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紅蓮、まおう城をどり② 生演奏で

「ではこちらで御座います」


 従者がささっと腕を差した。ほぼ強制であるが、それに比してカヤはすすっと後ろに下がった。


「カヤちゃん、どうしたの?」


 依世がびっくりして聞く。


「うん待ってるからーっ!」

「え、一緒に来てくれないの!?」


 紅蓮が度びっくりする。


「行かないよー」

「何故に?」

「お姉さま怖いから!」


 カヤは満面の笑顔で言った。


「エーー~~?」


 そのまま否応無く二人はまおう抱悶が待つ玉座の間に引き連れられて行った。




 ギギギ

 まおう城の最深部、雰囲気タップリの重い扉が開くと広い広い玉座の間に案内された。そこは間というよりも空間というべき場所で、そこまでの城内の調度品や雰囲気とはガラリと変わり、やけに天井が高い洞窟といった風情に造られていた。広いホール城の空間の端々には白い石の柱が床から天井に掛けて鍾乳石の様にそそり立っている。そしてまおう抱悶が座る玉座はその空間の中央に坂道の様に盛り上がった崖の最上段にあった。完璧にラスボスが居るべき場所である。二人はその坂道を上って行く。


「ううっ雰囲気たっぷりだね」

「怖いわー、あの玉座の後ろ崖よね? 落ちたらどうなるんだろう」

「この後ろは本当の崖になっておる! この玉座の間は我らが先祖、王永嶋フィロソフィー王のそのまた先祖が大火山ファイアーバードから生まれた事を表しておる」

「え?」

「凄い地獄耳だな」


 二人はまだ遠い抱悶を見上げた。


「もったいぶらんとはよう来るのじゃ!」


 二人は早足で急いだが、いつの間にか従者達は消えていた。絶対的な強さを誇るまおうには護衛など必要無いのだ。


(遂に来てしまった……僕の旅の終わりなのだろうか)

(何言ってんの? 話し合うんでしょ)

「何をごちゃごちゃ言うておる、そこに控えい」


 それで二人は確信した、抱悶は紅蓮と依世が目で会話が出来る様に、何故か二人の会話が聞こえている様であった。壮大な空間の異様な玉座にカヤを少し大きくした様な可愛いクマミミの少女がちょこんと座っている。そして二人は玉座の前で跪いた。


「可愛い……」


 紅蓮がまおう抱悶を見て最初に抱いた感想であった。


「あんたね、本当に女の子好きを隠さなくなったね」

「ほほぅ? 女が好きかえ」


 紅蓮が可愛いと思ったのは、依世とその姉雪乃フルエレ女王、セレネ、エリゼ玻璃音女王と結構多いが、今回は何か違う様な感覚がした。依世を真横に置いて大きな声では言えないが、何か運命の女性の様な気がして不思議でならなかった。


(あれ、この子と僕は結ばれるのか……い、いやそんな訳が)


 紅蓮は抱悶にも美柑にも気取られてはいけないと思い、すぐに想いを打ち消した。


「ふふっそなたら恐るべき身のこなしで我が妹カヤをかどわかしたとか、本来なら打ち首であるぞよ」

「申し訳御座いません」

「ただ、カヤちゃんがどうしても遊びたいと……私達もカヤちゃんと遊びたいと、悪い事だとは反省しております」


 正直に嘘偽りの無い事であった。


「まあ良い、カヤの上機嫌な態度を見てもそんな所じゃろう。妹から重々罰せぬ様に言われておる。しかし……以前ワシが砂緒とセレネと遊んだ様に、カヤもまた同じ様な体験をするとは不思議な縁じゃ、のう小さい方よ?」


 依世は顔をじろっと見られて、雪乃フルエレに似ている事がバレ無い様に下を向いた。


「あの……まおう抱悶様にお願いの義が、よろしいでしょうか?」


 紅蓮は本題に入った。正体を明かし腹を割って話そうとしたが。


「うむ、両親の仇を探して旅をしておるとか、踊りを披露してワシの協力を得たいのじゃな?」

「うっ」


 余計な設定であった。


「見事をどりを披露すれば願いを聞き届けて下さいますか?」

「良いじゃろう。演目はなんじゃ??」


(演目? そんな物考えて無かった……)

「う、ではグロリアス帆布のミカン色の星を」


 今日カヤと見ただけの演奏がパッと浮かんだので適当に言った。


「ほほぅ? てっきり伝統芸能かと思いきやモダンな。そうじゃな、五件熊殿の社殿建設を祝おうとしておった所じゃ、そのバンドを呼んで生演奏で祝いの踊りを披露せい! 会談終了、下がれ!!」


 紅蓮の顔から血の気が引いた。


(え、生演奏でをどりを披露だって!? どんどん状況が酷くなって行くぞ)


挿絵(By みてみん)

超簡単あらすじ

I セブンリーファ島の古き盟主、ニナルティナ王国が滅亡します。

人物:砂緒と雪乃フルエレが出会い、喫茶店を開店しニナルティナや三毛猫仮面と戦います。


II 力の空白が生まれ、メドース・リガリァ王国とまおう軍が暗躍します。

人物:紅蓮&美柑とメド国エリゼ女王が出会い、砂緒がセレネに手を出し、フルエレがアルベルトに惹かれます。


III 北部海峡列国同盟とメドース・リガリァの決戦が始まります。

人物:砂緒とセレネが旅をして神聖連邦帝国聖都に乗り込み聖女姫乃ソラーレに会います。雪乃フルエレが北部同盟の女王としてメド国と戦い悲劇を経験します。


IV 東の神聖連邦帝国が偵察に訪れ、大同盟の女王が即位します。

人物:神聖連邦帝国重臣、貴城乃シューネが暗躍し紅蓮がフォローします。雪乃フルエレ女王がメド国の旧領を合わせた大同盟の女王にも即位します。


V 東の地クラウディア王国に千岐大蛇が現れ皆で戦います。

人物:三毛猫仮面、猫名が故郷に帰ります。砂緒とセレネと雪乃フルエレの三角関係に一応の決着が着きます。


2ーI セブンリーファ島大同盟に平和な日々が訪れます。

人物:スナコ(砂緒女装)と雪乃フルエレ女王がセレネのユティトレッド魔導学園に転入します。


2ーII現 大同盟に暗雲が垂れ込み始めます。

人物:紅蓮&依世がまおう軍領に潜入してしまいます。



設定5月29日更新

主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。またその場合ホワイトボードで文字会話する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。性格は割と普通の女の子。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。魔呂学科の教官も務める。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

ルシネーア 生徒会書記でユーキュリーネに心酔している。

リュディア・セリカ 魔呂学科生。元敵方トリッシュの市民で学園に推薦転校して来た庶民的な子。

ユリィーナ 魔呂学科生。剣の腕に覚えがある生徒。

熱血眼鏡女教師 一見清楚な女教師だが教育の為にはおかしくなる事も。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。(非魔呂学科)

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。

マイヤー 片眼鏡の才女で学園長(国王)の信頼できる部下。魔呂部隊も管理している。


ユ魔導学院関係者

ラフィーヌ・ビュートッエ 美形で真面目な熱血学院生でセレネの幼馴染、影が薄い。

アルピオーネ・マーチェラ 美形で少しキザな金髪青年。雪布留に接近しようとする。

ルンブレッタ・スーヴェテ 年齢より若く見え可愛い女の子の様な外見をしているがちゃんと男。スナコに一目ぼれする。

アスティ・ティーニ 長身で筋肉がある美形俺様キャラ。ルンを慕うが無視される。

蘭観・ファーラル 美形だが変人でメカや薬品好き。

教授 ダンディなイケおじで生徒を暖かく見守る。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に協力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


メラン 元魔導士の冒険者だったが、フルエレ砂緒と知り合い同盟軍の魔ローダー搭乗者になった。二人が居ない時は一応魔呂部隊の責任者となっている。ル・ツー千鋼ノ天に速き稲妻Ⅱと勝手に命名していた。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

ライラ  猫呼の部下でフルエレ女王のボディーガード。鎌を使い、服共々フルエレに貸した事がある。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。

ジェンナ 元メドース・リガリァの女魔呂操縦者で同盟に帰順した。

カレン 元トリッシュ市民でゲリラ活動をしていた少女。砂緒の事が本気で嫌いだが現地妻呼ばわりされる。

芹沢老人  七華が好きな元行商のスケベな老人だが、独自の情報網を持つ。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。



まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

姫乃ソラーレ 聖帝の娘で紅蓮の姉。雪乃フルエレと全く同じ顔声をしている。清楚な美女だが多少の武術の修行はしている上に魔力も高い。常に帝国と民の平安を願う聖女。


紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄(次男)でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。

猫名(三毛猫仮面) 猫呼の兄(長男)で国を飛び出し各地を放浪し三毛猫仮面となる。七華を狙うも砂緒に敗れ各地を転戦、今はまおう軍に所属しスピネルと名乗る。


大猫乃主 おおねこのぬし、猫名・猫弐矢・猫呼の父親でクラウディア王国前王。神聖連邦帝国に降伏時に退位し、千岐大蛇退治の時にル・ツーと共に深い海に沈んで泡となって完全に消えた。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。


ル・ツー千鋼ノ天  る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。


一般機体

XS25 学園生徒達が授業で乗る最弱機体。

SRV 同盟の量産型機で青や赤、緑などの派手なツヤツヤ塗装。

SRV2ルネッサ 王女セレネ用カスタム機体。

SRX 同盟軍次期量産用試験機。


ユーキュリネイド 生徒会長ユーキュリーネの家に伝わる純白の貴族な機体。

ゴレムーⅡ 書記ルシネーアの家に伝わるそれなりな機体。目立たない様に茶色い。

VT25スパーダ かつて伝説の等ウェキ玻璃音大王が若き日搭乗した百年前以上の機体。


謎の不審機・鮭 魔呂実習中に乱入して来た謎の機体。通常の魔呂の1・3倍程の巨体で全身銀色の流線形をしている。フルエレが赤いライン模様を見て鮭の切り身みたいだと言ったので、以後シャケと呼ばれる。


アイテム

魔輪 まりん、魔法力で動くオートバイ。凄く静か……

魔ァンプリファイヤ 魔呂や魔輪、魔戦車などあらゆる魔法乗り物の中枢魔力増幅機関。魔呂のは超巨大で稀にスキルを持つ物が生まれる。破壊されるとスキルは消えて修復不能。

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