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第十二話 逃走

美沙「これが!日本の少子化ブラックボックスの!

   真相です!!!!!」

 

 そう言った直後、テレビ画面が切り替わり

しばらくお待ち下さい の画面になった。

スマホのテレビ機能で放送を見ていたスモークは

すぐさま通話で美沙に伝えた。

「始まった!しばらくお待ち下さいになったぞ!」


それを片耳ヘッドセットで聞いた美沙は

ためらう事無くスタジオの外へと逃げ出した。

「おい内崎!待て!」とフロアディレクターを含め

スタッフ達が美沙を止めようと駆け寄ってきた。

 美沙は計画通りポケットから

フラッシュライトを取り出し、「皆ゴメン!」

と言ってフラッシュライトを光らせた。

 強烈な光をまともに浴びてスタッフ達は全員

眩しさで目を開けられず、その場にうずくまった。

その効果は動きを止めると言う目的では

十分な結果だった。


 美沙はその隙に一気にスタジオを走り抜け

廊下へと飛び出し、全速力で走り続けた。

(ハア、ハア、所定のトイレ、所定のトイレ!)

美沙は止まらず夢中で走り続けたが、

やはりスタッフ達が追いかけて来た。

 美沙は作戦会議の夜のスモークの忠告を思い出した。

(いいか、このカラースモークは

追手が一方向から来てる時に使うと効果が高い。

廊下で追われてる時に使うのが一番いいだろうな)

美沙は今が一番好機だと思い

カラースモークにライターで火をつけ

走りながら3個一気に廊下で後ろへ投げ捨てた。

煙が一気に廊下に充満した。煙の向こう側は完全に見えない。

追手からは美沙の姿は全く見えなくなっていた。

(やっぱアイツすげーな)と思いながら

美沙は階段室から下の階へ走り続けた。


(ハア、ハア、計画通り!行ける!)

美沙は全力で走り続ける。

階段室に美沙の息づかいと靴音が響き渡る。

(ハア、ハア、速く、急がないと!)

美沙は走る。脇目も振らずに走る。

階段室を飛び出し、下の階のトイレへ走る。

(ハア、ハア、所定のトイレ、あともう少し!)

下の階にはまだ騒動が伝わってない様子だった。

美沙が走ってる姿も周りから見れば

ただトイレが我慢出来ない人にしか見えなかった。

美沙は無我夢中で走り、所定のトイレへ入り込んだ。


念の為事前に使用禁止と張り紙を張っていた個室に

急いで入り込み、美沙は片耳ヘッドセットでスモークに伝えた。

美沙「入った!!ちゃんと計画通り、所定の個室に入ったわ!」

スモーク「よし!始めるぞ!」


スモークがそういった直後、停電が起こった。

テレビ局内は一気に闇に包まれ、美沙を探すなど

到底不可能になった。


スモーク「今から侵入する。待ってろ!」

 スモークはテレビ局内へ走り出した。


美沙「わかった。私ね、まだやらないといけない事があるの。

   インスタントライブするね」

スモーク「何?こんな時に何やってんだ!?」

美沙「お願い黙ってて!まだ残ってるの。

   私にしか出来ない事が……」


 美沙はスマホを取り出し、

画像投稿SNSのインスタントにログインした。


つづく

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