魔ローダー、中から現れた銀色の機体b
「化け物くん達! 今です入りなさい!」
内側から数人がかりでぼろぼろの大きな城門を少しだけ開き、城兵が身を乗り出して手招きする。
「イェラ行って下さい! これを」
砂緒はもはやボロボロだが上着をイェラに着させる。
「ほ、本当に何も無い……間抜けな敵が逃がして……くれたんだ、うっ」
ひょこひょこ歩きながらイェラはよろよろと城門の中に入り城兵に抱き抱えられた。
「何をやっているのですか! フルエレも早く入るのですよ」
「あそこ見て! このヘッドチェーンと同じ色で光っているの!」
フルエレが指さす遥か先、王の巨大な像の丁度背中の辺りで確かに光があった。
「それが何か?」
「あそこに行って見よう! 私をあそこに連れていって!」
「本当に怒りますよ!」
フルエレは黙って砂緒の顔を見ている。
「黙って見つめても言う事は聞けません!」
なおもじっと砂緒の事をみつめるフルエレ。
「いつもいつも何でも言う事聞くと思ったら大間違いですから……今度が最後ですよ!」
「有難う!!」
満面の笑顔になるフルエレ。確かに猫呼の言う様に何故ここまで命令を聞いてしまうのか砂緒は自分でも分からなくなって来ていた。
「私も壁になりますが、貴方もその腕輪を全力で展開して下さい! 行きますよ!」
「はいっ!」
返事だけは、しおらしいなと思いながら、先に王の像によじ登るとフルエレの手を掴み上に導く。フルエレの魔法防御が展開して走り始める。
「光ったぞ! 撃て!!」
城門が像で遮蔽され行き場を失ったニナルティナ兵の矛先が像の上を走る魔法防御の光に向く。凄まじい量の攻撃が集中する。
「きゃあああああああ」
腕で頭を抱えながら中腰で走り続けるフルエレ。手を伸ばして彼女を守る砂緒。ついに光が漏れる地点まで来た。
バンッ
「何です!?」
砂緒とフルエレが見ると、光りが漏れていた部分の岩が音とともに吹き飛び、金属質な物が見えていた。バシャッという音と共に何かが開く。開いた部分からさらに光が漏れている。
「もういいです、入ってみるんでしょう」
「は、はい!」
砂緒がフルエレを抱き抱え開いたハッチから中に入り込むと、しゅっと自動で閉まった。
中に入り込むと手狭な空間に横倒しになった椅子と、その前面に砂緒の知識で言う所のコンピューターのモニターの様な物が並んでいる。光はそこから漏れていた。