スナコ邂逅、好敵手!!
カアッ
それを見て女の子にも興味があったセレネは顔を真っ赤にする。
「何だよ、何故あたしがお前のぱんつを見なきゃならん……」
言いながら目を背け様とするが。
「違いますよっ部長も熊ちゃんのグッズやぬいぐるみとか持ってんじゃないスか? 同じ熊愛好仲間って事です」
「……そうだよ、熊ちゃんが好きでぬいぐるみも沢山持ってる。えこひいきかも知れんが熊汁鍋なんて嫌なんだよ。でも実害が出てるのは事実だしな……」
王女として真面目なセレネは顔が曇る。
「依怙贔屓それで良いじゃ無いスか。でも里に害が出てるならあたしらで先に捕獲して自然に帰してやりゃいいじゃないスか!」
ぱあっとセレネの顔が明るくなった。
「そうだな、此処は貴方達の住む世界じゃ無いの……とか言ってまおう軍領とかの山へ帰そう!」
「その意気ですよ部長!!」
ガサッ!
言い終わった所で今度は突然ジーノが出て来た。
「何だよビビるだろ」
「そうだよお前中立とか言って裏切り者が」
ミラが渋い顔をする。
「あれは雪布留さんの手前言っただけですよ、心は常に部長と一緒ですぜ私も熊ちゃん捕獲手伝いますから!」
セレネは目が潤み掛けたが素早く拭いて笑顔で誤魔化した。
「お、お前ら~」
「よーし討伐部活動再開だっ!」
「オーッ!!」
「ミラ、もうパンツは良いから隠せ……」
「あい」ポッ
ミラはこの会話中、ずっとスカートをめくったままだった。
「ミ、ミラの熊さんパンツ……それになんて綺麗なすべすべな足!!」
あの後セレネを追い掛け、突然普通の生徒よりか背が高いミラのスラッとした美脚と薄布に覆われた健康的なお尻の膨らみを偶然目撃してしまい、人知れず赤面したスナコはすぐに店内に戻って来た。
(ルンブレッタ言うたりミラのお尻言うたり私も忙しいな……)
ガチャッ
何気なくドアを開けた。
「スナコやっ、くっ熊汁くまじるはまだかえ? ハァハァ」
何故か熊汁を熱望する余り喫茶店の客席に臥せってしまった雪布留は、震える手でスナコの手首を掴んだ。
『ヒィッ雪布留どうしたの!?』
「お前どんだけ熊汁に執着するんだ? さっきまでピンピンしてた癖に」
「完全に仮病だにゃ」
「そこまでしたら怖いって」
しかしスナコは雪布留の精神が心配になって来て焦った。
(ヤバイ、フルエレはそこまで熊汁を欲して……?)
『わ、分かったわ雪布留、私がすぐに捕まえて来る!』
「ほ、本当かい、早く早く熊汁を~~」
息が荒い雪布留は泣きながらスナコの腕にすがり、手を握り返した彼は深く頷くと取り敢えず学園の北の森に走って行った……
ガバッ!
突然起き上がる雪布留。
「フフフ、行きよった行きよった」
「完全に悪女じゃにゃい!」
「スナコさんって熊より強いん?」
「当然だ魔戦車より強いんだぞ」
ー学園の北の森。
魔道学園は魔呂グラウンドを除き北面を広大な森林に囲まれており、南の薔薇城市街よりも昼間熊が隠れているならこちら側だとスナコは睨んで闇雲に探し回った。
『クマー出て来いクマー』
スナコはボードを高く掲げて回ったが効果は不明である。
バリッ
しかしその時何かを踏み抜く感覚がして地面を見る。
(何じゃ……骨? 魚の骨か)
良く見るとそれは食い散らかされた大き目の魚の骨であった。
「グアーーーッ?」
(俺の食事の邪魔をするのは誰だっ)
振り返るとスナコの背後にはかなり巨大な熊が立っていた。当然熊のベアーである。
キュキュッ
『ギャーッ、く、クマーーッ!』
(森で熊さんに出会った!?)
律儀に叫び声をボードに書くスナコ。
「ベアー?」
(何だ人間のメスか、殺すのは可哀そうだ)
そう思ったベアーは両手を広げて脅しに掛かった。
ぐああああっ!!
辺りに響く凶悪な熊の咆哮。
(?? フッやはり畜生、自分を巨大に見せて威嚇しているつもりか?)
もちろん硬化出来るスナコは全く恐怖を感じる事も無く、荒ぶる熊を眼前にしても余裕の笑みを浮かべた。
「グアウ?」
(このメス、熊の恐怖が分からないのか!? 仕方ないもう少し脅すか)
ビャッ!
ベアーは鋭い爪を空中で振り回し危険性をアピールした。
(フッ戦うというのか、ならば相手の間合いに入るまでっ!!)
ザザッ
てっきり逃げると思っていたスナコが突然間合いに入って来て、ベアーはうっかり爪でひっかいてしまう。
(うっイカン!!)
ザッシャーッ!! ビリビリビリ
スナコも鍛えた反射神経で寸での所で後ろに下がった。
ズザザザーーッ
(反応が遅れていればやばかったですね……)
しかしベアーはスナコの姿を見てウッとなった。
「グア?」
(ちっメスに傷を負わせてしまったか? 何っ違う!?)
ベアーの目に入ったのは、メスと思い込んでいたスナコの服の胸の部分が破れ、何も無い少年の真っ平らな胸板だった)
「ちっ大切な学園の制服が破れてしまった。この熊許さんぞっならばこちらからもお返しだっ!! うにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃっアッにゃーーーっ!!」
ビャビャビャビャビャビビャビャビャビャビャビャッ
スナコは何故か人間の様にたじろぐベアーに向けて、こんな事もあろうかと猫呼より密かに伝授されていた必殺拳・猫パンチ百裂打を浴びせ掛けた。目にも止まらない透明化した何百本もの猫パンチがくまベアーの全身に襲い掛かる!




