有未レナードの作戦とイェラ拘束……c
兵達が向かった先に付いて行くと、男達の円陣が出来ていた。その中心には半裸にされた長身の美女。確かに遠目からでもわかる程のグラマーな体形だった。
周囲の男達がガヤガヤと囃し立てる中、木の杭に縛り付けられた女の鎧や着ている物が外されていっていたのだった。有未が現場に到着したのは、遂に美女の大きな胸を覆う下着代わりの薄布が引っ張られる瞬間だった。
簡単に薄布は外され、多くの男共の目の前に信じられない程形が整った、重力に逆らって上を向く双丘がさらけ出された。あまりの美景に静まり帰る男達。生唾を飲む音が聞こえそうだ。
余程気丈なのか縛り付けられた美女は目を開け身動ぎ一つしないで黙って遠くを見ている。一瞬有未は同じように見とれていた事に気付き我に返りブンブンと首を振る。
「う、いかんいかん、射よ」
事も無げに部下に命令すると、部下たちが一斉に美女の周囲に立つ男達の頭や喉元に矢を射かける。
さくっと矢が突き刺さり、美女の眼前でどさどさっと倒れこむ男達。事態に気付き蜘蛛の子を散らす様に他の男達はちりじりに逃げて行った。
「逃げた者達を追え。部隊を突き止めて捕縛せよ。行け!」
有未は部下に指示して美女に接近すると、わざとらしく顔を大げさに背けて見ない様にして縄を切り始めた。
「あー悪いな敵とはいえ、これはいかんいかんな。暴れんなよ。殺しはしない。戦が終わるまでしかる所で軟禁するが、悪い様にはせんから、大人しくしてくれよな」
「あ」
声がして有未が思わず顔を見ると、縛られていたのはなんと以前戦闘に負け追いかけられた女戦士だった。
「あ」
ー一方フルエレ
小石や木の根を踏む度に、飛んで行くのかという程ジャンプしては着地を繰り返し、猛スピードで森の小道を真っすぐ東に進み、とうとうリュフミュラン王都の城が見える場所まで来ていた、砂緒と雪乃フルエレが乗るサイドカー魔輪。
「煙が沢山出ていますね、急ぎましょう」
二人は平地に出るとさらに猛スピードで周辺の市街を走り抜け、城壁の眼前まで迫った。城壁には複数の破られた箇所と侵入を許した兵士達の死体が転がる。
三重の城壁の中にそびえる城の横に立つ巨大な王の像は、燃え盛る炎に照らされ間抜けな姿を晒していた。中ではまだまだ激しい攻城戦が続けられているが、それが最終段階にあるのは明らかだった。
「私はここから徒歩で城の中に突入します。出来れば最後の城壁の中にまで入って、七華が脱出出来る様に思案します。貴方は真っすぐ南下して村に戻り、リズさんやイェラ、猫呼の無事を確認して逃げるなり隠れるなり相談してて下さい」
「う、うん分かってる」
フルエレはいつになくやけに素直に砂緒に従う。