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平凡を望む、されど...  作者: わか
召喚士
4/21

第4話 ハーフ

前回のあらすじ


数時間でスーパーカブを壊す主人公

 プレハブの中で女性物を揃える男...傍から見ると変態だな。正直下着はよく分からん。カップ付きインナーとそれっぽいパンツでいいよな?


 (あー、分からん。分からん。女性の服とか分からんからフード付きのローブと魔力付与されたTシャツにズボンでいいかな。)


 血を落とした女がプレハブの中に入ってきて、また深々と頭を下げ感謝を述べる。


 「何から何まで本当にありがとうございます。」


 かなり細い、劣悪な環境にいたのか、食が細いのか...過去のことを詮索するのは良くないな。


 「感謝は不要だ。ここに服を用意してある。着替えてくれ。あっ、ポーションも置いておく。傷を治すといい。」


 さて、会って間もない女に背を向けるのは危険だが、襲っては来ないだろ。さっさと朝飯作って...


 「あ、あの...」


 「なに?」


 初めは小さな声だったが、覚悟を決めたのか喉を鳴らした後に声を発する。


 「なぜここまで良くしてくれるのでしょうか?あとお名前を、教えて...いただけないでしょうか?」


 「良く?いや、別に良くしているわけではないが...そうだな、君には街までの案内をお願いしたいから前払いしているだけ。まっ、そんなとこだよ。あと名前は...エル。」


 「そ、そうですか...エルさん。このご恩は必ずお返しします。私は、私の名前は...どうしましょう...」


 召喚サモンで惣菜パンと水を用意し、名前が不明な女に渡す。俺も偽名だが、この女も訳ありだろうな。


 「はぁー。エレノア。適当な名前だが、街までの間はこの名前で...お、おい、なに泣いているんだ!?」


 惣菜パンを食べながら泣いているエレノアさん。突然の出来事で慌てる俺。


 「す、すみません。久しぶりに美味しいご飯に綺麗な服を着たので...お見苦しい姿を見せました。申し訳ありません。」


 (はぁ。面倒くさい...気を使うのはやめようかな。)


 「泣いたままでいいが、街までの案内を頼むぞ。あと、エレノアという名前が嫌なら自分で決めて。ああ、そうだ。俺のことは他言無用だ。いいな?」


 涙を流しながら頷くエレノア。少し強く言いすぎたか?俺はエレノアさんが食べている惣菜パンと同じものを召喚し食べる。食事の間、沈黙が流れるが構わない。ほんと、朝から最悪。


 「あ、あの。エルさんは何者ですか?」


 「俺は、冒険者になるために村を出た。っと言っても、もう帰ることが出来ないけどね。エレノアさんは?」


 目を瞑り、少し悲しそう雰囲気を醸し出す。


 「私は、ハーフエルフ。半端者と罵られ、住んでいた村は襲われ壊滅しました。生き残っていた村人は殆どが殺され、生き残ったものは玩具のように犯され...うっ。私は売り物になるからと免れましたが...」


 「ふーん。ヤバいね...残酷な世界か。はぁ...エレノアさん、もしかして村の外はあまり知らない?」


 「あ、はい。お役に立てず申し訳ありません。厚かましいことは承知しております。どうかお願いを聞いていただけないでしょうか?」


 「お願い?なに?」


 先程まで泣いていたのが嘘かのような決意した目。


 「復讐を。復讐をしたいのです。どうかお力を貸していただけないでしょうか?」


 「復讐?エレノアさん、俺にメリットがない。残念だが協力は出来ないかな。」


 「復讐が完了したら、エルさんの生涯の下僕になりましょう。身体も心も捧げます。」


 俺は首を振りお願いを再度拒否する。


 「そもそも、俺はそこまで強くない。敵がどのくらいの強さなのか分からないし...下僕も要らない。つまり復讐に加担することは出来ない。俺よりもっと強い奴や騎士団やらに相談したら?」


 唇をかみ締め、歯を鳴らして悔しそうな顔をしている。よく表情が変わる女性だな。


 「強い者、騎士団、その者たちが...復讐相手です!」


 「おいおい、尚更無理な相談...いや待て。大義名分があるなら別にいいか。くふっ。エレノアさんの願いを叶えよう。絶望を、慈悲なく苦痛を与えようじゃねーか。」


 「え?エル、さん?あ、ありがとうございます...」


 「?どうした、エレノアさん。もしかして、俺が復讐に加担することにしたか疑問に思った?」


 「え、ええ。それもありますが...その、エルさんは本質は悪なのですか?」


 「本質は悪?うーん、何をもってして悪なのか、正義なのか分からないが...今のエレノアさんにとっては正義になるのでは?君たちを襲ったゴミを片付けるのだからね。」


 「た、確かに。敵に情なんてありません。失言でした。申し訳ありません。」


 「謝らなくていいよ。さて、エレノアさん、取引きをしよう。」


 「取引きですか?そのようなことしなくても、私は以後エルさんの所有物になりますが...」


 「そうか、ならそれでいい。そして俺は君の復讐を手伝う。それじゃあ、移動しながら今後について話していこうか。」


 プレハブを消し、移動用に2人乗りのスクーターを召喚。ヘルメットにゴーグルを装着し移動をはじめる。


次回 戦力アップ

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