紅蓮とサッワ再び
城内各所でメドース・リガリァとニナルティナ遺臣による制圧戦闘が始まった。
ー魔ローダー庫。
ドパパパパ! パンパン
突然の襲撃に訳も分からず、魔呂庫にいた整備員や警備兵達が魔ローダーを盾に抵抗を試みていたが、完全武装の意思統一された兵士の動きには対応できず、次々に掃討されて行く。
「降伏だ!」
整備兵の一人が手を上げる。
パンパン!
直後、それを見ていなかった別の兵士達に射殺されて倒れる。
「バカめっ! 無駄に殺すな、わが軍の兵士になるのだぞ!?」
「も、申し訳ありません」
「もう良い忘れろ! よし背後から回り込め!」
「ハッ」
誤射されて死んだ兵士を放置して戦闘は続く。
ー約20分後。
「A班ハンガー制圧!」
「B班整備場制圧!」
「C班ゲート制圧!!」
次々に各所制圧の報告が入る。ココ姫指揮の元、いとも簡単に魔ローダー庫は完全制圧目前になった。
「わたくしよ、ココナツヒメよ玻璃ノ宮を返しなさい!」
最後の砦に半透明の旗機魔ローダー、ル・ワン玻璃ノ宮を守っていた兵士達は、車椅子生活のはずのココナの元気な声に半信半疑で戦闘を継続する。
「ええい、仕方が無い! 撃て撃て!!」
ドパパパン!!
家臣の命で最後の兵士達が撃たれた。
「クリアーー!」
「行きますわよっ!」
コツコツコツ
ココ姫とクレウは整備用の鉄の階段を走り登った。
「気を付けて下さい」
ハッチ前で手を振るクレウの腕をぐいっと引っ張り、無理やり一緒に乗り込んだ。
バシャッ!
閉まるハッチ。
「何を言っていますの? 私の戦闘中に浮気は許しませんわ」
「ハハ何をバカな」
どこまで本気か不明なココ姫の言葉にクレウは引きつった。
「久しぶりですわ……わたくしの城、ル・ワン玻璃ノ宮起動!」
ヒュイーーーーン!
クレウが操縦席の後ろで立って見守る中、ココ姫と名前を変えたココナツヒメは遂に自分の愛機を起動させた。
『魔呂庫制圧ご苦労ですわ、新たな命を下します。抱悶様の妹君カヤちゃんの行方が不明です。彼女には特殊な能力も無く弱くて心配ですの。速やかに確実に安全を確保して頂きたいの』
「ハッ!」
足元の兵達は即座に敬礼で返した。もちろん意味は真逆である事も十分理解していた。それを聞いてもクレウは、もはや特に何も言わなくなった。
ポーーン!
魔ローダースキルスタンバイのランプが点灯する。
「行きますわ、瞬間移動(単)!!」
シュンッ
魔ローダー玻璃ノ宮は魔呂庫から一瞬で消えた。
シュバッ!!
直後に玉座の間に現れる。目の前では白鳥號が屈んでは玉座背後の崖を広げようと手で掘っていた。無人の為に基本的動作しか出来ず、あまり知能は高く無い様に見えた。
「斬るのかい?」
「いいえ貴方。あれは我らまおう軍の象徴である機体ですわ。内部念池切れまで戦い続けるしか無いですわね、おりゃーーーー!!!」
突然叫ぶと、白鳥號の腰を掴みバックドロップで城内の壁に叩き付けた。
ドガーーーン! ガラガラガラ
城内を地震とは異なる異常な衝撃が走り、各所で侍女達が抱き合って悲鳴を上げる。
「こ、これお前。私達の城(予定)が潰れてしまうよ」
「あら、お前だなんて……嬉しい……ええ、そうですわね私達の愛の巣ですわ!」
壁に叩き付けられた白鳥號は不気味に立ち上がる。いくら広大な空間とは言え、魔呂二機が立ち向かうとそこはもう一杯の狭さとなった。
『ウウーーーーッ!』
「あら唸っていますの白鳥號ちゃん? では確実に仕留めますわ、おりゃーーー!!」
二機はガッチリと組み合った。
ー城内地下。
おかしな放送を契機に混乱は一気に広がった。サッワは抱悶の亡骸を背負いながらカヤの手を引き、誰にも会わぬ様に気配や足音にも注意して進んだ。
「貴様はどっち派だ?」
「何の事だよ!?」
「やれ!」
パパン!
地下ですら、こうした小競り合いや衝突音を何度か聞いた。
牢番所近くで死体を発見したサッワは、それを横目に壁からスペアキーを取る。
チャリッ
「もう死んでる、カヤちゃん見ないで……でもこれなら地下牢に一気に行ける、走るよ!」
「う、うん! お姉さん達の牢??」
カヤはサッワの手をぎゅっと握り従い走った。
ーVIP用地下牢前。
タタタ……
神妙な顔をして待つ二人の耳に足音が忍び寄る。
「牢番さん?」
「大丈夫だった??」
紅蓮と依世は状況が掴めずもどかしい中、鉄格子を握り笑顔で牢番の帰還にホッとしたが……
「残念だな、牢番では無い。ミカお前に話があるんだ」
「アンタ?」
「やっぱりお姉さん達?」
女装紅蓮を無視しサッワは依世に話し掛けた。
「豪炎!!!」
ドバンッ!
直後、フォークを握った紅蓮が炎を出し、鉄格子を一瞬で溶かして吹っ飛ばした……
「貴様、美柑に指一本でも触れるな……」
※荒涼回廊に名称改正前の地図を全部消してしまっていたのですが、新しい域外三国の地図を作りました。
設定6月25日更新
主人公3人
砂緒 元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。またその場合ホワイトボードで文字会話する。
雪乃フルエレ ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫 だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留と名乗る。性格は割と普通の女の子。
セレネ ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。魔呂学科の教官も務める。
ユティトレッド魔導学園関係者
ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。
ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。
ルシネーア 生徒会書記でユーキュリーネに心酔している。
リュディア・セリカ 魔呂学科生。元敵方トリッシュの市民で学園に推薦転校して来た庶民的な子。
ユリィーナ 魔呂学科生。剣の腕に覚えがある生徒。
熱血眼鏡女教師 一見清楚な女教師だが教育の為にはおかしくなる事も。
サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。(非魔呂学科)
学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。
マイヤー 片眼鏡の才女で学園長(国王)の信頼できる部下。魔呂部隊も管理している。
ユ魔導学院関係者
ラフィーヌ・ビュートッエ 美形で真面目な熱血学院生でセレネの幼馴染、影が薄い。
アルピオーネ・マーチェラ 美形で少しキザな金髪青年。雪布留に接近しようとする。
ルンブレッタ・スーヴェテ 年齢より若く見え可愛い女の子の様な外見をしているがちゃんと男。スナコに一目ぼれする。
アスティ・ティーニ 長身で筋肉がある美形俺様キャラ。ルンを慕うが無視される。
蘭観・ファーラル 美形だが変人でメカや薬品好き。
教授 ダンディなイケおじで生徒を暖かく見守る。
仲間
依世 雪乃フルエレの妹。 美柑 と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。
猫呼クラウディア 東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。
兎幸 うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に協力したりする心強いサポート係。
イェラ 元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。
メラン 元魔導士の冒険者だったが、フルエレ砂緒と知り合い同盟軍の魔ローダー搭乗者になった。二人が居ない時は一応魔呂部隊の責任者となっている。ル・ツー千鋼ノ天に速き稲妻Ⅱと勝手に命名していた。
シャル 猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。
ライラ 猫呼の部下でフルエレ女王のボディーガード。鎌を使い、服共々フルエレに貸した事がある。
イライザ 喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。
ニィル イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。
有未レナード公 旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。
衣図ライグ 雪乃フルエレが砂緒の次に知り合った西リュフミュランの領主。大男でガラが悪い。
為嘉アルベルト 故人。ニナルティナの若き美形貴族で雪乃フルエレとフィアンセ同然になるが戦死。
ジェンナ 元メドース・リガリァの女魔呂操縦者で同盟に帰順した。
カレン 元トリッシュ市民でゲリラ活動をしていた少女。砂緒の事が本気で嫌いだが現地妻呼ばわりされる。
芹沢老人 七華が好きな元行商のスケベな老人だが、独自の情報網を持つ。
ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。
メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。
炎の国まおう軍
まおう抱悶 可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。
ココ姫 元ココナツヒメ。かねてより抱悶に仕え、武器を流しセブンリーファで争乱を引き起こしていたが雪乃フルエレとの戦争に負け重症。車椅子生活を送っていたが、白鳥號の回復(超)の力で復活した。
クレウ まおう軍三魔将。ココナツヒメをかいがいしく世話をし続ける。透明化魔法の使い手で元同盟軍の猫呼の闇ギルド員であった。
サッワ まおう軍三魔将の少年。魔ローダーは操縦出来るが、実はめちゃめちゃ弱い。笛の名手。
カヤ まおう抱悶の妹でクマミミの美少女。サッワの事が好きになる。
神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)
姫乃ソラーレ 聖帝の娘で紅蓮の姉。雪乃フルエレと全く同じ顔声をしている。清楚な美女だが多少の武術の修行はしている上に魔力も高い。常に帝国と民の平安を願う聖女。
紅蓮アルフォード 【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。
瑠璃ィキャナリー るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説 の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。
貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。
猫弐矢 猫呼の兄(次男)でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。
猫名(三毛猫仮面) 猫呼の兄(長男)で国を飛び出し各地を放浪し三毛猫仮面となる。七華を狙うも砂緒に敗れ各地を転戦、今はまおう軍に所属しスピネルと名乗る。
大猫乃主 おおねこのぬし、猫名・猫弐矢・猫呼の父親でクラウディア王国前王。神聖連邦帝国に降伏時に退位し、千岐大蛇退治の時にル・ツーと共に深い海に沈んで泡となって完全に消えた。
魔法メカ・ロボット
魔ローダー 全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。
蛇輪、日蝕白蛇輪 へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。
ル・スリー白鳥號 はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。
ル・ツー千鋼ノ天 る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。
ル・ワン玻璃ノ宮 るわんはりのみや。炎の国まおう軍の始祖、王永嶋フィロソフィー王の機体で現在はココナツヒメ(ココ姫)の専用機。氷の様な美しい半透明の水色の装甲を持ち、瞬間移動(長)(短)の魔ローダースキルを持つ。戦闘能力自体は特に高くない普通の機体。同盟軍の【結界君】がある地には接近出来ない。
一般機体
XS25 学園生徒達が授業で乗る最弱機体。
SRV 同盟の量産型機で青や赤、緑などの派手なツヤツヤ塗装。
SRV2ルネッサ 王女セレネ用カスタム機体。
SRX 同盟軍次期量産用試験機。
ユーキュリネイド 生徒会長ユーキュリーネの家に伝わる純白の貴族な機体。
ゴレムーⅡ 書記ルシネーアの家に伝わるそれなりな機体。目立たない様に茶色い。
VT25スパーダ かつて伝説の等ウェキ玻璃音大王が若き日搭乗した百年前以上の機体。
GSX-X6ストラトスフィア(謎の不審機・鮭) 魔呂実習中に乱入して来た謎の機体。通常の魔呂の1・3倍程の巨体で全身銀色の流線形をしている。フルエレが赤いライン模様を見て鮭の切り身みたいだと言ったので、以後シャケと呼ばれる。その正体は神聖連邦帝国の最新高性能試験機で全身に複数の魔ァンプリファヤを持ち一定時間の飛行能力もある。操縦者は桃伝説を取り上げられた瑠璃ィキャナリー。
アイテム
魔輪 まりん、魔法力で動くオートバイ。凄く静か……
魔ァンプリファイヤ 魔呂や魔輪、魔戦車などあらゆる魔法乗り物の中枢魔力増幅機関。魔呂のは超巨大で稀にスキルを持つ物が生まれる。破壊されるとスキルは消えて修復不能。




