魔ローダー、中から現れた銀色の機体c (主役ロボットイラスト①)
「ここは何なのかしら?」
「ここ、この窪み、フルエレの、七華のヘッドチェーンの宝石と同じ形ではないですかね?」
フルエレが見ると確かにその通りだった。ヘッドチェーンの宝石部分を外し、窪みに嵌めてみる。
シューーーン、ウィーーン……キーーーーーン
「なんですかね、コンピューターの起動音の様な、ファンが回る音の様な……」
「こんぴゅ? 何?」
ブーーーーーーン、シュボッ!!
駆動音の様な物はだんだんと大きくなり、最後にガス給湯器が点火する様な巨大な音が鳴ると静かになった。
「な、なんか付きましたね」
ガガガガガガガガガガ
「わ、わ、わ、わ、わ、な、何」
フルエレの声が小刻みに震えている。フルエレが震えているのでは無くて、機体全体が揺れているのだ。
「わーーーーっ何か角度が変わっています! 物にしがみ付いて下さい!」
「きゃーーっ」
二人はごろんごろんなりながら、椅子や壁に張り付いて耐えた。
バシッ!!
巨大な手の様な物が魔戦車隊の間に振り下ろされる。衝撃で少し飛び跳ねる魔戦車。
「何だ! これは何だ!」
そのまま巨大な手が伸び始めると、巨大な黒い影が眼前に浮かび上がる。ガラガラと大量の瓦礫や岩を落としながら、巨大な物体は四つん這いの様な状態になった。
「何だ! 何が起こっている!!」
ぐぐぐっという感じでそのまま石造の大量の瓦礫や岩を落とし続け、砂塵を巻き起こしながらそびえる巨大な何かが、猫背の四つん這い状態から完全に起き上がり敵兵達に向いて振り返った。
「何だ……これは……」
敵兵達は見上げて絶句した。内部ではようやく正常な位置になり椅子を中心に二人が抱き合って前を向く。やがて複数ある大きなモニターに光が入り周囲の状況が映し出され始めた。
「え、窓? うわったっか!!」
「何ですか?」
砂緒がフルエレが見ている足元のモニターを見ると、魔戦車隊がはるか下に居た。
「これは……空を飛んでいるのですか?」
敵兵達が見上げる先には、古びた元石造の中から出て来たばかりとは思えないクロームメッキの様なテカテカの銀色をした、プレートアーマーをそのまま痩身にして巨大化した様な物体が立っていた。
ウィーン、カチャッ
羽根ペンか、はたまた蛾の触覚の様な二本の巨大な角飾りが頭部兜の額で起き上がる。
二人を乗せた魔ローダーが起動し、兜の下で真っ赤な細長い両目がギンッと妖しい光を放った。
※出て来た魔ローダー(羽はのちの設定です……)