再び三毛猫対決、砂緒の弱点と決着…b
「砂緒様!?」
驚愕の声を上げる七華王女。
「かっこ悪いですよ! 颯爽と姫を助ける騎士の様に出て来て! いきなり逃げるのですかっ! いけませんね! 水壁で挟み込んで窒息させて差し上げましょう!」
三毛猫仮面は笑いながら同じように穴から砂緒の後を追う。砂緒の逃げるという行為にむざむざと乗せられて、七華から引き離されている事に気付いていなかった。
砂緒が開けた穴を通り、次々と部屋を渡り歩きながら水攻撃を繰り返す三毛猫仮面。
「しかし地味な戦いですねえ、いい大人が水鉄砲を子供に当て続けて恥ずかしくないんですか? いや変態に恥ずかしいは褒め言葉でしたね」
「確かに誉め言葉ですねえ」
暖簾に腕押しで挑発が何の効果も無かった。
「あっ」
要らぬ会話の為に集中力が切れたのか、砂緒が穴をくぐる時に足を引っかけ派手に転ぶ。すかさず三毛猫仮面が水壁を四方から迫らせた。
「ごぶ、がばっ!」
砂緒が四方から水の壁に押し潰され、大きな水槽に嵌められた様になりもがき苦しむ。弱点属性云々の前にこうなると息が出来ない。
「おやおや、こうなると可哀そうな気もして来ましたねえ」
生来のサディストの三毛猫仮面は、水に溺れる砂緒に最大限近づいて苦しむ様を間近で見物し始めた。
「ごばっく、くるしいよう……い、息が出来ないよう……」
水の中で必死に叫ぶ砂緒。
「変なキャラ付けしていても、結局は十五かそこらのクソガキですね、最後はそんな感じになってしまう訳ですか!?」
三毛猫が水壁のぎりぎり前にまで迫り、愉悦で歪んだ顔を見せた。
「掴んだ!」
水壁の中から砂緒が三毛猫の手首を掴む。
「おやあ手首を掴んでどうしますか? 水流の圧力で切る事も出来るのですよ!」
バチッッ!!
三毛猫が言った直後だった、砂緒が掴んだ掌から最高電圧の電気がほとばしった。
あっけ無さすぎる程の結末だった。真っ黒になった三毛猫が床でひくひくしている。
「いきなり水流とか言い出して閉口しました。もし七華が感電したらどうするのですか? まあ猫呼には悪いのですが、ここで死になさい」
砂緒は雪乃フルエレを意図的に遠ざけたので、大手を振って重い足を振り上げた。
「閃光!!」