砂緒必殺技、電撃を撃ってみましょう!b
「こ、これは何なの!? 怖い……」
「な、何が起こっている! 空が光っている!」
兵達が攻撃も忘れて異様な光景を見上げて動けなくなっている。
「イェラの痛みを知れ!」
砂緒は突然凄みのある顔になると、思い切り腕を振り下ろすイメージを抱いた。
カッッッ!!
ズドドドドドオオオオォオオオオオンンンン!!!
「きゃあっ!!」
モニター越しでも真っ白になる様な凄まじい閃光の後、至近での落雷など比べ物にならないくらいの遠くの都市にまで届きそうな地響きの様な轟音が鳴り響く。
しばらくしてモニターの焼き付きの様な現象が明け、ようやく二人は周囲の状況を確認しようと必死に画面にかぶりついた。
「あ、あれ、魔戦車隊のみなさんが居ませんが……」
「嘘、信じられない……なんて事」
二人が見たのは、先程まで激しい攻城戦を繰り広げていた二十両程の魔戦車と、その周辺に展開していたおびただしい数の兵員が殆ど消えた空間だった。
地面のあちこちに無数の穴が開き、そこから黒い煙がしゅうしゅうと立ち上っている。
運よく範囲指定から逃れた兵達が綺麗に助かり、衝撃や恐怖で倒れ腰を抜かし驚愕の顔で後ろにずり下がって行く。
「ほほう。これは良いですね……確か東面の森や各城門にはまだまだ沢山敵兵が居ると思います。早速根こそぎ消して行きましょう! わくわくしますね、しかしその前に! ここにも動いている者がまだいますね、潰しておきましょう!」
「そ、そんな……これを私達がやってしまったの……砂緒……だめ、やめて……お願い」
フルエレは恐怖で両手で顔を覆った。同時に魔ローダーの脚部がゆっくりと持ち上がり、腰を抜かし動けない敵兵達の頭上に黒い影が迫った。
「キャーーーー!!」
「今の音は何ですの! 城は大丈夫なのですか!?」
城の上階の一番奥まった窓の無い広間に、王女七華リュフミュランを中心に貴族の娘や侍女達が固まり避難していた。
敵兵が城の中に攻めて来たとして、一番最後まで生き残る様にという配慮だったが、もはや逃げ場が無い空間でもあった。何の情報も無い空間で女達はガタガタ震えながら口々に恐怖を訴える。
特に魔ローダーが発した巨大な雷撃の音と衝撃は室内の女達を恐怖のどん底に叩き込んだ。