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ザ・イ・オサ新城移転⑤ 南の守り


 そこへ地声スナコちゃんが口を挟む。


衣図(いず)ライグ共よ勝ち誇ってる所悪いのですが、南から敵が攻めて来る事は1Nミリも考えてないんですか? そんな全防衛力を海岸線に集中させてしまって良いのでしょうか」


 その問いに有未レナードが色めき立った。


「ありえん!! 今大同盟を組んでいるまおう軍は戦上手な上に堅牢な山々に守られている。神聖連邦帝国が遠い東の地から遠征して来て、わざわざ損耗の激しい戦いを覚悟してまで南を突破して同盟領に攻めて来るなんて事は、この天才軍師のレナード様が100パー無いと宣言するぜ!」


 しかし砂緒はまだまだ疑念を抱いた。


「まおう軍がいきなり裏切ったりしませんかね? そうすると南ががら空き状態になると思うのですが」


 そこへ今度は衣図ライグが反論する。


「おいおい、見た目が可愛くなったからって頭がバカになってちゃ洒落になんねえや。砂緒よ、お前がまおう抱悶(だもん)と仲良くなってスンナリ成立した大同盟じゃねえかっ!」

「絶対とか100パーとか程、信用出来ない言葉はありません」


 スナコは猫呼(ねここ)の様に肩をすぼめ両手を広げた。


「ちょっとどうしたのよ? 衣図さんの言う通り抱悶ちゃんと仲良くしていれば大同盟は安泰よ。砂緒とセレネと違って私あんまり交流無いから、今度抱悶ちゃんを招いて炎を囲んでフォークダンス大会しようと思っているの」

「何故フォークダンス大会?」


 スナコは眉間にシワを寄せた。


「おおそりゃいいや、俺も混ぜてくれよガハハハ」

「衣図さんリズさんはお元気ですか? 前はなんか残念な再会だったけど、私今もリズさんに貰ったカートレス魔銃ちゃんと持ってるから!」

(あんまり活躍無いけど……)


「おお、元気にしてるぜ嬢ちゃんの事はちゃんと伝えておくからな」


 場が和んだ所でレナードが丸く収めようとする。


「という訳で、女王陛下のお怒りは収まったかな!?」

「ムカーッ全然収まってないわっ!」


 瞬間湯沸かし器の様にフルエレの機嫌は途端に悪くなった。


「おいおいもう許してやんなよ」

「フルエレ堂々巡りです」

「なんて嘘々。理にかなった移転だから納得したわ。それに為嘉(なか)警護城にアルベルトさんの名前を付けてくれてありがとうレナードさん。彼がこれからも新ニナルティナを守って行くのね……」


 最初の沈み込んだ表情と違い、フルエレの表情は晴れやかになっていて、周囲の男たちはホッとした。


「ああ、一応これでも奴の親友だからな」


「あっレナードさん、一つお願いがあるのよ」


 丸く収まりかけた所に再度フルエレの発言で何事かと一同ドキッとする。


「何だよ」

「仮宮殿に最後まで居残っている女子職員が居るのだけど、その子の知人を総動員して必死に慰留させた上で、新宮殿で本人の希望に叶う何かやりがいのある重要な役職に就けて上げて欲しいのよ」


 言われてレナードは渋い顔になってフルエレを見た。


「何ですか怖いですフルエレ、それは新手の報復か何かですか?」


 言い難い事をスナコが代弁する。


「違うわよ、本当に素直に彼女が消えて行くのが寂しいのよ、それだけ」

「オーケー! ただし無理強いはしない。あくまで本人の希望が少しでもあればな」

「それで良いわ」


 人々は感慨深げに黙り込んだ。




 一段落付いた所でナリが頭を下げながらサッと出て来る。


「では女王陛下、女王の寝殿にご案内致します」


 ナリは若いながらも執事として当然の事をした。


「ごめん、これからユティトレッド魔道学園にトンボ帰りするの!」

「へ、フルエレ此処に泊まってみないのですか??」

「泊まらないわよ、セレネを捕まえてとっちめてやるわ!」

「まだ怒ってるじゃないですか……」


 フルエレの勢いにナリはポカーンとした。


「あ、じゃあ皆さんお忙しい所ありがとう! 後の事は良きに計らってね!!」

「レナード、なんとか障壁ですか? ちゃんと修理しておくように」


 二人は嵐の様に去って行った。


「あーーーー又やられたっ! 今度いつ女王会議するか、予定を打ち合わせする前に逃げやがった!!」


 レナードが頭を抱え机に沈み込んだ。その後、学園に戻り外面が切れたフルエレは、セレネに散々文句を言ったという……

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