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死闘 漢と漢(おとこ)、響き合う魂!!


 シャシャシャシャシャッ

 しかしスナコの猫パンチ百裂打の目にも止まらぬ凄まじい攻撃を、巨体のベアーは全て余裕でかわして行く。


「グオッ!」

(何が百裂打か、ヌルくてへそが茶を沸かすわっ攻撃とはこうするのさっ!!)


 熊語の鳴き声と人間語の言葉の量とは比例しない。ベアーは短い鳴き声の中に長い意味を仕込みながら、今度は鋭い爪を容赦無くスナコの身体に浴びせかけた。


 ビャビャビャビャビャ!!

 サササササッ!!


「くっ遠慮無く爪で切り裂いて来たっ! しかしまだまだ硬化させずに避けて進ぜよう!!」


 スナコはこの熊との戦いでスリルでも味わう様に、刃物の様な危険な鋭い爪の先端を寸前で次々に避けて行く。


「ふっなかなか貴様もやる様だな? ただの熊では無い様だ……ならばこちらも次の技を繰り出そう、必殺脱兎ガトリング脚ッ!!」


 ダダダダダダッ!!

 スナコはくるりと後ろを向くと爪が届かない様に地面に片手を着き、凄まじい速さの連続後ろ蹴りを繰り出した。

 ドカドカドカドカッ

 今度はベアーの巨体の脚部に連続ヒットする事が出来た。

 ガックん

 突然の低い位置からの攻撃に思わず膝を着くベアー。


「グアウ?」

(な、何だ今のセコイ攻撃は!?)


「ふっアリキックに着想を得た攻撃よ。巨体で重い敵にはこれが一番なのさっ!!」


 スナコは○木の様に爪に切り裂かれない様に低い位置から再び脱兎脚を繰り出す機会を伺う。


「グオーーッ!」

(ふっ味な真似を! だが俺が低くすれば良いだけの事よ)


 ベアーはあたかもどじょうすくいかキャッチャーの様な中腰体勢になると、地面をさらう様に爪をアンダーポジションで振り回し始めた。とても地味な絵である。


「バカめっ中腰体勢破れたりっ!」


 シュバッ!

 しかしスナコは焦る事無く突然立ち上がると、木の幹に走って駆け上がりそこそこの高さからジャンプした。


「グオオ?」

(な、何だ?)


「覇ァアアアアアッ兎幸ウルトラスーパーーキィイイーーークッ!!」


 スナコは飛び蹴りを食らわす瞬間、ちょっとズルをして硬化と重量増加を行った。

 バシャッ! ドッカアァッ!!

 当然ベアーはヒットする直前に爪で切り裂こうとしたが、硬化したスナコの身体はそれを突き破りベアーの厚い胸板にモロに必殺キックがヒットした。


「ギャウアーーッ!!」


 ドッシャッッ

 始めて叫び声を上げてベアーは地面に倒れて沈み込んだ。


「ヤベッやっちまったか!?」


 スナコは血の気が引いた。全高25Nメートルの金属製の魔ローダーと渡り合えるスナコの硬化であるから、生身のベアーと本気で戦ったら勝ってしまうのは当然である……


「グッグッグッ」

(や、やるじゃな~~い、この女装っ子めククク)


 しかしベアーは口から血を流しながらも不敵な笑みを浮かべなんとか立ち上がった。


(ホッ……何故私はこの熊が立ち上がって喜ぶ!?)


 スナコは敵に対して不思議な感情を抱いていたが、それはくまベアーも同じであった。


「ベアア、グアグ」

(戦いでこれ程戦慄したのは先代のリーダーを俺が倒した時、そうこの頬の傷が付いた時さ)


 ベアーは敵を前にしながらも、その心は遥か以前の熊同士の戦いにトリップしたが当然ながら割愛する。


「ふふふ、どうやら腑抜けた私は好敵手と出会った様です……」


 スナコは硬度と重量を調整しながらも熊と対等の戦いを望んで再び拳を構えた。


「グオーーッ!」

(そうで無ければ!)


 バッシィイイツ!!

 周囲の空気が張り裂ける様な激しい闘気をまとい一頭と一人、いや二人の漢は死闘を繰り広げた。

 ビシュッ!

 ドシュッ!!

 ドカッバキッ!


「何故だ……何故楽しい!?」

「グアウグアア?」


 ビッシィイイ!!

 二人の拳が交差した瞬間、突然二人を眩しい光が包んだ―




 パァアアアッ

 辺りに星々が浮かぶ謎の空間が広がる……


「こ、此処はどこだっ? 今熊と戦ってて」

「こ、此処は何処だクマー??」


 二人の魂は同じ事を呟いた。


「ハッこれはもしや……」

「そう、真の格闘家のみが到達し得る、魂の感応空間クマー」


 スナコとベアーの身体はこの間も死闘を繰り広げている。


「熊、貴様言葉がしゃべれるのか!?」

「フッ俺達は今魂で会話してるのさクマー」

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