」


 美沙はスモークに指定された待ち合わせ場所へと向かった。

(ヤバヤバヤバ!)

の、前にブレザースターのコスプレだった事に気付き、

慌てて私服に着替えた。


つづく

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