再び三毛猫対決、砂緒の弱点と決着…
ビュンビュンビュンッ!!
七華リュフミュラン王女や貴族の娘、侍女達が避難している城の広間で三毛猫仮面が剣を振っている。
当たっても大丈夫なはずだが砂緒は訓練代わりに必死に避けまくっている。
「どうして避けるのですか! 当たってもたいした事ないでしょうに」
「パンチングボールだと思って遊んでいるんですよ! なかなかに面白い」
二人のやり取りをハラハラしながらみつめる王女以下女たち。
「しかしこっちはそろそろ飽きて来てしまいましたね、当たって剣が折れる儀式をしてくれませんか? 次の攻撃に移れません」
「おや、次の攻撃などと言う物があるんですか? それは見てみたい物です」
次の瞬間お言葉に甘えて……みたいな感じに振り下ろされる剣に向かって硬化した掌を差し出す。
掌で剣先を掴むと簡単にポキリと折れてしまった。続けて砂緒が三毛猫仮面に向かってパンチを繰り出すがやっぱり前回と同じでかすりもしない。
「と、ここまでは前回と全く同じなのですが、私はあれから考えました。貴方に効く攻撃は無いものかと」
三毛猫は砂緒のパンチを軽々交わしながら何かの魔法の詠唱を始めた。
「ウォーターフロウ!」
三毛猫が叫んだのは子供の魔導士でも使用する事が出来る初歩の水攻撃だった。まさにただの水鉄砲みたいな水流が砂緒に当たって弾ける。
「あ、あれ」
砂緒はその場にガクッと片膝を付いた。何故水鉄砲の様な只の水流でダメージを受けるのか分からない。
「水流は氷結の入門編の様な魔術です。だから戦闘で使われる機会など殆どありません。しかし岩の化け物である貴方ならあるいは効果があるのではないかと考えました。水は岩に染み込み、やがて亀裂を生じさせ風化させて砂にします。まあ当てずっぽうな予想でしたが、本当に効果があるとはね」
三毛猫仮面は水流を当て続け、砂緒を釘付けにして動かせない。
「砂緒さまがんばってくださいまし!」
不安感でいっぱいになった七華が思わず声援を送る。
「ウォーターウォール!」
三毛猫が新たな呪文を叫ぶ。今度は砂緒の両側から大きな水の壁が現れ挟み込む様に水の中に飲み込もうとする。
砂緒はなんとかそれを避け、後ろに下がるが今度は別の水流攻撃を受け、ダメージを受けながら辛うじて避ける事を続けた。
「ちょっとやっぱり一旦逃げる事にします。続きをどうぞ」
砂緒は片手をしゅっと上げると、七華達が待機する部屋から自分が開けた穴を伝って外に出て行ってしまった。