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孤独な夜の鎮魂歌

作者: いいい

四時二十七分。夜といえば夜、朝といえば朝。そんな時間にまだ私は寝られないでいる。

長い期間を経て忘却し死んでいたような記憶や不安、恐怖や孤独が死霊のように蘇る。一人では人の温かみに縋ることもできない。

忘却は私が生きていく上で必要な行程である。忘却を以て過ぎたことの記憶やそれに付随する感情を一度は殺す。だがこれらは夜になると盛んに墓場から出てきてしまう。

私がこんな夜に奏でる鎮魂歌は不安と孤独と悲しみに満ちている。こんな鎮魂歌では墓場から出てきた死霊達を再び墓に返すことなどできない。諦めて死霊達とパーティーを開きその時の自分の感情を殺す夜もある。今日も死霊達が私の家のドアを楽しそうに叩いている。一度パーティーの楽しさを知ってしまった彼等はまたパーティーがしたくて仕方がないようだ。

私はドアを開けて今宵もパーティーを開き、狂乱と衝動のボトルを開け、並々とグラスに注いで彼らを迎える。

まずは不安が低い音でピアノを奏で、恐怖がチェロを弾き始める。孤独は美しいバイオリンの音色を響かせ私の聴覚を独占する。

このパーティーは彼等と手を取り踊り続け、疲れた彼等がそれぞれ自分の墓に帰って行った時に終わる。今日は彼等は何時まで私のテリトリーで踊り続けるのだろうか。

狂乱と衝動に酔ってきた私は踊り場に立ち黒い衣装を見に纏った愛情と踊る。朝になるまで踊る。

踊る私を美しいドレスを着た幸せが仮面を着けて遠くから眺めている。幸せはパーティーの様子を少しだけ見て帰ってしまった。私はそんな幸せには目も配らずに黒い嫉妬に染まったドレスを着飾った愛情と踊っているのであった。四時二十七分。夜といえば夜、朝といえば朝。そんな時間にまだ私は寝られないでいる。

長い期間を経て忘却し死んでいたような記憶や不安、恐怖や孤独が死霊のように蘇る。一人では人の温かみに縋ることもできない。

忘却は私が生きていく上で必要な行程である。忘却を以て過ぎたことの記憶やそれに付随する感情を一度は殺す。だがこれらは夜になると盛んに墓場から出てきてしまう。

私がこんな夜に奏でる鎮魂歌は不安と孤独と悲しみに満ちている。こんな鎮魂歌では墓場から出てきた死霊達を再び墓に返すことなどできない。諦めて死霊達とパーティーを開きその時の自分の感情を殺す夜もある。今日も死霊達が私の家のドアを楽しそうに叩いている。一度パーティーの楽しさを知ってしまった彼等はまたパーティーがしたくて仕方がないようだ。

私はドアを開けて今宵もパーティーを開き、狂乱と衝動のボトルを開け、並々とグラスに注いで彼らを迎える。

まずは不安が低い音でピアノを奏で、恐怖がチェロを弾き始める。孤独は美しいバイオリンの音色を響かせ私の聴覚を独占する。

このパーティーは彼等と手を取り踊り続け、疲れた彼等がそれぞれ自分の墓に帰って行った時に終わる。今日は彼等は何時まで私のテリトリーで踊り続けるのだろうか。

狂乱と衝動に酔ってきた私は踊り場に立ち黒い衣装を見に纏った愛情と踊る。朝になるまで踊る。

踊る私を美しいドレスを着た幸せが仮面を着けて遠くから眺めている。幸せはパーティーの様子を少しだけ見て帰ってしまった。私はそんな幸せには目も配らずに黒い嫉妬に染まったドレスを着飾った愛情と踊っているのであった。


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