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第06話(2)

 エルとイヴは、無能の罠と化した糸を斬りながら木々に囲まれた土地にたどり着いた。

 そこにあったのは、毒花ペレスの花畑。

 間違いない。

 無許可で育てていれば、違法栽培に該当する。

 これは王宮護衛団の仕事ね。

 エルとイヴがそう思っていると、見張り役の男が歩いてきた。

 2人は透化のマントを羽織っているから、姿は完全に見えていない。

 男は、花に異常の無い事を確認すると、そのまま去っていった。

 その直後、地面から金色の蛇が顔を出す。

『エル、聞こえる?

 今、フランソワの使い魔を通して念話している。

 もうすぐお昼になるけど、一旦戻ってお昼食べてからにしない?

 少し話したい事もあるのよ。

 冒険者ギルドの近くにナポリタンの美味しいお店があるらしいわ。』

 念話は距離が遠くなると、妨害や盗聴される恐れがある。

 魔力感知にもかかりやすくなる為、余程緊急にでもならない限り遠距離での念話は行うものではないのだ。

 だが使い魔に限っては例外で、その心配は無い。

 例えるなら、無線と有線といったところだろうか。

 その内容は念話を扱える者なら常識の範囲なので、エルもイヴも特に驚く様子は無かった。

『・・・分かった。

 すぐに戻る。』

 イヴはこのまま捜査を続行するものとばかり思っていたので、エルの昼食優先には少し驚いていた。

 だがイヴもお腹が空いてきたので、ここは喜んで素直に従う。

 エルのこたえを聞くと、金色の蛇はまた地中へと潜っていった。


 外壁を超えて戻ってくると、ケイトが

『ようやく来てくれたのねー。』

 と言いたげな表情をしているのが見て取れた。

 フランソワは、ケイトの腕を片時も離さなかったようである。

 金色の蛇は戻ってきたが、黒猫が戻ってこない。

「お姉様の使い魔は?」

「ちょっと気ままなとこがあってねー。

 大丈夫、意志の疎通は出来ているから。」

 エルは無視してさっさと歩く。

「冒険者ギルド隣のスパゲッティー店“アデル”でしょ。

 さっさと行くわよ。」

 店を熟知しているあたり、エルはグルメらしかった。


 冒険者は数多く存在するので、冒険者ギルド周辺は飲食店も比例して多い。

 中でもスパゲッティー、ナポリタン、ピザで有名な飲食店アデルは、女性冒険者に人気であった。

 客層から、ここに男性だけで入るには少し勇気のいるお店である。

 ケイトたちは店に入り、4人用のテーブルに通された。

 4人とも注文したのはナポリタン。

 あとは大きめのピザ1枚とサラダを皆で分け合う。

 但しエルは、トッピングのソーセージを多めに注文していた。

 エルって昼もガッツリ食べるタイプなのね。

 と、イヴは横目で感じ取る。

 お冷が来たところで、エルがフランソワをギロリと凝視。

「で、話したい事って何?」

 これにはケイトが答える。

「地下迷宮に入って、地下からの侵入ルートを探索している冒険者がいるでしょ。

 未踏のエリアを発見して、デブ鼠を仕留めたらしいわ。」

「デブ鼠って、あのガセネタ話の?」

「ガセネタなんかじゃなかったって事ね。

 ・・・あの話って、誰が語り始めたものなのかしら。

 エルとイヴは心当たりない?」

「残念だけど無いわ。」

 即答のエル。

 しかしイヴは違った。

「もしかしたらですが、昔、鋼級の冒険者が迷い込んだ先に見た経験談だと聞いた事があります。」

「あの迷宮って、鋼級が迷うような広さじゃないわよね?」

「すみません。

 私もそこまで詳しくは・・・。

 確か、うろ覚えですが、鉄仮面の仇名の冒険者だったような・・・。」

「え!?

 ジンが!!?」

「お姉様、その男の事を知っているのですか?」

 偶然・・・ではないわよね。

「私に妹捜索を依頼してきた冒険者よ。」

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