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レース⑨ 決着……a

お読み頂いてありがとうございます。

ミス修正しました。(分割しました)


「はいはい」


 依世は目を細め凄く嫌そうな顔で操縦桿を握りしめた。それもこれも抱悶を早く生き返らせる為である。

 ドシュウッ!!

 途端にル・ツーの背中からアゲハの羽が伸び、両腕の無い体から魔法の光が噴き出した。


『いざ尋常に勝負ッイヤァアアアッ!!』


 特に剣の腕が強い訳でも無く、性能的に新型量産機SRXと大差が無いメランのル・ツーそっくり機体は剣を振り上げながらトテトテと走り出した。

 ツーーーッ

 それを見てスナコの両目から熱い涙が流れ落ちた。


「スナコちゃんどうしたの?」

「おいおい泣いてるぞ」


 兎幸と依世は砂緒の真意が分からなかった。


「ヌルい、ヌルいわぁああ! 我が過去の女とはいえその程度の剣かっ!」

「過去の女言うな言われたばかりでしょ?」


 トテトテと走って来るメラン専用SRXがル・ツーの間合いに入った瞬間であった。

 ビシュッ!!

 うっかりしていると一筋の光にしか見えないル・ツーのカカト落としの一閃が、一瞬でメラン専用魔呂の肩に決まった。

 ドシューーッ

 激しい音を立て地面に落ちる木剣を握る腕。


『ギャーーーッ!? 腕が腕がーー』


 メランは余りの激痛に本当に腕が取れたかの様に錯乱する。


「容赦せんなーー?」


 依世が呆れてスナコを見た。


「不器用ですからー」


 ザザッ

『砂緒さん酷い、少しは手加減してくれると思ってた……告白した時の気持ちは本当の気持ちだったのに』


 肩を押さえ鳴き声で訴えかけるメラン。


「負けた途端に女を出して来たぞ」

『済まぬでゴザルぴょんよ、綱盗み娘が走って行きよるでな先を急ぐで悪く思わぬで下されー』


 薄情な砂緒の心には何も響く物は無く、あっさりと無視して走り出した。


『あっコラーー無視すんなーーー!』


 プンスカと片手を挙げて怒り散らすメランの機体はどんどんと小さくなって行った。




 ズザザッ!

 走り続けるル・ツーの前に今度は当然の様にセレネのXSが立ちはだかった。XSはメランの正式採用機SRXよりも掛け値なしに各段に弱い練習機であった。


『スナコ、此処は通さん!』


「ゲッセレネ……」


 メランの時と違い砂緒はドキッとして一瞬どうすれば良いか迷った。


「わわっアレ見て!」

「スパーダがひっくり返ってるピョンよ!」


 兎幸が指差す方を見ると、リュデュア・セリカのスパーダが頭からでんぐり返りあられも無い姿を晒していた。


「リュデュア大丈夫ですか?」

『リュデュア大丈夫ですか?』


『安心せよ刀背打ち(みねうち)だ』


 セレネが言いながらビュンッと木剣を振ると、手品の様にスパーダが反応して動き出した。


『う、う~~ん』

『リュデュア立てますか!?』


 ル・ツーが接近してスパーダをゴロンと転がすと手を差し伸べて立ち上がらせた。


『よっこらしょっと』

『ありがとうございます。ホント情けない』


 リュデュア・セリカは風スキルを放ちながらも果敢に木剣で挑みに掛かったが、セレネから猛攻撃をされて気絶していたのだった。


『リュデュア、君は先に走って先行する綱盗み娘から再び飾り綱を奪い返して下さい!』

『で、でも』


『スンナリ行かす訳なかろう!』


 セレネのXSが邪魔しようとするが、逆にスナコのル・ツーがバスケット選手の様に両手を広げて立ちはだかる。


『リュデュア早く!』

『は、はい、すいません! 風よ出でよ、うりゃーーーーー!!』


 スパーダは両掌を後ろに広げ、アイ○ンマ○の様に風の勢いで走り去って行く。

 ズバアアアアーーーッ




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