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【なろうラジオ大賞4】

缶コーヒーを飲みながらの夏祭り、ひまわりが見える丘で

作者: 桜橋あかね

「久しぶりの夏祭り、か」

俺は、缶コーヒーを飲みながら呟いた。


去年、俺は地元へ帰っていた。

まあ……その、親父が倒れたから。

親父の介護で母さんが大変だから、俺が実家の農家を継ぐために仕事を辞めたのだ。


……で、今日は地元の夏祭りだ。

毎年ひまわりが見える丘の所で、有志の人たちが集まってやっている。

俺は久しぶりに、有志の参加では無いが見に来たのだ。


「昼間から、集まってんなぁ」

あちこちに屋台が並んでいる。

地元(ここ)は珍しく、昼間に夏祭りを行っている。


「あれ、吉雅(よしが)君?」


後ろから、女性の声がする。

振り向くと、黒い髪をなびかせた人が立っている。


「……もしかして、ちひろか?」

俺がそう返すと、彼女……ちひろは頷いた。


▫▫▫


砂川ちひろ、俺の高校までの同級生だ。

彼女も高校卒業したら、都会へ行ったと聞いたのだが……


それを言うと、彼女は笑う。


「どうした、俺……何か可笑しな事を言ったか?」


「……ううん、ごめん。そうじゃ無くてさ、私たちの関係って高校の時の絡みだけだったのに、よくそんなこと覚えていたんだなって」


まあ、確かにちひろの言う通りだ。


「まあ、ちひろにはお世話になったからな。特に生徒会で」


俺は生徒会長、ちひろは副会長―――

こういう関係性だったから、特に印象に残っていたのだ。


「吉雅君って、意外と一人で抱え込むからさぁ。気軽にやって欲しくて、ついね」

彼女がそう返す。


「そうか」


「でね、地元(ここ)の夏祭りは毎年来ているのよ。仕事の休みを使ってね」


「……へえ、そうなのか」


「で、吉雅君は?」


俺の事を話した。

ちひろは、「そうなの」と返す。


「また、一人で抱え込んでない?大丈夫?」

心配そうに、俺の方を見る。


「……心配し過ぎだぞ、もう高校の時じゃ無いんだしさ」


「ふふ、そうね」


ひまわりが見える展望の所へ出た。


「今年もひまわり、綺麗だねぇー」


「そうだな」


「私たちも、お互い……頑張ろうね」


「おう」


夏の思い出は、高校の思い出と重なった。

……たまに、こういう『再びの出逢い』も良いのかも知れない。

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