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戦い⑤ 兎幸危機/シャクシュカ隊……


「覇ァアアアアアッウルトラ兎幸(うさこ)キィイイーーーーーーーック!!!」


 ギュオオオッ!!

 クラウディア王国でマタマタからセレネを救い出した時と同様に兎幸の全身を謎の闘気のオーラが包み、つられて原理不明だがハイパー的モード中のル・ツー千鋼ノ天(せんはがねのてん)の全身からも、ピンク色の巨大な魔力が激しく噴き出していた。

 ビィシューーーッ!!

 そんな火の玉の様なル・ツーがぐんぐんとストラトスフィアに迫って来ていた。




瑠璃ィ(るりぃ)もう止めろ!」

「アンタが首離しぃ~やっ」

「今そんな事言い合ってる場合ですの!?」


 等と首を閉められ狭い操縦席内で乱闘中でも、瑠璃ィキャナリーは神聖連邦帝国の元四旗機操縦者として決して魔法モニターから目を離していなかった。


(アカンこれ当たったら死ぬヤツや……)


 瑠璃ィは紅蓮やセレネに次ぐ強さの一流戦士の本能で一方的に離脱を決断した。


「必殺、海老バックジャンプッ!!」


 バッッ!!

 ウルトラ兎幸キックがヒットしようかという紙一重のギリギリな瞬間に、片腕のストラトスフィアは全身のバネを凄まじくしならせる様に、びよーーんと後ろにバックして避けた。


 ザッシャーーーッ!!

 地面にめり込む勢いで着地して片膝を着く両腕の無いル・ツー千鋼ノ天。


「むおっ!? 空振りですぞ兎幸」

「あいぴょん!」


『スナコさん鮭が逃げたっ!!』


 強風を出していたスパーダのリュデュア・セリカが煙幕の方へ指を差す。




「ぐぎぎ、ぐるじい、逃げるから首閉めんのやめーや坊ちゃん」

「だれが坊ちゃんだよ、七華(しちか)に謝れよ」


 シャルはギルティハンドを解除して瑠璃ィを離した。魔法モニター上でも煙幕の中でル・ツーとスパーダからどんどんと離れて小さくなって行く。


「このまま一旦離脱して作戦の立て直しですわ。いくら何でもすぐに警報が発令されると思いますわっ」


 しかしセレネの意図的な魔法通信封鎖の為に警報は発令されなかった……




 ガシャーンガシャーン!!


「嗚呼っ兎幸、逃げられます! 早く追い掛けますよっ!!」


 砂緒はモニターを見てやきもきする。


「あ、あい……ケホンケホン……でもごめん、やっぱもう兎幸らめーーー」


 なんとか期待に応え頑張ろうとした兎幸だが、必死に操縦桿を握りながらも目をグルグル巻きにしてスナコの肩にぺとっと顔から倒れ込んだ。


「うっ兎幸、大丈夫ですか兎幸!? 熱いっ貴方おでこが猛烈に熱いですよ」


 スナコは、昨晩徹夜で魔法ゲームをやり尽くしたという兎幸を酷使した事を悔やんだ。彼女は残り少ない魔力を一気に放出して魔力不足とオーバーヒートを同時に起こしているのだった。

 バシャッ!!

 スナコは本能的に小型蓄念池の予備魔力を使ってハッチを開け兎幸を冷やそうとした。


「う、うーーん熱い……スナコ、服を脱がして」

「え?」

「早く……」


 仕方なくスナコは兎幸のテニスウェアの様な服の胸元のボタンを開け始めた。

 ぷちぷち……

 途端にもとの魔法自動人形の製造設定年齢にしては健康的に大きめの胸の谷間が露になる。


(今は医療行為ですぞ……)


『あの、スナコさん何を? 追撃は??』


 キュキュッ

『魔法自動人形の兎幸がオーバーヒートで凄い熱で、なんとかしないと壊れちゃうの!』


 一応スナコは女性という事になっているので本当は良いのだが、本能でマズイ場面を見られたと思いせめて掌でパタパタ扇いだ。


『どいてください、行きます魔ローダースキル・弱き風よ出でよっ!!』


 ヒュオオオオオッ!!

 ル・ツーの前で手を合わせるスパーダから、途端に程よい心地よき風が吹き始める。


 キュキュッ

『これは良い、ささっ兎幸身体を冷やすのですぞ』


 スナコは座席の後ろに下がり、兎幸の全身に風を当てさせた。




『ありがとうセリカ、兎幸もう大丈夫だよっ!』


 解放されたハッチから笑顔の兎幸が手を振った。


(いつも兎幸に助けられてばかり、いつかお返しをせねば……)


 彼女の笑顔を見て砂緒は本気でホッとした。


『良かったです、スナコさん動けますか?』

『予備蓄念池があるから、ハデな動きは無理だけど歩くくらいは!』(ボード)

『ル・ツーの腕は無いけど、こちらの肩は貸します!』


 ズシャズシャズシャ

 ゆっくりとスパーダはル・ツーに向けて歩みを進めた。


 ゆらーーーり

 だが今肩を貸すと言ったばかりのリュデュア・セリカのスパーダが、何故かぴたっと止まってしゃがむル・ツーの前で呆然と立ち尽くした。


『どうしたの?』


 スナコは一瞬だけ怪訝な顔をして見上げる。


『スナコさん貴方シャクシュカ隊って知っていますか?』


 セリカからの唐突な質問だった。


『シャクシュカタイ? 済まぬセリカ殿わらしはちょっと分からぬでゴザルぴょんよ』(代声)

蘭奢待(らんじゃたい)の親戚かなーーっ?)


『いえそうですか、お気になさらないでさぁ身体を』


 スパーダのセリカは手を差し伸べてル・ツーの腰に回すと、二機は支え合って歩き出した。

8月3日

新プロローグは713に移動しました。

また、章と部分がズレズレになっていたのを元に戻しました。千岐大蛇周辺など章割りしていなかった部分も今後章に分けて行きますので、過去どんな話があったか分かりやすく見てもらえる様にしたいと思います。


8月2日

順次初期の推敲や章の調整をしているのですが、なんと「プロローグ Ⅰ雪の女王」が抜け落ちている事に気付きました。あんまり楽しい回では無いのですが、重要な回でこれが無いと後の話が訳が分からなくなるので、もしよろしければお読み下さい!(239)

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