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第6章 体育祭と絵師たち

主人公たちは二年生になりました。

彼らの学校は一応進学校ですので、体育祭や文化祭などの大きな行事をぎゅぎゅーっと一年間の早めの時期に詰め込んで、受験のある三年生への負担を軽減するというスタイルです。

いろいろ調べてみましたが、一般に公立の進学校でもそこはさまざま。夏休み明けに文化祭開催が一番多いように感じましたが、稀に夏期休暇前にぶっ込んでくるところがなきにしもあらず。三年生の引退も文化祭終わってからって学校もあれば、四月には二年生に引き継ぎをして全面的に引退って学校もあるようで。意外にいろんなパターンがあるみたい。

というわけで、作中の高校にまじで特定のモデルはありません。地方も漠然とこの辺というイメージはありますが全く現実には即していないので、かなり実際の地勢からはぼやかしてあります。いくつかの土地のイメージのキメラみたいな感じで書いてます。

そういうわけで何となく、東京から離れた海辺の地域なんだなー、くらいの認識で読んでいただけたら。方言も文化も設定しませんでしたので、どこでもあり得るしどこでもない。と考えて大丈夫です。よろしくです。


「あ、笹谷ちゃーん。…こっちこっち」

まだ五月だっていうのにじりじりするほど日差しが強い。

もっとも、年間で一番紫外線が強い時季は今時分、五月あたりだって確か聞いたことがあるような気が。だとしたら尚さら、こんな遮るものもない校庭でじりじりと日光に炙られながら放課後作業をしなきゃならないなんて。正気の沙汰ではないのでは…。

しかしどの集団がうちのクラスの連中か、やや遅れて校舎から出てきたわたしには到底見分けられそうもない。

仕方なく校庭の端のそこここに固まってるジャージ姿の生徒の集団をしばし遠巻きに眺めていると、あっという間に先方に気づかれて立ち上がった生徒に名前を呼ばれた。

身長や体格からして男子だ。ここから顔ははっきりと見えないけど、その声の感じと呼び方からしておそらくあれは今年からまた同じクラスになってしまった例の陽キャ、同中の秋山だろう。

走ってそっちへ近づく気になれず、軽く頷いてわかった。と合図を返してからとぼとぼとグラウンドを横断しつつ、わたしは彼らには気づかれないようこっそりその場でごく小さなため息をついた。

どうしてこんなことになったんだ。

…あれから半年あまり。わたしたちは皆無事進級して2年生になった。それ自体は全然問題ない。けど、去年の今頃考えてたのとはまるで違う高校生活になりつつある、気が。

わたしは三年間、ごくごく目立たず何者にもならず静かに音もなくこの学校を卒業するつもりだったのに。

結果的にいうと入学当時は所属する気もなかった美術部に籍を置き(ほとんどそっちには出てないから辞めようかとも思ったけど。わざわざ退部するほどのことじゃないじゃん、文化祭のときに作品展示してもらえるくらいで他になんも負担ないよ?と名越に強めに引き留められて。結局今でもそのままだ)、大河原先生の絵画教室に相変わらず通っている。

そのこと自体に不満はない。この半年でだいぶ基礎も身について画力は格段に上がった気がする、我ながら。身近に自分より遥かに巧い同級生が常にそこにいるからどうやっても慢心のしようがないけど。

それでも、正しく基本に沿った描き方を習う前のわたしの絵、今改めて見るといろいろと気になるなぁ。直せたら直したい…とちょっとむずむずするくらいには違いがわかるようになった。

うっかりそんな感想をこないだぽろっと漏らしたら、

「え、直す必要ないよ。あれはあれでそのままでいいじゃん。もちろん今の笹谷の絵の方が格段に巧いし、表現の幅もイメージも広がって絶対に見てて楽しいよ?けど昔の絵は逆に、もうああいうテイストでは描けないだろ。プロ作家のアマチュア時代というか。巨匠の子どものときの絵みたいなもんで、むしろ今となっては貴重な作品じゃない?」

と畳みかけるように懇々と名越に諭されてしまった。いや、本当に過去の作品を上から塗り潰しまでして手を加えたい。とはさすがに考えてないってば。…けどさぁ。

「てことはやっぱわたしの絵、昔の方があんたは好きってこと?下手に小賢しく小手先の技術が身についたから。以前みたいな素人っぽい素朴な良さはなくなっちゃったなとか内心では思ってるとか…」

別にそれならそれで、正直に言ってくれていいよ。と肩をすくめて描きかけのキャンバスに向き直ると、彼はいやぁまさか。とわたしの素っ気ない突き放した物言いが大して堪えた風でもなく明るく笑って否定した。

「やあそりゃ、今の方が断然いいよ。そもそも大体、笹谷ならもっと上のレベルで戦えると考えて教室で習うのを勧めたのは俺なんだしさ。今は想像してた以上の成長ぶりが窺えて、こんな嬉しいことはないよ。不満なんてあるわけない」

けど、それはそれとして。あの頃のちょっとぎこちない独特の癖のある描きっぷりもまた、味わい深いじゃん。と他人事のくせにしみじみ実感した様子で感極まって呟いてる。

「つまりさ。俺はどっちも好き、中学の頃のあんたの絵や美術部で最初に描いた油絵も、最近ここで仕上げたあの猫の絵ももちろん。どんどん描き慣れて洗練されて、世界が豊かになってくのがわかるから見てて心の底からわくわくするけど、デッサン?構図?何それみたいな昔の趣味全開の原液な作品もいいよ。修正したり捨てたりせずにどっちも末長く大切にして欲しいなぁ…」

何なら、要らない昔の絵が家に溢れてるならとりあえず俺が預かっといてもいいよ?うちの実家ならいっぱいスペースあるし、とか言ってきらきらと目を輝かせてる。やっぱこいつ、わたしの絵への執着ぶりに限ると一種の変態だ。

そんな風に、変わらずわたしに何とか少しでも多くの絵を描かせようとするわけのわからない男との謎の攻防は続いてる。

2年に進級するときはうっかりこいつと同じクラスになっちゃったらどうしよう。今でも特に親しい仲の友達以外は微妙に不審げな顔つきで遠巻きにわたしたちのことを見てるのに。同じ教室で今みたいに人目を気にせず何かと絡まれてたら普段から目立ってしょうがないだろう。

新しいクラスで変に浮くのはごめんだと戦々恐々としていたが、ありがたいことにわたしは4組であいつは6組。充分に離れてはいないが1年のときよりは教室ひとつ分余計に距離が開いた。それだけでもまあよしとしないと、と胸を撫で下ろしたものだ。…だった、んだけど。

とてとて、と小幅な歩調で近寄って行くと、わたしよりひと足先に校庭に出てるねと言ってさっき教室を先に出ていったクラ子(本名倉橋美夜子。去年に引き続き、今年もわたしと同じクラス)が秋山たちに混じってこちらに向けて手を振ってきた。

「お、来た来た。笹谷、お疲れ様。どう、原画は。完成した?」

「うん。…一応、叩き台として。3パターン用意してきたけど…」

みんながこれでぴんと来ないようならまた描き直してくるから。と付け加えてとりあえず線画で描いた立て看の原案を三枚ぱらりと広げて見せた。

その場にいた同じクラスの応援団員とその他大勢の野次馬たちが我先に手を伸ばして、えー見せて見せて。とわたしの手からその紙をもぎ取ろうとする。

わあわあとはしゃぎまくるその子たちを、まあ落ち着けって。順番でいいだろ、と秋山が抑えてその場を仕切ろうとする。

「見たらどんどん次へ回して。…ふぅん、やっぱ巧いな笹谷ちゃん。さすが、名越が一目置いてるだけあるね。そういえば中学んときのうちのブロックの応援旗も確か笹谷ちゃん担当してたよな。あのときの鴨葱、俺めっちゃ好きだったんだよなぁ」

「何それめちゃ受ける。何で体育祭の応援の絵が『カモネギ』なん?」

ふつー龍とか大鷲とかだろ。とこれは長谷川くん、彼については去年美術室にいるときに名越に会いに来たのを覚えてる。あのときは単に知り合いの知り合いってだけの間柄だったからもう二度と会話する機会もないかと思って存在を忘れていたが、今年の四月からはクラスメイトだ。

とまあこんな感じで、やけに同じ教室に名越と仲のいい陽キャタイプの連中が多い。それだけなら別にどうってことないはずなのだが、問題は。

「え、だってさ。中学んときの俺たちのクラス、なんかよその組に較べると陸上部とか少なくてさ。俺が一番脚が速いくらいだったって言えば推して知るべしだろ?…まあつまり、この感じだとどう転んでも俺たち他のブロックの養分だよな。っていうあえての、自虐的な意図でさ…」

「何だそれ。ふざけてんなぁ、最初から勝つ気ゼロだろ」

呆れたような長谷川くんの突っ込みに、その場にいる皆が一斉にどっと笑う。何なのまじで。…この空気感、何?

秋山はまるで堪えた風もなく(てか、むしろ受けた!とでも言いたげなどや顔で)全体を見回し、それから意外にやや穏やかな眼差しをわたしの方にと向けた。

「…まあ、テーマを選んだ俺らはそんな風に半ばふざけてたんだけど。それを受けてデザインしてくれた笹谷ちゃんの仕事がなんていうかプロでさ。ただの鴨と葱の絵なのにめちゃくちゃかっこよくそれっぽくしてくれて…。俺たちみんな、出来上がりを見ておおっとなったもんよ。あれはよかったなぁ。一見して体育祭の応援旗に相応しい、力強い雄々しい絵柄なのに。一拍置いてよく考えると、ん?鴨葱ってもしかして、あの諺の?ってなるずらしの塩梅がなんかセンスあって」

「何それ、お洒落じゃん。あたしも見たかった。笹谷、スマホに写真とか残ってないの?」

すっかり陽キャの集団に馴染みまくったクラ子がうきうきした声でわたしに問いかける。と、ここぞとばかりに得意げな顔で秋山が勿体ぶった態度でポケットから自分のスマホを取り出す。

「あ、俺。今でも保存してるし。中学んときは当然スマホ禁止だったから、観に来た親に頼んで撮って転送してもらったんだよね。…ほら、すごくね?俺なんか機会あるごとにこれ、いろんな人に見せて回ってるな…。確かだいぶ前に、名越にも見せた記憶あるわ」

「何それ。笹谷、直に自分で見せればいいのに。あんたってば名越くんとは普通に仲いいんだから」

「うーん…、わたし、スマホにこの看板の写真保存してないから…」

クラ子に呆れた声で突っ込まれ、わたしはまともに相手にするのも面倒になり適当に返事を濁して済ませた。そこにまあまあ、と秋山が物分かりの良さそうな顔して割って入ってフォローする。

「俺があいつにこの写真送ったの結構前だもん。それにまあ、さっきも言ったけど。当時中坊だしスマホは学校に持ってきてないから、わざわざ家族とかから画像もらわなきゃアルバムに入ってないのはしょうがないよ」

「てことは秋山、よほど気に入ってたんだな。でも気持ちわかるわ、これすごいいいね。…なんか、普通だったかな今回のうちの組のアイデア。鯉の滝上りとか、体育祭の立て看としては結構ありがち?」

まだ名前を覚えてない今年から同じクラスの男子がちょっと不安げに呟く。長谷川くんがすかさず横から話の流れに口を挟んできた。

「だいじょぶ、笹谷ちゃんならどんな題材でもばっちりかっこよく決めてくれるから。…てか、この図案いいな。体育祭の立て看っていう勇ましい感じとは違うけど。なんか洒落乙じゃね?」

「あ、わたしもそれ。すごいいいな〜と思った!」

「どっちかってーと凝ったポスターデザインっぽいけどな。自分ちの部屋の壁に飾っても良さげな感じ」

みんながわたしの出したデザイン案を代わる代わる手に取り、ああでもないこうでもないと侃侃諤諤検討し始めた。

とりあえず、三案出したうちで特にどれを選んでほしい。というほどのこだわりもないのでここであえて割って入る意思はわたしにはない。意見を求められでもしたらそのとき発言すればいいや。とやけに楽しそうなリア充高校生たちの集団を目の前にして、わたしは再びこっそり内心でため息をついた。

…クラス替えと同時に思ってたのと違う方向にわたしの高校生活が変化したのは、間違いなく名越のせいだと思う。

一年生のときのわたしは、なんか隣のクラスのハイスペック男子に何かと構われてるよくわからない陰キャ女子。ってくらいのポジションだったと思うのだが、2年に進級した途端に名越と仲のいい数人の連中と同じクラスになってしまったのがよくなかった。

別に彼が友達に何か言ったわけじゃなかったと思う。あの子をよろしくとか仲良くしてやってくれとか。そんな気を回すタマじゃないし、そもそもわたしと名越の繋がりは美術に関する部分だけだ。それ以外の面では彼はわたしに関心がないと思う。

だけど、周りはそう見ないってこと。

彼らは半年前から名越とよくいるわたしをすっかり見知ってたから、当たり前のようにこちらを自分たちの仲間とみなした。教室や校舎で顔を合わせると、よ。笹谷さんとか、おっ笹谷ちゃんじゃーんとか。気軽に声をかけてくる。

秋山なんか、中学んときは同じクラスでも全然わたしに関わろうとしなかったのに。とここまで態度が豹変するとさすがにちょっと複雑な気持ちになる。

団地の幼馴染みの連中がわたしに気さくに話しかけてくる横にいても会話に混じらず、何となく視線も外して遠巻きにしてた記憶。まあこっちは愛想もないしぶっきらぼうだし、可愛くもないしで。中学生男子としてはあえて接点を持ちたいと願うようなクラスメイトでなかったのは重々承知だけど。

これが名越みたいないかにもイケてる系男子と友達だとなると、打って変わってこの手のひらの返しよう。…まあね、一応お互い顔見知りのはずなのに同じ教室内にいる相手をあえて無視し続けるなんて。気づまりだから普通に接してくれた方がこっちも気が楽ではあるけどさ。

だからと言って一転、いきなり仲間内認定、俺たち友達だよな?って態度で遇して欲しいわけじゃない。普通に当たり障りない範囲の関係性で充分なんだが…。

それだけ名越がこの連中から一目置かれてるんだってことはわたしにもわかる。

この図柄をこの看板にこうやって貼るんでしょ?そうするとここで三分割?そうだよほらここに線引いてあるじゃん。そうするとこれをこのサイズの紙に引き伸ばして写すのかぁ、結構大変。それも考慮して図案を選ばないとねー、と楽しげにわいわい盛り上がってるジャージ姿のクラスメイトをぼんやり眺めながら頭ではあれこれと関係のないことを考えていた。

人は誰と付き合ってるか、交友関係で価値を測られるもんなんだってのはおそらく厳然たる事実なんだろう。みんなから憧れられる、敬意を払われるような人物と仲が良ければ自動的にこちらも重く扱われるし。集団の視界から外れるような者同士でつるんでいれば存在感は限りなくゼロだ。

去年のわたしは文句なく後者で、別に教室の中に居場所がないわけでも周囲から空気のように無視されてたわけでもないけど、いくつかに分かれたグループのひとつに属しててその中で一番目立たず周りと積極的に関わろうともしないやつでしかなかった。

なのにクラス替えした途端この周囲からの扱いの変わりよう。わたし自身は正直何一つ変わってないのに、何とも言えず居心地悪いというか。背中がむずむずする。

「…あ、笹谷としてはさ。正直どれが一番描きやすい?このサイズの絵を拡大してこう、この看板に貼り付けるわけだから。…やっぱりシンプルな図案の方が楽かな」

ずっと黙ってみんなを見てるわたしに気づいてか、水を得た魚のように生き生きしたクラ子が振り向いてこちらに声をかけて輪の中に入れようとする。

「いやまあ、どれでもそんな変わんないよ。純粋に見映えがしそうとか。ぱっと見で目立ちそうとかそういう基準で決めてもらえれば」

「えーそうか。迫力あるのはこれだと思うけど。でも、個性があって独創的なのはこっちじゃんね?なんか、運動会の立て看って概念から外してきてるっていうかさ」

「クラちゃん運動会じゃないよ、体育祭。小学生じゃないんだからさ」

ぱっと目立つ感じの華やかな容姿の女の子がすかさず横から突っ込むと、その場にいるみんながわっと一斉に笑った。今のテンションなら箸が転んでもスプーンが飛んでも笑うだろう。と考えながら内心はおくびにも出さず首を縮める。

1年のときからの付き合いの友人であるこのクラ子は自然な成り行きで、いつも一緒に行動してるわたしとまとめてクラスの中心メンバーに組み込まれたけど。まるでそんなの当たり前みたいに即、すんなりとそのポジションに馴染んだ。

てか、そもそもこの子ってこれまでどこに行っても集団の真ん中にいるのが当然ってキャラだったんじゃないのかな。と外側から彼女を眺めて密かにそう思う。

すらりと高い身長と整った美形な顔立ち、これ見よがしじゃない洗練された均整の取れたスタイル。逆に去年みたいに教室の端っこで気の置けない数人の仲間とゆるく寛いでる方が例外だったのかも。本人はそれはそれで楽しそうだったが。

秋山や長谷川くんたち、賑やかで声も大きくていかにもクラスの一軍男子って感じの人たちに囲まれてちやほやされてる状態の方が本来の姿に近いのかもしれない。

本人もだけど、周りの子たちもクラ子が中心で笑ったり目を見張って驚いたり、大きな声で発言してるのを当然と受け止めてる様子で微笑ましく見守ってる。きっと中学まではずっとどこ行ってもこんなポジションだったんだろうな。違和感がなさすぎる。

けどわたしはそんな風にはなれそうもない。今この場に集まってるクラスの中心グループの皆も、わたしのことをクラ子と同じように自分たちの身内の人間として分け隔てなく扱ってくれるが。

本来そもそもこういうタイプの人たちとつるむような性格でもないんだよなぁ、と日が経つにつれ慣れるどころか逆にひしひしと感じ入ることが多い。

それでも普段は気さくに声をかけられたり何かと構われたりするのに適当に合わせてればそれで済むけど、よりによってこういう絵を描くようなイベントだと。否も応もなく引きずり出されてクラスの連中の真ん中に立たされてしまう…。

今日皆がやってる作業を一応解説すると、校庭の端の普段はほとんど使われてない倉庫に2年生の各クラスの代表者がぞろぞろと押しかけて、各々のブロックの看板を一年ぶりに引っ張り出しているところ。3年生はもう受験が控えてるので、体育祭本番はともかく応援の準備は毎年2年生が主体になるのだ。

木の板で造られた看板本体は毎年使い回しで、模造紙に描かれた絵をそこに貼る。体育祭が終わると絵を引っ剥がされて倉庫に戻されてそのまま放っぽらかしだから、一年ぶりに取り出して一応壊れてないかチェックして直せる部分は直す。そしてついでにサイズを測って紙の大きさを決め、そこにどんな絵を描くか図案を考える。という作業がどのクラスでも今日あたりから一斉に始まってるわけだ。

「…じゃあ、多数決の結果このC案に決定。ちょっと体育祭の立て看としては冒険してるというか、個性的な構図だけど。それがいいよね」

「絶対目立つよこれ。笹谷ちゃんなら絶対、かっこよく仕上げてくれると期待して…。俺は絵心ないからなぁ。あんま、手助けできることもなくて。残念だけど」

ちょっと、そっちのメジャーの端押さえて。と指示してる長谷川くんが、自信なげにそう述懐して肩をすぼめる男の子の方を向いて突っ込む。

「いや、そりゃ絵を描くのは笹谷さんとか何人かの画力ある人たちに任せるけど。俺たち下手っぴにも出来る仕事は山ほどあるから。看板に合わせたサイズの紙を用意して、大まかな下絵を写したら。ざっとバックの色を塗るとかは絵心なくても出来るじゃん。笹谷さん、仕上げは当然頼むけど。他に俺らに出来そうなことあったらじゃんじゃん教えてよ。遠慮しないでね」

「あ、うん。…それはお願いする、もちろん」

いい人たちではあるんだよね。ただちょっとウェイ系のノリが合わないだけで。

ただし秋山お前にはちょっと言いたいことないでもないぜ、中学んときと今の態度の差があり過ぎる件とかな。と内心で考えつつ今日のところはそのくらいでとりあえず解散、と相なった。

みんなで協力してぞろぞろと再び、確認が終わった素の立て看を倉庫の中の所定の場所へと片付ける。こことここ、ちょっと裏側から補修しないとやばいよ。いよいよ本体ぼろくなってんな、何年前から使ってんだろうなこれ。などと話し合ってる男の子たちを置いてごった返す狭い倉庫から先に出ていくと、向こうから同じように看板をしまいに来た6組の集団と鉢合わせた。

「…あ」

「よ」

我ながらどっちに対して反応したのかわからん。目の前に名越、その少し後ろあたりの別の集団の中に吉村がいる。

二人とも知り合いだから自然と声が出てしまったが、双方ともほぼ同時にわたしに気づいたようでそれぞれ目線をこっちに向けた。

名越は至極当たり前、といった顔つきで笑って軽く手を挙げてみせた。こうやって校内で鉢合わせたらお互い声をかけ合うのが普通な仲だろ俺たち。という態度。まあ、わざとらしく他人のふりしあう方が確かに不自然で気持ち悪いけど。

「…やっぱ早々に駆り出されたか。ま、笹谷いるんなら看板描くのに使わない手ないよね、そっちのクラス。けどその顔つきからすると、もしも声かかんなかったらそのままさり気なくばっくれるつもりだったんでしょ?」

それはそう。でも、クラスのみんながまだ近くにいる状況でそんなことはっきり指摘するな。

だけどひやりとするほどのことではなかった。すぐ隣にいたクラ子がそれを聞いてぐい、とわたしの首に腕を回して引き寄せ、やれやれ。と言った声で彼の台詞に愛想よく同調する。

「そうそう、そもそもそういう子なんだよねこの子。クラスみんなでイベントでわいわいやって盛りあがろう、みたいなノリのときにはすぅっと引いていなくなっちゃう。…面倒くさいなとかそういう気持ちはわからないでもないけど。でも、せっかくこういうときに活かせる腕があるんだから。特技を発揮してみんなに見てもらいたいじゃない。笹谷ってめちゃくちゃ巧いんでしょ、イラスト?」

「そっか、…見たことなかったんだっけ。あんた」

がし、と首に回された腕が苦しくて閉口しつつ息も絶え絶えに呟くと、クラ子は調子に乗ってさらにわしゃわしゃとわたしの頭をもう片方の手で撫で回した。…全く持ってこの面食いめ。

好みど真ん中どストライクの異性の前だから、いつもよりだいぶ舞い上がってやがる。と内心で毒づくわたしを抱えて弾んだ声で名越にさらに訴えかけた。

「全然だよ!あんた美術部で描いたっていう油絵も結局見せてくれないままじゃん。学校じゃ描かないって言い切ってるから、卒業まで作品いっこも見られないままかと思ったよ。でもこういう機会があって楽しみ。ね、笹谷ってすごく巧いんでしょ?うちのクラスの同中のやつもめちゃくちゃ褒めてたし。でも結局今は美術部じゃ描いてないんだよね。せっかくこの面倒くさがりがなけなしのやる気を振り絞ってまでして入部したのにさぁ…」

うきうきと愚痴るクラ子の台詞に、名越はやけににこやかに割って入って言葉を挟んだ。

てっきり、いやこの人は何にも振り絞ってないよ。ただ流れに身を任せて抵抗しなかっただけだよ。とか本当にあったことをそのまま言うのかと思ったら。さすがにもう少し体裁を気にするというか、一応上っ面を整えるだけの理性はあるようだ。

「そうなんだよね。でもそれは俺が画塾に誘っちゃったからで、彼女は別に悪くないよ。それに今年の文化祭では絶対に部の方にも出展するから、この人も。そのときは是非友達とみんなで連れ立って観に来てあげてね」

「えー絶対行く。さっきも秋山がめちゃこの子の絵を絶賛してたし、もっと他の絵も見てみたいもんわたしも。笹谷、期待してるよ。頑張ってね」

前々から狙ってた学年でも一、二を争うイケメンに気さくに声をかけられてテンションが上がったのか、やけに嬉しそうなクラ子。本当に掛け値なしの美人なのに、こういうあからさまにちょろいとこは実に残念なやつだ。

また名越にも、通り一遍の関係な相手には無駄に愛想ばっかり振り撒きやがって。といつものことながらそこはかとなく鬱陶しく思いながらも、他人のこと勝手に決めつけるなよ。と周りを憚ってやや声を落とし、こそっと抗議した。

「…いや今さら美術部員でーすとかしらっと参加できないでしょ?わたし、あれ以来まじで一度も美術室に顔出してないんだけど。今さらのこのこ出て行って、何もしないでただ展示だけさせてくれとか」

名越はその程度の抵抗じゃ一向に怯む気配も見せない。まあね、それはわかってはいたんだけど。

「別に気にすることない。他の部員もみんな、各々勝手に描いたものを持ち込んで展示するだけなんだよ。美術室を使うのは他に描く場所がなかったり大きなものを持ち運ぶのが面倒だとか、それぞれの事情によりあそこを利用してるってだけなんで。頻繁に顔出してなきゃ展示に出す権利ないとか誰も考えてないよ。俺も自分の家で描いたの出したし、去年は」

だけど、せっかくだから今年は美術室ででかいの描いてみるのもいいかもね。文化祭は七月だしまだ全然間に合うじゃん?と急に思い立ったように言い出した。

「外から搬入できないようなサイズのキャンバスに思いっきり描いてみたくない?俺のと並べて展示しようよ、文化祭で。あんたが一人じゃ気後れするっていうんなら俺も一緒に通うからさ美術室。てか、今のうちに慣れておいた方がいいよ美術部に。夏にはスケッチ合宿もあるし…」

海辺の宿にみんなで泊まって二泊三日で合宿するんだよ、楽しみだよね。と何気なく付け加えられてどん引きした。

「いやそんなの、…行くわけないじゃん。てかそもそもどんな顔してあの顧問の前に出て行けるかっての。あれ以来、何の挨拶もしてないんだよ?」

「そんなのあいつが気にするわけないじゃん。自分からがんがん習いに来ないやつはそっちが損してるだけだって思ってるんだから、僕がただで教えてやるっていう機会を棒に振るなんて気の毒な子だってくらいの感覚でしょ。今頃は他に見込みのあるやつ捕まえて熱心に入れ込んでるよ。教え子の中から藝大進学者出すのがあいつの野望だから。乗ってこない生徒のことまでいちいち気にかけてる暇はないんだって」

これは本当のことだった。のちに恐るおそる再び出入りするようになった美術室で何度かうっかり鉢合わせたが、彼は全くわたしに対して何の関心もしめさなかった。それはそれで完全無視って感じで怖いが、他の部員も皆そんな様子でお互いを特に気にかけてもいないようだったので。普段からこんな空気なんだろう。

相変わらず、次から次へとわたしに新しい絵を描かせる方策ばっかり考えてる男だ。

大人しくその後もずっと大河原先生の教室に通い続けてるっていうのに(しかも、紹介してくれたことに関しては結果的に結構感謝もしている)、一体何がそんなに物足りないんだ。この上美術部でも活動しろとか際限がない。

いやぁそれにしても楽しみだなぁ笹谷の描く立て看。今年はテーマ何にしたの?とにこにこ尋ねてくる名越に、傍らから話に入ってきたクラ子が代わりに答えてる。

「五月だし、鯉の滝上りに決まったんだけど。この子の出した案がまた、なんていうか個性的なんだよね。普通に応援合戦ぽい勇ましい立て看にならないとこが笹谷らしいっていうか…」

「ええ〜どんなの。具体的にはどういった構図?」

「それはね、見てのお楽しみ!」

めちゃめちゃ楽しそうじゃん。

他人の絵をだしにしてうきうきと盛り上がってる二人に背中を向け、肩をすくめてそそくさとその場を離れる。

これ以上面倒くさい話になる前にさっさと片付けて帰ろう。今日はもうこれで終わりなはず。下絵の案が決定したから、あとはこっちで図案を完成させて。三分割したものを模造紙に引き写して大まかに色を塗るのはわたしが指示してみんなに分担してもらわないと。…はあ、めんど。

一人でこつこつ、自分のペースで地道に作業を進めるのは気楽だしいくらでも続けられるけど。他人に指示を出して動いてもらうとかはあんまり得意じゃないんだよな。

まあそうは言っても実際、中学のときの体育祭でも団地のお祭りでも苦手なりに四苦八苦しながら何とかやり遂げてはいるんだから。今回だってまるで出来ないことはないだろうとは我ながら思わなくはない。

だけどそれはそれとして、集団の上に立って采配したりみんなと協力するのは好きってわけじゃないんだ。始める前からうんざりしたり、ずーんと気が重くなるのは仕方のないことだと思う。

意気投合して話の弾んでる様子の二人の声を背中で聞き流しつつ、足を早めてすたすたと昇降口に向かっていると。不意に隣に濃い人影がかかって誰かがぬっと近づいてきたのがわかった。

「…いいの?あの人たち」

吉村か。

どうやら、ここまでの間わたしが友達と話してるから…と遠慮して遠巻きに見ていたらしい。

用事があるなら別に、堂々と話しかけてくればいいのにといつも思うんだけどこいつは意外とそういうとこがある。もちろん特に用がないなら何もわざわざ話しかけてくる必要はない。

と内心では考えたけどそこまで突慳貪に突き放すのも何だから、大人しく素直に答える。まあ絶対に口を利いてるところを誰にも見られたくない。っていうほどのことでもないし。

「今日はもう打ち合わせも作業もないだろうから。このまま終わりだと思うし、わたしは帰る。この段階で学校じゃなきゃ出来ないこと、今はないしね」

簡略化したアイデアスケッチだったのを本式に元絵に描き起こさなきゃいけないし。それがないと引き伸ばして模造紙に写したり、色塗りとか皆に協力してもらう作業に入れないからまずはわたしが手をつけないと。

そしてその作業は自分ちで一人で出来る。むしろその方が集中できていい。

そう告げると、自然とわたしに歩幅を合わせて横を歩きながら吉村は念押し気味に確認してきた。

「『帰る』って、家に?それともこのあと今日は絵画教室行くの?」

「いや、今日は教室ない。もともと火曜日と金曜日だから、レッスンは」

通う曜日を決めた去年の時点では確かその日が美術部顧問の牧先生が学校に来る日だったんじゃなかったっけ。だから仮に美術部に用事ができたとしても顧問が出てくる日とうっかりかち合わないように、そこに予定をぶっ込んでおいたんだ。

今となっちゃどのみち美術部には顔出してないし、今年牧先生が登校してくる曜日がどうなってるかも知らないから曜日にほとんど意味はないけど。変えるのも面倒で今でもそのままになっている。

わたしの返答を聞いて、吉村は生真面目な表情で少し考え込んでから提案してきた。

「そうか。…したら、久しぶりに一緒に帰る?誰かと約束とかしてないなら」

「それは別に。…どうせ同じ方面だから、いいけど」

わざわざ待ち合わせなくてもどうせ帰り道で一緒になるじゃん。とかいつもなら受け流すとこだけど。

わたしが名越やクラ子と話してるときにあえて近寄らず遠巻きに遠慮してたこいつを思い出すと、つい絆される。そこまでつんけんしなくてもいいかな。小中学生の頃はもっと普通に一緒に行動してたんだし、それと大して変わらない。

「吉村の方は。今日、フットサルの練習はないの?」

「毎日はないよ。練習は週3だし」

ぎちぎちに詰まってたら同好会である意味ないだろ。バイトやってるやつもいるし、とけろっとして言う吉村。いや、一応うちの高校バイト禁止じゃなかったっけ。まあ、ほとんど名目上だけだが。

そうと話は決まったのでさっさと校舎内に上がって教室に戻り、鞄を取ってきた。出て行くわたしの背中に笹谷ちゃんまた明日ね!とかそれじゃあ大変で悪いけど、原画制作よろしく〜とかいう声がちらほらとかかる。

廊下に出ると既に帰り支度を済ませた吉村がそこで待っていた。

じゃ、行くか。とわたしを促して先に階段を降りる。途中で目を輝かせて喋りまくるクラ子と並んで上がってくる名越とすれ違ったが、やつは屈託のない顔つきでこっちに軽く手を挙げてみせただけで特に声をかけてまではこなかった。

「…いや、でもよかったなぁ。高校で直織に思ってたよりたくさん友達できて」

昇降口から出て正門へ向かってる途中。周りに人の耳が途切れたところで吉村がしみじみと呟き、それを聞いたわたしは何とも言えない気分になって不貞腐れた。

「何なのその、まるでわたしがコミュ障みたいな…。否定はし切らないけどさそりゃ。けど、友達の数が少ないと。何か問題?」

入園したばかりの幼稚園児の保護者か、あんたは。公園とか児童館の集団に溶け込めない我が子の姿に心を痛める新米母親か?

むくれるわたしの反応に動じず、のんびりと歩きながら穏やかに返答する吉村。

「そういう意味じゃないよ。直織は自分からがつがついかないけど、ちゃんと身近な人たちと親密な関係を築ける性格だってわかってる。集団のど真ん中に出ていってリーダーシップをとるタイプじゃなくても、いつも何人か仲のいい友達はいたし。それで充分だと俺だって思ってるよ」

でも、と校舎の端から覗ける校庭の方へちらと視線を向けた。まだ数クラス、話し合いが終わらずにその場に残ってわあわあやってる集団の声がここまで伝わってくる。

「こういう、行事の準備に参加するみたいなことって大体自分から手を挙げてアピールしないと仕事回って来ないから。直織の性格的に、絵ならわたしが描けますとか言い出さなそうと思ってたんだ。あんなに巧いのに、勿体ないなって…。だから高校でも絵が得意なこと、こうやって知れ渡ってよかったなと。中学んときはまだ幼馴染みがいっぱいいたから自己申告する必要なかったけど。高校じゃきっと三年間、埋もれちゃうんだろうなと何となく思ってたからさ」

美術部入ってほんと良かったな。と柔らかな眼差しを向けられ、何ともむずむずする落ち着かない気持ちになった。

「わたしは別に。…それでも全然、よかったんだけどさ」

「そう?本人は案外そうなのかもね。他人に褒められても褒められなくてもどうせ描くしってなるのか。基本は自分のために描いてるってことなら、外からの評価なんか気にならないんだろうな。確かに」

でも、と正門を出てわたしを車道側から道の端側に移動させてから訥々と話の先を続ける。

「俺は本人じゃないし。外側からただ単に無責任に、直織の絵が好きだって思ってるだけの立場だから…。どうせならたくさんの人に見てもらって、みんながいいなあと感じてくれたらいいのにとかつい、思っちゃうんだよな。直織からしたらただ面倒で鬱陶しいだけなんだろうけど。大勢の人間からの称賛なんて」

「まあ。…褒めていただける分には別に、吝かではないけど」

うわ何こいつら褒めてんのうざ!とか考えるほどには性格ひねくれていないから。さすがに、いくらわたしが素直じゃない逆張り者だったとしても。

「たまたま誰かが描いたもの見てくれて、いいねって言ってくれれば普通に嬉しいしありがとうって言うよ。ただそれ目的で描いたりはしないし、大勢の目に留まるための努力はする気がしないってだけのこと」

「うん。でも、周りの人間はなかなかそこまでは割り切れないから。つい、もっとたくさんの人の目に直織の絵が触れればいいのにとか。立て看だって他の人より直織の方が巧いのになぁとか思っちゃうんだよ」

自分のことでもないのに、馬鹿みたいな話だけどさ。と真横を歩いてるわたしの方に顔を向けて笑う。

「ほら見ろ、すごいだろ?とか俺が得意になるのもおかしいけどね。描いたの俺じゃないから…。でも、やっぱり嬉しいよ。心の中でだけ自慢するつもり、4組の立て看見て。これ描いたの俺の幼馴染みだから!って」

「それって。自慢になるのかなぁ…」

毒気を抜かれてぼそぼそと突っ込む。まあ、芸能人のことを昔の同級生だとか。知り合いの知り合いが現在プロのミュージシャンとバンド組んでたとかいうレベルの自慢話は意外と世の中に溢れてるから、それと較べりゃ距離感近くて話の規模がちっちゃい分許される範囲な気はする。どうでも良すぎて。

「そっちは6組か。するとやっぱり名越?立て看描くメインは」

あの場にいたし、きっとそういうことだろうな。と考えて、どうでもいいけど世間話的に尋ねてみる。案の定というか当たり前というか、吉村はうんそうだよ。と生真面目な顔つきで素直に頷いた。

「彼が直織を美術部に誘ったり絵画教室を紹介してくれたんだよね。当然本人も描く人ってことか…。どう、あの人。やっぱ巧いの?」

その話し振りの距離感といい、まだ同じクラスになって間もないせいもあるけど。吉村はやつと特に親しいというほどのことはないようだ。

見てても属してるグループが違う気はする。吉村もどこに行っても大勢の友達に囲まれてる方ではあるが、いけてる系のウェイな集団にいるタイプではない。小中学生のノリのまま大きくなった男子がみんなで馬鹿みたいな話題で盛り上がってはしゃいでる、ああいうガキっぽいグループにいつもいる感じ。

名越はいかにも遊んでる大人びた集団の一員だもんな。大抵女の子も混ざってる男女混成グループでつるんでるみたいだし、コミュ強同士といってもだいぶ系統が違う。

「そりゃ、めちゃめちゃ巧いよ。わたしなんかより全然」

正直にそう答えたら、吉村は疑り深そうに一重のただでさえ細い目をさらに細めた。

「え、そんなことある?高校生で直織より絵が巧いやつなんてそうそういないだろ。自分で謙遜してそう思い込んでるだけじゃない?」

「何で、誰に対して謙遜してるってか。客観的に言って本当のことだってば。あんたも自分の目で見ればすぐにわかるって、わたしが言ってること」

そう返しながら面食らった。というか、呆れた。まさかそこまで幼馴染みの絵の腕を高く見積もっていたとは。

「言っとくけど。もう既に同年代の中でわたしの画力、全然トップとは言えないと思うよ?名越はまた別格と言っていいけど。それ以外にも、ここの美術部にもわたしなんかよりずっと巧い人何人もいるし」

去年美術室で制作するようになってしばらく通ってたときに、そこに展示してある作品を見る機会もあったし。美術準備室に放り込まれてる過去の作品や他の美術部員の描きかけの絵も見かけた。

それで感じたのはわたし程度の実力は専門的に描く人の中ではせいぜい並、普通にもっと全然巧い描き手がいくらでもいるっていう事実。美術系でも何でもない普通の進学校であるうちの高校レベルの中でもそれだから。

それまで他人の絵と較べて自分がどの位置にいるか、なんて発想もなかった。今でも周りより巧いとか下手くそとかいう評価にすごく意味があるとは思ってないけど、客観的な事実としては認識してる。

そう告げると、吉村はまるで意外なことを聞いた。とでも言いたげにさっき細めた目を丸くして驚いた表情を見せた。

「え、そんなことある?俺だってもちろん、ここの美術室の前は通ったことあるし。掲示してある絵は見たけど、全然直織の方が下手とは思わないな。そりゃみんな、中学生の絵とはだいぶレベチだなとは感じたけど…。でも、直織だって。中学の頃より上達してるんだろ?教室もずっと通い続けてるし」

それとも、専門の先生に習っててもあんま変わんないもん?と不審そうに訊かれた。いや、そういう言い方されるとさ。まるで大河原先生が悪いみたいじゃん…。

彼女の名誉のためにもここはきっぱりと否定しておく。

「そりゃ段違いに腕は上がったと思うよ。手癖で脳内の適当なイメージに合わせてフォルムを決めるんじゃなくてきちんと実物を見て、ものの縮尺や触感を頭に入れて描けるようになったし。デッサンだって去年に較べたら我ながらだいぶ巧くなったと思う。でもさ、そのくらいは美術部の人ならもともと普通に出来てたわけなんで…」

ましてや名越とかのレベルには到達追いつかない。あいつの場合はこっちの努力が足りないとかスタートが出遅れてるから、とかいう次元にはないので。もう悔しいとか焦るとかいう気もとっくに起こらなくなってるけど。

「わたしがこれまで思い込みで疎かにしてたことはきちんと基礎を勉強して鍛練してきた人たちからするととっくに出来てて当たり前のことなんだよね。だからまあ、わたしが今から全力で走ってても。なかなか及ばないのは仕方ないんじゃないかな。美術部の人たちもこっちが頑張ってる間、別に立ち止まってくれてるわけじゃないんで。向こうも当然前に進んでるからね」

ちょっと自嘲気味に付け加えた。笑いに紛らそうとしたわけでもないが、吉村はつられてにこりともせず至極生真面目な顔つきで隣で深く頷いてる。

「それでも、直織の中の基準では去年より段違いに上達してるんだろ?だったら全然いいと思う。周りと較べてどっちが上とかは関係ないよ。思うんだけど、ある程度以上巧くなったら。あとはどの絵が好きかってもう見てる人間の好みの違いでしかないんじゃないかな」

美術室の辺りで見る絵、どれもそりゃ巧いとは思うけど。俺なんかには一生描けない作品ばっかりだからすごいし尊敬するけどさ。と言いながら、背後からやって来る車の音に反応してわたしを庇うようにそっとさらに道端に押しやった。

「デッサンがどうとかはわからないけど。それでもやっぱり、これまで見てきた直織の絵の方が好きだしすごいと思っちゃうもんな。逆にどれが本当に巧いとか下手とかわからなくて見る目ないから、自分の好みでしか判断できないしね。…けどさ、少なくとも美術部に所属してる部員の中ではまあいい方のレベルには達したんだろ。そしたら、やっぱ美術系の道に進む気になったってこと?この先の進路」

美術系の大学とか、芸大とか。と何でもないことのようにけろっと言われて心底びっくりする。

「まさか。そんなこと考えもしなかったよ。普通に考えて全然無理じゃない?本格的にやってる人と較べたら全く、太刀打ちできるレベルにないし」

本気で芸大とか目指してる人なら、もう既に準備始めてるでしょ。何なら一年生のときから牧先生みたいな人について専門的な勉強始めるとか、美術予備校通うとかさ。

思ってもみなかったことを急に言われて、ちょっとしどろもどろになりながらそう付け加えると。吉村は歩みを止めないまま生真面目な表情を崩さずに首を傾げた。

「え、でも。…今直織がやってることはそうじゃないの?わざわざ学校の外の画塾に通って勉強したりするのは。そっち系の進学をするための準備なんだと思ってた」

無邪気な声で問われて言葉に詰まる。…言われてみれば。傍から見れば確かにそう思えるか…。

美大を受験もしないし将来絵に関係する仕事に就くつもりもないのに、あえて月謝払ってまでして教室に通うなんて。一体何のため?とストレートに訊かれたら。

どう答えていいのかわかんないな。名越に誘われたから、なんて。別に本気で嫌なら拒絶もできるのにあえて向こうの意図に乗ったことの理由には全然、ならないし。

ここで適当にごまかすこともできたのかもしれないけど、自分でもこの機会にこれまでの身の振り方を振り返って考えをまとめたくなった。ので、ほとんど独り言めいた口調で噛みしめるように一言ふたこと、絞り出して述懐してみる。

「美大に進みたい、とは考えてないのは確か。…合格するには多分それなりの対策をしなきゃ無理だろうけどどうしていいかわかんないし。大河原先生のとこで教えてもらってるのはそういう、受験テクみたいな内容じゃない。ほんとに絵を描く上での基礎の基礎、みたいなことを疎かにせず地道に続ける訓練っていうか…。だから今、この状態でもし仮に受験とかしたら。どこの美大も普通に落ちるんじゃないかな。そもそも芸術系の大学のこと、何も知らないし」

「それは。…別に今から調べても全然遅くないと思うけど?」

横からもっともなことを宣われてちょっと腹が立つ。

「俺たちまだ二年の初めだし。進路なんか全然これからってやつ普通だよ。少なくとも間に合わないってタイミングではないし、今直織が習ってる先生も芸大のこと知りたいって頼めばちゃんと、どう対策するべきか教えてくれるんじゃないの?」

それはそう。…多分。

「その先生はどういう人なの?経歴。人に教える仕事をしてるってことは、素人じゃないんだろ。どっかの美大を出てるんだろうから、少なくとも自分の経験は話してくれるのでは」

次から次へと、至極真っ当な意見ばっかり言いやがって。

なんか物分かりのいい大人と話してるみたいでむかつくなぁ。とむくれながら、以前聞いた話を上目遣いで思い出して答える。

「確か、学校の美術の先生をやってたはず。年子で立て続けにお子さんが産まれちゃって、何のかんので辞めちゃったんじゃなかったかな…。近くに実家とか頼れる相手もなくて、小学校に上がるのを機に自宅のアトリエを活用して教室を開いたって言ってた。ほら小学校ってさ、下手に保育園とかより仕事続けにくいってよく言うじゃん?すごく早く学校終わっちゃうとか。それで、自宅で出来る教室を始めたらしいよ」

確か今は、下のお子さんがそろそろ中学生になるくらいだって聞いたな。だから名越はあの教室の最古参なはず。

「中学のか高校か知らないけど、学校の美術の先生だったんなら多分そっちの専門の学部を出てるんじゃない?確か美大で教職取れると思うよ。お願いすれば受験対策に対応してくれるか、もし難しいなら代わりに予備校紹介してくれるんじゃないの」

「うーん…」

吉村がいろいろと親身に考えてくれる気持ちはありがたくないこともない。…けど。

わたしは曖昧に唸ってまだ意外と日の高い春先の空を振り仰いだ。

「さっきはどうせ無理だからとかそういう準備してないからとか言い訳したけど。…やっぱ、自分の中に美大って選択肢ないな。だって何のために行くの?ってのがよくわからないし」

「そう?せっかく才能持って生まれたんだから。それを活かしていきたいとは思わない?」

わたしに才能があるってことをそもそも疑いもしない。そういうところは吉村らしいなとは思う。

だけど、とわたしは考えて小さく首をすくめた。

「吉村はすごくいい方にとってくれてるけど、幼馴染みのよしみで。でも自分がこの腕一本で食っていけるほど特別に絵の才能あるとは正直思わないな。わたしより巧い人いっぱいいるってだけじゃなくて…。なんか、スタンスがね。石に食らいついてでも絶対これで戦ってやる、っていう覚悟が自分の中にない」

都会の美大とか日本最高峰の芸大に行く人って、やっぱりもっとハングリーなんじゃないのかな。何がなんでも絵で食っていく、俺の作品を見ろ!感動しろって他人にアピールするような強い『我』がないのに。そこまで徹底的に頑張れる気がしない。

「せっかくだから巧くなりたいって気持ちはあるし、だからこそ紹介された教室に今でも通ってる。自分でもわかるくらい目に見えて上達してると感じるからやってて楽しいしね。でも基本やっぱり、わたしの絵は自分のために描いてるだけのものだから…。大学に入るための絵を描くとか、他人に褒めて認めてもらえるものを描くってのがどうにも難しい。そのために血の滲むくらいの努力を重ねなきゃいけないってことも」

結局、わたしにとって納得のいく絵を描くことは苦しみや辛さとは無縁の自分だけの楽しい娯楽の範疇だから。この幸せをあえて手放してまでして、絵を職業にしたいって気持ちにはなれない。

「描いててつらい気持ちになりたくないんだ。だから、納得いく程度に巧くなりたいけどそれ以上のことは求めてない。普通の大学に進むと思うよ、それしかないし。うちの親が認めてくれそうな気も全然しないし」

駅が遠くに見えてきた。信号を前に立ち止まり、わたしが車道に近くなり過ぎてないか確認しながらちょっと意外そうに目を見張る吉村。

「え、そうかなぁ。直織んちのお母さんって優しくて理解あるじゃん」

「それは。…他人のうちのお子さんの前だからだよ…」

吉村やその弟、近所の幼馴染み達がいるときにはまあしょうがないわね。好きなようにやんなさい、とか鷹揚な顔をして見せてるが。完全に家庭の中ではまたちょっと別、どこん家の母親もそんなもんだとは思うけど。口ではこう言っても表情では不服がありありとか。機嫌が急に悪くなるとか、そういうので大体わかるじゃん?

けど、そんな状態のうちの母を目の当たりにしたことのない吉村はあくまで楽観的だ。

「ちゃんと頼めば美大だって行かせてくれるんじゃないの。だいいち、東京の大学行ってもいいかって訊いたら。本気で行きたいならまあいいよって言ってくれたんでしょ?」

「それは。そうだけど」

信号が変わって、さくさくと横断歩道を渡りながらちょっと何とも言えない気分になって言い淀む。

何故なら、以前に何の気なしに口にしてしまったことだけど。そもそも吉村の前でこんな話、気軽に持ち出して平気だったのかな?とあのあと微妙に気になっていたから。

知っての通りこいつの家は、うちと違って三人きょうだいだし。一番下の妹はまだ小学生だ。

吉村家の経済状況まではさすがに知らないいけど。あの団地で電器屋やっててめちゃくちゃ儲かってるってこともないだろうから、すごく余裕があるとも思えない。…そこまで勘繰るのは余計なお世話って気もするが。

だけど、下の子がまだ二人とも進学を控えてるのに長男を東京に送り出すほどのゆとりが吉村の家にあるとは言い切れない。

だとしたら、こいつの前でうちは東京に進学してもOKだってよ。なんて軽い気持ちでぽろっとこぼしたのは無神経だったかなと…。もちろん制度的には奨学金とかあるにはあるが。吉村って、うちの高校に入るのも結構ぎりぎりで。わたしが最後追い上げに付き合ってやって何とか、って感じだったからな…。少なくとも国公立はちょっと厳しそう。

うちは父親も普通の会社員だが母もパートに出ていて共働きだし、今のところ弟は地元好きでそんなに野心とかもない様子なのでまあ長女一人くらい東京に行かせてやってもいいか…って考えてくれてるようだ。でも、それってもしかしたら。地方在住の女子としては割と恵まれてる立場なのかもしれない。

今さらながらそんな懸念を抱いたわたしは、自分ちだって世間一般と較べてめちゃくちゃ余裕があるってわけじゃない。と言い訳したい思いもあって、つい力を入れて強く言い張る羽目になる。

「どうしてもって言うなら東京の大学行ってもいいよとは一応、言われたけど。圭太はまだ高校私立になる可能性あるし将来大学も行くだろうから、二人分と考えたらそんなにゆとりあるわけじゃないよって釘は刺されたよ。出来たら奨学金受けろって言われてるしね。…それってでも、普通の学部に進むこと前提の話だからね。美大だって言ったら多分許可降りない。就職もできないし、どうやって食べてく気?って問い詰められそう」

ぐちぐちと言い訳がましく並べ立てるわたしに、吉村は涼しげな切れ長の目をまっすぐ向けた。

「それこそ、教職取ればいいんじゃん?美術の先生になるって言えば。堅い職業だしお父さんもお母さんも安心しそう」

「…わたし、自分の人生において絶対に就きたくない職業のひとつが。学校の教師なんだよね…」

情けない声でぼそぼそと答えた。

これまでお世話になってきた先生方には実に申し訳ないがそれが本音。なりたくもない職業に就くこと前提でしたくもない努力をして、実力よりはるか高みにある場所を死ぬ気で目指すんだと思うと。…やっぱり挑む気にはなれない、絶対。

頑なな姿勢を崩さないわたしに、それでも吉村は一向に責めたり呆れたりはしようとせずにそうかぁ。と小声で呟いて駅舎前でふと天を仰いだ。

「直織、俺と違って頭もいいし才能にも恵まれてるのに勿体ないな。けど直織の人生であって俺のじゃないから…。無責任なことは言えないな」

やや重い声で考え込んで呟いたあと、ふと顔を上げてさっきより明るい調子で言い足す。

「…でもさ。もしもシンプルに美大出たあと食っていけるかどうかわかんないっていう不安が進学できない最大の理由なんだったら。そこは多分何とでもなるんじゃないかな…。少なくともチャレンジしてみるだけはしてみて、駄目だったら考えるでもいいんじゃないか?失敗したって、そのあと改めてどうするか考え直しても別に遅くないと思うんだよね」

他人のことだと思って気軽に言ってくれるなぁ。とややうんざりして、言い返しかけた口が軽く開いた状態で止まった。

何故なら、言ってるこいつはそんなつもりゼロなんだろうとは思うけど。…ちょっと微妙というか。聞く人が聞けば意味深に聞こえなくもない、そんな台詞が裏心のないあっけらかんとした様子の吉村から平然とぼんぽん、立て続けに飛び出してきたもんだから…。

「だって、大学卒業したあと何の仕事にも結びつかなくて手ぶらでこっちに帰ってくることになったとしても。さらに上達した絵の腕は結果として直織に残るだろ。それでも職が見つからなければ地元に戻って来ればいいじゃん」

「…好き勝手なこと四年間もやって。学費も全部無駄にしといて?」

それで親元におめおめと顔出して頭下げろってか。と言いかけたわたしの気配を察してか、違う違う。と手を振ってやや強引に遮る。

「お父さんお母さんが万が一敷居を跨ぐなって言うなら…、そんなことは言わないとは思うよ。けど万が一そうなったとしてもさ。他に友達も幼馴染みもいるし、俺もいるじゃん。困ったときはいつでもそのうちの誰かを頼ればいいんだから食えないなんてことにはならないよ。…直織の好きなこと得意なこと思いきりやって、それで駄目ならそのときは一緒に考えよう。力を合わせれば全然暮らせないなんてことにはならないよ」

それって。

…と、口に出して突っ込んでいいのかどうかわからない。言葉の表面だけをなぞれば単に、一緒に就職口探してやるよ。とか、住むところを見つけるのに協力する程度の意図にも思えるし。

けど。…改札口の方へ向かいかけた足をふと停めて、頭の上から何ともいえない優しい眼差しをわたしに注ぐ吉村のその表情が。

次いできっぱりと力強く断言された台詞の続きと相まって。何だか、お前の人生の責任はいざとなれば自分が持つ。…みたいなニュアンスに。聞こえなくも、なくて。

「…とにかく、これからもいつでも俺はずっと、直織の味方だからさ。仕事もなく生活すらも不自由な状態で、行く宛もなく一人孤独に世間を彷徨うようなことには絶対しない。…責任持ってそれは保証するよ」


《第7章に続く》

陰キャ陽キャ、一軍二軍みたいな言葉を使うかどうかは置いても。クラス単位の集団の中だと、中心のノリに合わないと自然と周縁というか。辺境の住人になりがち、って現象は確かにありますよね…。

名越みたいに物事の中心にいるのは当たり前すぎてそこに執着もない、ってタイプもいればそこにポジションを確保するのにすごくリソースを削られるって人もいるだろうし。主人公みたいに真ん中に行く気もないしたまたま流れでそこに呼び寄せられると居心地悪くてどうにも落ち着かない、って人もいるでしょう。

中高生くらいのほんの短い期間だけの価値観に過ぎないけど、そこに振り回される人もいるでしょうね。卒業しちゃえば無に帰す概念だから、あまり気にせず翻弄されずに流すくらいがちょうどいいのかもしれません…。

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