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純喫茶まおうⅡおしべとめしべでメ○モちゃん!


抱悶(だもん)ちゃんはもう女の子ですと!? それはつまりおしべとめしべがアレとアレでメ○モちゃん的なもう赤ちゃんが出来ちゃうというアレですか?? 確かに……最近抱悶ちゃんの様子はおかしかった……そう言えば元々棒の様な彼女の身体も薄っすらと丸みを帯びて来て、すっかり大人に女体化して来た気がするし。もし、もしそんな状態で吾輩とバトルしようよって感じで人類史に残る激闘を繰り広げてごらんなさい、もし膨らみ始めた内緒の(つぼみ)乳房(ちぶさ)に偶然でも手が当たってぽんよよよ~~んってなって、キャア砂緒(すなお)さんのエッチィ! みたいになったらそれはもう唯のセクのハラやないか!?)


 砂緒の思考はいらん事まで考え始めてしばし固まってしまった。しかし心配せずとも抱悶の身体はまだまだ棒のままである。


「おーいどしたー?」


 ぺしぺし

 依世(いよ)が面白がって、目を見開き硬直する砂緒の頬を叩きまくる。だがそれを見て何故か七華(しちか)がさらに暴走した。


「依世ちゃん、貴方の時はお赤飯は用意したんですの?」


 何故か突然お鉢が回って来てビクッとする依世。


「え、え~~? お赤飯!? どど~~だったかなぁアハハハハ」

(何で私の事まで引っ張り出すのよこの女!)


 この異世界にもお赤飯があった様だ。だが多少赤面しつつ話を誤魔化す依世であった。


「ハハハ、ワシはお赤飯も大好きじゃぞ!」

「姉上! おめでとう御座いまする」


 察しの良いカヤはゆっくりと頭を下げるが、実際には抱悶の身体に特に変化は無い。


「一体何が起こっているの~?」


 この店で本来主役となるべきハズの最初の客の梅狐(うめこ)は完全放置され、訳もわからず指を咥えて話を聞いている。


「だ、抱悶ちゃん、こんな素敵なレイディが拙者、近くに居たなんて気付いていなくて何も言えなくて野暮過ぎて恥ずかしいでござるよハハハハ」


 砂緒は取り敢えず褒めた。


「いやいや良く分からぬが気付いてくれたのなら良いのじゃ。ワシはもう女の子ゆえバトルとか喧嘩とかはご卒業なのじゃー」

「ですよねーーそれにしても七華、この珈琲美味しいですぞ」


 砂緒はドキドキしながらコーヒーをぐいっと飲み干し気分を落ち着かせた。

 ごきゅっ


「あら、砂緒さまその珈琲は専属バリスタの紅蓮の淹れた物ですわ」

「ブーーーッ」


 砂緒は眉を八の字にして珈琲を吹いた。


「失礼だぞ折角僕が焙煎からして淹れた珈琲を!」

「う、うるさいわ、私のインスタントの方が百倍美味しいですぞ。しかし七華に抱悶ちゃん、拙者急に野暮用を思い出して帰る事に致しますぞ、それではドロン!」


 砂緒は指を立てて両手を組むと、そのままそそくさと白馬に跨って逃げる様に帰って行った。

 ヒヒーーン、パカラッパカラッ……

 そして七華の思惑通り、砂緒の足はしばらくこの店から遠のいたのであった。




「何なのじゃアイツ?」

「うふふ、砂緒様も割とデリケートな所がありますのね」


 七華は最近に無い程嬉しそうだった。


「ハハハ、ごくり、アイツ変に意識し過ぎなんだよなーごっくん、僕なんて女の子にも自然に接してるしなごっくーん」

「何生つば何回も飲み込みながら強がってるのよ、もはや度変態キャラじゃない!?」

「紅蓮くん何を赤面していますの? 抱悶ちゃんはこれからはお淑やかに生きるって意味で女の子になったって言っただけですわ」


 七華は澄ました顔でいけしゃあしゃあと言い放った。


「七華さん砂緒を撃退するなんて感心するわ、さすがお姉さまが一目置くだけの事はあるわね」


 七華は依世が言った事を聞き逃さなかった。


(え、そうなのですの? あのフルエレが私を??)




 コンコン、カチャッ

 砂緒が去りしばらくしてからノックが鳴りドアが開いた。


「あの、先程のお子様のお母様という方が……」


 警備兵の一人がかなり緊張しながら母親を招き入れた。


「どうぞ、入って下さいな!」


 すっかり実質的店主の七華が呼び入れる。


「あ、あの~~?」


 梅狐の母と思われる小綺麗なまだ若い女性が、少し焦燥ぽい表情ながらも遠慮がちに顔を出した。


「ママッ!!」

「梅狐っ!」


 その顔が見えた途端に立ち上がって叫ぶ梅狐。二人は泣きながら抱き合って再会する。




「うむうむ再会出来て良かったのじゃ!」


 二人を見て少ししか年上でない抱悶は、ご隠居の様に腕を組みうんうんと頷いた。


「抱悶ちゃんお店の皆さまありがとう御座います。引っ越しして来たばかりで迷ってしまいましてお恥ずかしい」


 何度も頭を下げる母。


「うむうむ良いぞ。それより梅狐よ、どうだひとつワシの家来になってみんか?」


 彼女の思わぬ一言に一瞬店側の人間は固まった。


「うん、わたし抱悶ちゃんの家来になる!」


 何か波長が合ったのか、梅狐は笑顔で即断して返事をした。


「良かったわね、すぐに新しいお友達が出来て」

「よきよきじゃ!」


 こうして母公認で梅狐は純喫茶まおうに入り浸る常連客となった。




(サッワ……姉上は黄泉がえりました、だから貴方も無事で居て下さい!)


 和やかな雰囲気の中、カヤは一人まおう城に残して来た仲間や熊達の事が気掛かりでならなかった。

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