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第十三話 ライブ配信

【場面は戻って】

3月〇日 取材当日


美沙「待って!!」

Sは立ち止まり振り向いた。

美沙「……私、あなたの力になれるかも知れないんです!」


S「どういう事だ?」

美沙「実は、あなたの言ってる、父親が中々親権を取れない問題、

   私、以前から取材して

   番組で放送したいと思ってたんです」

S「……嘘つけ」

美沙「まあ、信じてもらえないでしょうけど、

   でも、取引しませんか?

   私、少子化を止めたいんです!

   それで、この親権のネタ

   編集長からボツにされちゃったんですけど、

   でも私に出来るやり方でこの事実を世間に流したら、

   あなたのように苦しんでる人が沢山居るって事を

   世間に伝える事が出来たら、

   あなたも少子化を止める事に協力してくれませんか?

   あなたのハッカーのスキルを、この国の未来の為に

   使ってくれませんか?」

S「どうやって伝えるんだ?ボツになったんだろ?」

美沙「それは、まだ決めてないんですが……」

S「バカバカしい。俺はもう帰るぞ!」


・・・・・・・・・・


 美沙はあの日の事、公園でのSとの取材の日の事を

思い出していた。

(放送は止められた もうこれしか無い)

そう思い美沙はインスタントのライブ配信を始めた。

 美沙のフォロワー数は10万人以上いた。

ましてやたった今電波ジャックを起こした張本人が

ライブ配信してるとなれば相当な注目が集まるだろう。

メッセージを世間に伝え、広めるには

十分な環境が揃っていた。


 美沙はスマホのカメラに向かって話し始めた。


美沙「……ええっと、みんな見てる?

   私はアカツキテレビ報道記者の

   内崎美沙です。

   たった今電波ジャックを起こしました。

   皆さんに伝えたい事があります。 


   私が取材した、サブリミナルを仕込んだ人は、

   妻の子供へのDVが原因で離婚したのに

   親権を取れませんでした。

   それがきっかけで日本を恨んで今回の計画を起こしました。

   同様に日本中に苦しんでる、

   でも伝え方がわからない人が沢山います。

   会社を首になった人、

   受験に失敗した人、

   宗教に家族を壊された人、

   皆ローンウルフになっちゃいました。

   彼らを捕まえても何も解決しません。

   彼らは苦しんでるんです。助けて欲しいんです!


   皆さんお願いです……

   あの人達の苦しみを聞いてあげて!そして苦しむ人が

   増えない社会を作って!お願い……」


 美沙はこのSの親権のネタに何故ここまで執着するのか

自分でも分からなかった。

自分が特集しようとして編集長からボツを喰らった

悔しさからの報道記者としての意地なのか、

Sとの取引を成立させる為か、

苦しんでるローンウルフ達を助ける為か、

もう美沙自身にも分かってなかった。

 だが美沙は伝えた。

自分の為、Sの為、苦しんでる人達の為、

そしてもしかしたら、この国の未来の為、

 

 美沙は報道記者として、真実を伝えた。


 スモークが通話で美沙のライブ配信を聞きながら

暗視ゴーグルを被って停電の局内を走り続ける。

美沙は何言ってるんだと思いながらも

今美沙に話しかけたら邪魔になると思い

黙ったまま、美沙が居るトイレへと走り続けた。


 美沙は更に配信を続ける。

美沙「……それと、もう一つ。

   好きな人はいますか?会いたい人はいますか?

   この日本国民安楽死計画は

   男女の仲を悪くする事が計画の根幹になってます。

   だから……みんなもうケンカはやめて!

   好きなら好きって伝えて!

   憎しみはウイルスのような物なの!

   人を愛する事が、このウイルスに勝つワクチンになるの!

   ハ!誰か来る」


 そう言うと美沙は配信を止めた。

その時 コツ コツ と、

人の足音が迫って来ていた。


つづく

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