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レース⑦ 最後の敵……




 ポチャッ

 池のカエルの様に、夫婦岩の端っこの海面からル・ツーのトゲトゲしい頭がひょっこり現れた。


『リュデュア殿大丈夫そうですぞ、綱飾りを奪って下さい』

『はい!』


 兎幸の代声でリュデュア・セリカのスパーダも顔を出して夫婦岩によじ登り始めた。


「私てっきり夫婦岩の上にも何か敵が隠れてると思ってたよ」

「いやはやさすがにセレネもそこまでの罰当たりでは無かった様です」

「でも神様が掛けた綱飾りを奪うだけでも立派な罰当たりピョンよ~~~」

「そう言えばそうよね!」

「それは言わない約束ですぞ」

「アハハハ」

「ウフフフ」

「ピョンピョン」

「て、アンタと和んでる場合じゃないよっ!」

「兎幸、ピョンピョンは笑い声ですかな?」


『取りました!』


 ドボーーーーン!

 再び二機そろって海に飛び込むと、追い付いた先程の二組のペアがサメの様に周囲を探りながら泳いでいる。


「あいつら綱奪うつもりかしら?」

「そんなバトルロワイヤル的なルールあったの?」


『リュデュア殿、綱をしっかり持っておいて下さい!』

『はい!』


「また兎幸が勝手に発言を」

「スナコの心の声を代声したの!」


 もちろんデタラメである。




 ザッパーーーン!!

 夫婦岩から泳ぎ戻り、再び二機は浜辺から上陸する。


「マーーーメイドッ!!」

「それ何よ?」


 叫んだ台詞からスナコと瑠璃ィは同程度である事が分かった。

 キキーーーッ

 だがそのまま勢いよく走り出そうとした瞬間、ル・ツーの足元で浜辺のギリギリに迫っていた魔道学院生ルンブレッタ達が乗るオープン魔ーと危うく踏みそうになる程に交差する。

 ズダダダダッ


「今スナコちゃんのル・ツーが!!」

「そうだな、パートナーが綱飾りを見事掴んでいた」 


「凄い、じゃあスナコさんペアが事実上の勝利ね!」

「他のペアも上陸して後を追い掛けていくわっ!」


 ヴィヴィアとラパンもきっちりと状況を解説しつつ叫んだ。


「なんて事だっスナコちゃんが誰かと結ばれてしまう!?」

「いいんじゃね~の?」


 何故か含み笑いをする蘭観であった。




 ズダダダダ

 魔車を危うく踏みそうになったル・ツーだが、しかしそのままの勢いで帰途の走りを開始した。


「やだっさっきルンブレッタと眼が合っちゃった……」


 操縦しながらスナコが片手を赤らめた頬に当てる。


「アンタ地声でその台詞は果てしなく不気味過ぎるわよ、鳥肌立ったわ。正直に正体言うか姿消すかしないと、あの真面目そうな学生さんに失礼よ」


 依世は本気で一体コイツどうするつもりなのかと真意を知りたかった。


「……拙者もどうするべきかもう分からないでゴザルよ……」


 一瞬険しい顔で俯くスナコに依世は事態の深刻さを悟った。


「いっぺん思い切って愛し合ってみたら良いピョンよ!」

「兎幸ちゃんなんて不謹慎な事言うの!?」

「さすがにソレは……」


 この作品はその様な展開にはならない……




 ッダーーーーーーンッ!!

 等と勝利を確信して無駄話をしつつ注意力散漫になって走っている時であった。突然何かに足を引っかけたリュデュアのスパーダが派手にひっくり返って宙に飛んだ。

 バッシャーーーン!

 そのまま地面に叩きつけられ勢いのままゴロゴロ転がって行く。


『きゃーーーーっ!』


「リュデュア大丈夫かっ!?」

『リュデュア大丈夫かっ!!』


 ズザザザーーッ

 慌ててル・ツーも走りを止めてスパーダの介抱に走る。それと同時に周囲をうろついていた二組のペアも取り敢えず止まった。


「一体何事!?」


 依世が冷静に周囲の状況を魔法モニターで確認した。

 ズザッ!!

 すると突然地面から一機の濃い紺色の魔ローダーが姿を現す。


「えっル・ツーがもう一機?」

「いや、特別製のル・ツーは二機もありません」

「ううん、あれはニセモノだよっ!」


 ル・ツーに縁が深い兎幸が一瞬で見破った。


『砂緒さん私のル・ツーを返せっ!』


『その声はメランですかっ』


 秘匿通信の会話であっさりと正体が分かる二人であった。現れた紺色の魔呂は姿のみル・ツーに似せた特別製のメラン専用SRXである。

 バッサ~~

 その直後、綱飾りを奪ったXSが姿を現す。


『教官命令で、今から綱を奪っても良い事にルール変更する!』


 セレネのXSであった。


「やはり最後の敵はセレネさんだったと言う事か……」

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