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侯爵の裏の顔  作者: 刀洞 やや
13/16

にこやかに




「レディ、妻を気遣ってもらってありがとう」

 ショーンのいらだたしげな声に、イザベラはびくつく。やっぱり彼は……。

 しかし、ショーンは続けた。「きちんとした医者に診せました。彼女はまだ若いというのに、首と肩をおかしくしてしまっていてね。おかしなことに、家事をよくする女中のような症状だそうです。あなたのお宅では彼女に自由に働かせていたらしいが、うちでは休ませる為に命令までしていますよ」

 シャーロットの口が半分開いたが、声は出なかった。手首が曲がって扇子が落ちそうになっている。おかげでまぬけな顔ははっきりと見えた。

 イザベラは夫を仰ぐ。夫はさげすむような目をしていたが、その目を向けているのはシャーロットにだった。

 夫は一転、にこやかな表情になる。シャーロットがひきつった笑みをうかべた。なにかしらまずいことになりそうだったけれど、それは去った、と彼女は思ったらしい。その認識が誤っていることを、イザベラはわかっていた。ショーンはまだ不機嫌そうだ。

 とても。







「ところで、我が妻に対する口さがない噂がささやかれているようですが、レディ、ご存じかな」

「え? あの。いえ。どのような噂かしら」

 シャーロットは目をぱちぱちさせる。まつげがふわふわしていた。化粧はばっちりだ。

 夫は無感情に云い放った。

「お宅のお嬢さんの本当の母親が、我が妻だというんです。お嬢さんは私生児だと、社交界ではもっぱらの噂だ。はやく妙な噂を消さないと、お嬢さんは結婚どころではなくなる」

 シャーロットは顔面蒼白になり、その場に倒れた。




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