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魔ローダー、中から現れた銀色の機体 ‐


「城兵さん、この像をなぎ倒し新たな障壁にします! 衝撃に備えて下さい!」

「お、おいそんな事出来るのか!? というかそんな事するな! 代々守って来た王の像だぞ!」

「砂緒本当に出来るの?」

「は、橋の方を落とせ砂緒!」


 二人が口々に叫ぶ。


「まあ見てて下さい、はああああ」


 パチンッ

 砂緒は像の基壇の前に立つと、はーっと息を吸ってから思い切りパンチをしてみた。


 ぺちっと音がしただけで何の効果も無かった。


 しかもその上同じ材質だからか砂緒は初めての激痛を感じていた。ひたすら我慢して横を向くと城門に張り付いて、手を繋ぎ唯々砂緒を見守る二人。


「今のは予行演習!」


 もう後が無かった。しこたま弾を受け続けながら集中する為に目を瞑る。


 かつての建造物の時の大理石、鉄筋やコンクリートあらゆる背負っていた物を拳に集中するイメージを続けた。


 かすかに光った拳がキーンという音とともに急速に強く光り、白色から透明な光の色に変わる。さらに拳はバチバチと青白い電気も纏っていた。


「はああああああああああああああああああああ!!!!!」


 ドゴオオオオオオオン!!!

 思い切り王の巨大石像の基壇を殴りつけた。


 ヒットした瞬間凄まじい音と共に爆発が起こり、爆風で何も見えなくなった。腕輪のシールドで守られるフルエレとイェラが身を屈める。


「何なの!? 砂緒は大丈夫なの!?」


 煙が去ると、基壇に袖が破けた砂緒の腕が深く突き刺さり、そこから多数の深いひびが入っていた。みるみるひびがさらに巨大に大きく走り出し、がらがらという危険な音が鳴り響き始めた。


「凄い……本当にやっちゃった……」


 がらがらという凄まじい音と共に橋のかかる堀に向かって倒れ始める巨大石像。


「う、うそだろ……」

「魔戦車隊、後退!!」


 倒れ込んで迫って来る巨大な石像の下では、ニナルティナ軍が大混乱となり、我先にと逃げ惑い魔戦車が味方の兵を引き殺して後退していた。


 砂緒ら三人は城門に文字通り張り付き、腕で頭を覆いながら凄まじい衝撃から身を守っていた。


 ズズズドドドドドドォォォオオオオオンンンン。


 大音響と共に遂に巨大石像は最後まで倒れこみ、これを物理的に削って魔戦車隊が城内になだれ込むのは困難と思われる状態になった。

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