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紅蓮依世投獄② サッワ接見


 クレウが見送る中、サッワは手を振りながらリムジン魔車に乗りまおう城に帰って行った。


「あーあ、サッワ殿もお帰りです、ココナ様我らも別荘に帰りましょう」


 クレウが車椅子を押しながら踵を返そうとし、お付きの侍女や護衛兵達も付いて行こうとするが……


「あっあーっ!」


 突然車椅子のココナツヒメが首をぐるりと振り向かせ、西の山の方を必死に見ようとする。


「おやっ、ココナさまも故郷の山々が懐かしいのですな……でも夜は冷えます、風邪をひくといけませんから、今日は帰りましょうねっ」

「あーーっあーーっ!!」


 しかしクレウの言葉を理解してかせずか、ココナツヒメは珍しく西の山を必死に見ようとする。


「はいはい、また明日も見に来ましょうねー」

「あーーっ!!」


 珍しく叫ぶココナツヒメを特に気にも留めず、クレウは強引に別荘に向かった。




 ー数時間後、夜のまおう城内。

 帰城した三魔将サッワは、今日城内であった騒動を聞き、まずはまおう抱悶(だもん)に帰還の挨拶をして不在の謝罪をした。彼女はいつもの放漫統治で特に気にしている様子も無く、いつもの様に熊達と遊んでいた。その後サッワは冷や汗を流しながらカヤの部屋に走った。


「カヤさま、ご無事でしたか?」


 部屋の前でサッワは声を掛けた。出会いこそ謎のクマミミ少女であったが、主人抱悶の妹と知れた今は姫として公には丁重に挨拶をした。

 ガチャッ

 扉が開き、カヤは泣きながら出て来た。


「だから私は宴会に出て無いのっ! そんな事よりお姉さん達が誤解で捕まってしまったの、サッワ助けて上げて、お願いよっ!!」


 カヤはサッワの胸に飛び込み、涙を流しつつ訴えた。


「ええ、ご安心を……聞いた所では妹さんの方は金髪をグルグルの輪っかや、おだんごにした特殊な髪型だとか?」

「う、うんそうだよ。変な髪型だけど凄く可愛いの、お姉さんは綺麗……それが??」


 サッワは息を呑んだ。その様な特殊な髪型の少女が二人と居る物かと思った。


(完全にミカか何か言うあの女だ……姉とは誰だ?)

「カヤちゃん良く聞いて、まおう様の誤解を解く為にも今からその二人の元へ接見に向かいます」

「うん、私も行くの!!」

「ダメッ!!」

「え?」


 いつになく厳しい顔のサッワに驚くカヤ。


「あっごめん、違うんだ。どんな理由でも投獄されている相手、みだりに会う事は危険だよ。だから罪が晴れるまでカヤちゃんは近づいちゃダメだ」

「う、うん……」


 サッワは自身のボロが出ない様に、二人とカヤを遠ざけたかった。彼はなんとか彼女をなだめる事に成功すると、再び冷や汗を流しながら大急ぎで地下牢に走った。自身の身分不相応に高まっている評価を何としても守る為だ……




 ーVIP用地下牢。

 カツーンカツーン

 サッワは一旦威厳を取り戻し、ゆっくりとした足取りで階段を降り番所の前で止まる。


「ごほん」

「こ、これは三魔将さまっ!? こんな所へ……少し前にはカヤ様も起こしになりました」


 気の良い牢番はそろそろ戻ろうとしていた所に驚いた。


「今から美女二人に重要な接見を行う、貴様は階段を上がり完全に物音が聞こえない所まで退去せよ、誰も接近させるな!」

「えええ!?」


 棚ぼた的にスピネルの次くらいに権力を得てしまったサッワの命令は絶対である。


「早く行け!」

「へ、へい」


 牢番は実はスケベだと有名なサッワが美少女二人を味見してしまうのではと、気が気でないながら仕方なく去った。




 カツーンカツーン


「ハハハハ、やはりお前か少女? 惨めな物だな、これ程鮮やかな立場逆転があろうか?」


 サッワは最大限ふんぞり返り渾身の力で勝ち誇った。


(うげっ?)

(げっ)


 紅蓮も依世(いよ)もやって来たサッワに瞬間的に反応して顔をしかめた。


「ダレよアンタ何て知らないわ?」


「フハハハ忘れたのか? 大型艦で拘束され床に寝かされながらも、果敢に貴様のパンツを覗こうとしていた、三魔将筆頭のサッワ様だっ。良く思い出せ、輪っかおだんご女!!」


 勝ち誇るサッワに依世も紅蓮も呆れ返った。


「どんな自己紹介よ聞いた事が無いわ。それに私は美柑(ミカ)よ」

「ほぅパピヨンを付けていないと結構可愛いじゃないか」


 サッワは品定めする様に依世の顔をじろじろ見た。

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