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最終話 す き

「ニュースをお伝えします。

某企業のチョコレートのCMに仕込まれていた

サブリミナルの事件について、

警視庁は国内のハッカーが単独で行った事で、

企業は関与していないと発表しました。

また、今回のCM以外にもサブリミナルが仕込まれてる

可能性があるとして、引き続き調査を続けるとの事です」




「最近SNS等で話題になっている

#日本国民安楽死計画というキーワードに関する騒動について

警視庁が会見を行いました。

警視庁サイバー犯罪対策課は会見で、数名の単独テロリスト、

いわゆるローンウルフ達が行っている、

印象操作による見えないテロ行為である可能性が高いと

発表しました。

今後はネット上での、故意に男女の仲を悪くするような

コメントなどに対して、

刑事処罰も視野に入れて厳しく監視していくとしています」




「今日石山総理は記者達の質問に対し、

女性だけでなく男性の差別にも対策をすると答えました。

総理は首相官邸で、男性への差別や偏見で苦しむ人達へ向けた

専門の相談所の設置や法整備を実施していくと述べました。


また少子化対策として、

これまでの子育て世帯への支援だけでは無く、

単身世帯への支援として、出会いの場やイベント、

国営の結婚相談所やマッチングアプリなど、

男女が出会い、愛を育むきっかけや、

それを支える社会全体の価値観を作っていく事にも

力を入れていくとの事です」




「内崎容疑者が起こした

アカツキテレビでの電波ジャック騒動から

今日で1週間になりました。

この騒動に対しSNS上では容疑者を称賛する意見や、

疑問視する意見、様々な意見が浮上しています。

内崎容疑者は依然として逃亡を続けており、

行方はわかっていません」




 美沙はスモークの部屋に居た。

黒いスーツ上下に白いシャツ、薄めのメイクで

髪はシニヨンにまとめ、清楚な身だしなみだった。


 美沙は電話を掛けた。


美沙「もしもし、Sさんですか?」

S「ああ」

美沙「そっちはどんな感じですか?」

S「今はな、ネット上での誹謗中傷を見つけて

  自動で削除するプログラムを作ってるよ。

  これが出来たら男女の悪口や喧嘩も減ると思うよ」

美沙「有難うございます。では、

   私とのあの時の取引、守ってくれたんですね?」

S「ああ、有難う。インスタントのライブの動画見たよ。

  俺に出来る形で少子化を止める事、

  やってみるよ。今Zで仲間を集めてる所だ。

  同調してくれる人も増えて来てるよ」

美沙「ご協力感謝します。では、これで」

S「いや、待ってくれ。

  俺につぐないの機会を与えてくれて、

  ありがとう……」

美沙「こちらこそ……では、これで失礼します」


 事務用椅子に座ってるスモークが

くるっと回り美沙へ振り向く。


スモーク「Sを味方につけるとはな。凄いじゃないか」

美沙「へへへー、凄いでしょ。

   編集長にボツ喰らったネタも

   インスタントライブで流してやったもんね」

 美沙はスモークのそばに寄り添い、

二人は窓の外を眺めながら話す。


美沙「……ねえ、私、今から自首しに行くんだよ?

   寂しくないの?」

スモーク「……寂しくないよ」

美沙「あなたらしいね。


   ねえ、スモークがさあ、

   憎しみはウイルスみたいなもんだって言ったの

   覚えてる?」

スモーク「ああ、覚えてるよ」

美沙「私がワクチンになるって言ったの

   覚えてる?」

スモーク「ああ、言ってたな」

美沙「私、ワクチンになれたかな?少子化止めたかな?」

スモーク「それはこの先になったら判るんじゃね?」


美沙「……ねえ、あの時のインスタントの

   ライブ配信聞いてた?」

スモーク「ああ、Sとの取引を果たしたよな」

美沙「違うよー!そのあと!

   好きなら好きって伝えてって言ったのよ」

スモーク「ああ、言ってたな」

美沙「皆に言っといて、自分は何もしないなんて、

   説得力無いでしょ?だから私も言うね」


 美沙はスモークの手を取り、引き上げて

スモークを椅子から立たせる。

二人は見つめあう。


美沙「・・・す・・・き・・・」


 スモークは無言でうなずき、美沙に微笑みかけた。

美沙は顎を上げ、瞳を閉じた。


二人はキスを交わした。


 二人だけの部屋で、お互いの思いを確かめるように、

見せあうように、渡しあうように、

二人は甘くとろけるようなキスに身を委ねた。


「…………」

美沙は瞳を開き、スモークと見つめ合い

その存在を全身で感じるように抱き合った。

美沙はスモークの鼓動の音を左耳で確かめて、

窓の外を眺めながら話す。


美沙「……ねえ、私が自首して、罪をつぐなって

   戻ってくるまで待っててくれる?」

スモーク「ああ、待ってるよ。ずっと」

美沙「ホント?絶対よ?」

スモーク「ああ、絶対だ」


美沙「ねえ、私達、やっていけるかな?」

スモーク「ああ、俺達、いや、

     この国は、やっていけるよ」

美沙「…………うん」




少子化ブラックボックス ―日本国民安楽死計画―


あとがき


産まれてくるはずだった人を産まれないようにするなら、

そして人が死ぬ事も産まれない事も、

生きるはずだった命が消えると言う目線では同じ結果だとするなら、

少子化も核ミサイルもウイルス兵器も同じではないか


そう思った時にこの物語を書こうと思いました。


それと、この国の少子化対策は、

何故子育てにばかり注目して、

何故未婚の人達に注目しないのだろう

何故男と女が出会い、惹かれ合い、愛し合う事に

目を向けないのだろう


その思いを物語に込めました。


この国の、人々の難題を振り払う力は、お金ではなく、

主人公の美沙が叫んだように、人を愛する事だと、

それを形にする事が本作のテーマでした。


最後までお読み頂き有難うございました。

皆さんのハートに何かが刺されば幸いです。


良ければ高評価やブックマークしていただければ嬉しいです。


今後も誰も考えつかないような物語を書こうと思います。

応援よろしくお願いします それでは。



この物語はフィクションです。

実在の人物や団体等とは関係ありません


今のところは……


ゼロイチ

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