第05話(3)
地下迷宮Bブロック。
錆びた扉を開き、未踏のエリアが姿を見せた時、ミウはすぐに探査魔法を解除した。
どんな魔物が潜んでいるか分からない。
地下1階だからといって、Aブロックと同じ魔物が出るとは限らない。
ここは慎重に行く。
すると、すぐ隣に似たような扉があった。
こちらは先ほどのように錆びていない。
しかし、
「ダメだ、鍵が掛かっている。
ピッキングでの開錠も難しい。」
「鍵を探す必要があるか。
まずはこのフロアを探索しよう。」
外周の廊下を歩いてみると、Aブロックの地下1階とほぼ同じ広さである事が分かった。
部屋の扉を開けても、出現する魔物の種類に変化も無い。
「構造はAブロックと似ているな。」
「深さ的には地下1.5階といった感じか。
あとは中央の部屋を残すのみだ。」
「なあ、なんか中央の部屋、ずいぶん大きいんじゃないか?」
「マップ描いてるけど間違いない。
かなり大きい部屋よ。」
その部屋の扉に来ると、皆呼吸を落ち着かせた。
間違いない。
ここだけ、今までの魔物とは違う何かがいる。
「いくぞ。」
勢いよく扉を開けて中に入ると、キラーラットの群れが見える。
その奥には巨大な肉の塊が。
それがぐるりと振り向き、顔を見せた。
鼠だ・・・たぶん。
「・・・カバよりデカイんじゃねえのか。」
「噂話は普通、尾びれ背びれが付いて誇張されてるものだが・・・。
これに限っては大人しめだ。」
キイーッ!とデブな鼠が甲高い声をあげると、鼠たちが一斉に襲い掛かってきた。
そこにミウがファイアーボール(火球)の魔法をぶつける。
ミリアは、攻撃魔法を強化させる魔法をミウに合わせた。
一撃必殺!
これで鼠どもは、ほぼ全て焼死。
しかし、デブ鼠は生きていた。
巨漢を活かし、カイルたちに猛然と突進する。
だが、その程度で臆することはない。
シーマとラナは、弓で前足を狙って射た。
突進が鈍ったところに、カイルとゴッセンが太い首を斬る。
「フン!」
「おりゃあ!」
気合い一閃。
鈍い音を立ててデブ鼠の首が床に落ちる。
先制で戦闘をクリアした。
「よし、この首と図体を解体して持って帰ろう。
冒険者ギルドに報告だ。」
「鍵は見当たらなかったな。」
そう話していると、デブ鼠が突進してきたせいで舞っていた土煙が落ち着き、部屋の奥に宝箱があるのが見えた。
「おい、チェスト(宝箱)だ!」
「・・・さっきまでは見当たらなかった。
ここのボスを倒すと現れる仕組みか?」
シーマが近付き、慎重に罠を調べてピッキングする。
カチッと音がして、無事に開錠出来た。
中には古い金貨が約1000枚と、鍵が入っていた。
これで、あの扉を開けられる。
「どうする?
Bブロックの地下2階に進むか?」
「いや、まずはデブ鼠と古い金貨を持ち帰って換金だ。
それから昼食をとって、午後イチに地下2階を探索しよう。」
「そうだな、それがいい。」
しかし、カイルは1つ気になっていた。
都市伝説通りに出現したデブ鼠・・・。
あの話は、いったい誰が流したものなんだ?




