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第13話(1)

 ドオン!と轟音が響く。

 ヴェスターのレクスタン剣術にある、剣気の爆発的な放出。

 剣術を心得ている者ならある程度同じ事は出来るのだが、彼の場合、威力のレベルが違いすぎた。

 長屋のような廃屋を一瞬にして破壊。

 ついでに巡回していた男共全員を気絶させる程の凄まじさ。

 それを目の当たりにし、ライガは軽く笑う。

「なるほど、聞きしに勝る破壊力よ。」

「では、参りましょうか。」

 床板をも塵と化したことで地下への階段が露出していた。

 おそらくは上に何かが置いてあって隠していたのかもしれないが、床まで消え失せる剣圧に隠すも何もあったもんじゃない。

「では、拙僧が前を行く。

 ヴェスター殿は背後を頼みまする。」

「はいはい。」

 足音を特に隠す事無く普通に歩いているのだが、二人ともほとんど音がしなかった。

 日頃の鍛錬の賜物だろう。

 降りつくと頑丈な扉。

 ライガが取っ手に手を掛けて開けようとするが鍵が掛かっていて開かない。

 しかし、フン!と気合いを入れたかのような声を上げたかと思うと、鍵がビキビキビキと音を立てて砕けた。

 最後にバキッ!と完全に折れた音と共に扉を開く。

 廊下が見えると、遥か奥から放たれた矢がライガの額を急襲した。

 だがライガはその矢に気付いていたのか、難なく右手で受け止める。

「ほう、クロスボウの矢か。

 なかなか丈夫な矢だな。」

 言いながら槍投げ選手のように矢を構える。

「返すぞ。」

 ブン!と腕を振って矢を放つと、廊下の奥でギャッと短い悲鳴が上がり、ドタリと倒れ込む音がした。

 ヴェスターが感心する。

「凄いですねえ。」

「拙僧はモンク(修行僧)でな。

 弓矢と棒状の武器は得意なのよ。」

 1本しかない廊下を突き進んでいくと、今度は盗賊三人、魔法使い一人のパーティーと遭遇。

 スリープ(睡眠)の呪文が聞こえる。

 だが、二人とも呪文の効果を無効化していた。

 盗賊と魔法使いが焦る。

 そこにライガの錫杖が盗賊の口を突き刺した。

 先端が槍のように尖っていたそれは頭蓋骨をも突き抜け、瞬時に絶命させている。

 ズボッと引き抜き、構えた。

 ヴェスターは黙って見ている。

 ほう、槍術もかなりの腕前のようですね。

 ライガは威圧するように睨み、彼らに問いかける。

「ここに30代の女性が来ていないかね?

 拙僧の仲間なのだが。」

「し、ししし、知らねえ・・・ギャッ!」

 知らねえの声の直後、またも錫杖で串刺しに殺す。

「拙僧の問いに対し、知らぬで済むと思いか。

 知らぬなら、ここの施設について知っている事を全て述べよ。」

 残るは盗賊一人と魔法使い一人。

 二人とも腰が抜け、立つことすら出来ずにいた。

 そして何かを話そうとしたその時、パアン!と頭が爆発し絶命した。

 砕けた頭蓋骨と脳みそが飛び散り、身体は床に崩れ落ちる。

 それでもライガとヴェスターは少しも動じない。

「口封じの仕掛けをしているか。」

「どうやら、相当悪質な闇組織のようですねえ。」

 ライガはヴェスターをジロリと軽く睨む。

「拙僧を極悪人として捕えるかね?」

「いいえ。

 もしここが本当に巨大な闇組織だとしたら、国から感謝状が贈られると思いますよ。」

「フ、極悪人が相手でも、か。

 つくづく面白い奴よ。」

 ライガはそう言うと前を向き、廊下を歩いていく。

 大きくUの字を描く通路。

 そして曲がりきった先に見えたのは地下深く続く、太い手すり付きの長い階段だった。

 天井から吊るされたボロボロの看板が見える。

 錆がひどく、なんて書いてあるかは読めなかった。

「方角的には、地下迷宮に向かっているな・・・。」

「地下迷宮?

 あのビギナー向けの?」

「それは今までの話だ。

 つい最近、腕に覚えのある冒険者パーティーが新たなフロアを発見したと聞く。

 中級向けに格上げされたと見ていいだろう。」

「ほう、そうでしたか。」

 会話をしながら、地下深くへと降りていく。


 ライガは考え込んでいた。

 スラムの奥の闇施設など聞いた事がない。

 冒険者カイルたちに渡した地図に、ここへと通じる道は無かった。

 いったい、どこにつながっているというのか。


 ヴェスターも考え込んでいた。

 ライガが倒した盗賊どもはそこそこ装備が良かった。

 チンピラな集団や盗賊ギルドなどではない、何かもっと組織的な存在を感じる。

 預言者フィアナはライガとレグザが厄介だと語っていたが、厄介な感じは今のところ皆無。

 マーキュリー伯爵夫人が悪玉という話だったが、まだ影も見えないし・・・。

 ん?何でしょう、何か違和感がありますね・・・。


 二人とも考える事は全く違えど、同じようなタイミングでウーンとうなりながら階段を降りていたのであった。

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