砂緒必殺技、電撃を撃ってみましょう!
「お、こんな所に下に降りれそうな穴がありますね、ちょっと行ってみます」
砂緒がフルエレの腰掛ける椅子の後ろに小さな穴を発見し早速降りて行く。
「ちょっと! ちょっと、横に居てよどうして行っちゃうの!」
「私の言う事は一切無視する癖に勝手ですね!」
「怒っているのね? ごめんなさい」
砂緒が梯子を伝って降りると自動的に照明が点灯し、上の座席と同じ様な空間が存在した。
「こっちにも座席がありましたので、私はこちらに座っておきますね」
「…………そう。あ、撃って来た! 下で魔戦車が凄い撃ってる!」
魔ローダーの脚部に向かってニナルティナ軍の魔戦車と攻城攻撃魔法が乱打されるが一切何の効果も無く弾かれて行く。
「本当ですねえ、脚がありますね。どうやら魔ローダーは人間型のようですね。しかしどうやって動かすのでしょうか? レバー的な物やボタン的な物がいっぱいあるのですが……」
砂緒は目の前の二本の操縦桿的な物を軽く握ってみる。
「下手に動かして倒れたりしたら嫌ですよねえ」
「ちょっと! 砂緒見てみて! 砂緒が座ってから手の先から小さい雷が出てるよ」
砂緒はレバーを触る手から軽く電気が出続けている事に気付いた。
試しに操縦桿から手を離してみる。すると大きな窓の様なモニター上の巨大な手からの放電は止まった。どちらにしてもフルエレの座席には影響は無かったようだ。
「どうやら、私の能力をトレースして拡張している様です」
「ちょ、ちょっと目の前に手の先が! 多分顔の目の前に手を持って来たのだと思うけど、どうやって動かしたの?」
「へ? 私何もしておりません。ただ握りながら、手の先が見たいなあ……と」
「それだわ! 操作とか関係ないのよ、願えばいいのだわ、やってみます」
魔ローダーの腕が体操の様に上げられたり下げられたり奇妙な動きを繰り返す。
「な、何だ! 何かの信号なのか!? 全員警戒しろ!」
ニナルティナ軍の指揮官達が警戒して身構える。
「私の電気攻撃が拡張されるなら、いっちょ魔戦車に撃ってみます。フルエレ見てて下さい!」
砂緒がレバーを握る手で放電を開始すると、再び魔ローダーの手から同じように放電を開始する。そのままゆっくりと片腕を真っすぐ天に掲げた。
砂緒がそのまま放電のイメージを強めると、指先から天に向かって伸びる雷の様に、夜空の雷雲に太い稲妻が何本も吸い込まれて行く。
フルエレは突然モニター上の魔戦車や兵隊達に次々に範囲指定が付与されて行くのに気付いた。