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すれ違い三魔将③ココナツヒメ……

(ちょっと、僕達何を見せられてるんだ)

(カヤちゃん逃げてーーっソイツはただのエロ少年よっ!)

(この場を切り抜けたらカヤちゃんに教えてあげよう)

(信じるかな……)


 と、そんな会話を紅蓮と依世が目でしている等とは露とも知らずにサッワが笑顔で近づいて来た。


「お許し下さい。あの方はぶっきらぼうな所はありますが、実は凄く優しい方なのです……多分」

「い、いえ、少しびっくりしただけです。騎士さまは優しいのね」


(おいキサマーッ!?)


 何故かサッワを持ち上げる紅蓮に依世は一瞬怖い顔で睨んだ。


(切り抜ける為さっ)


 等と言っても実際は女装をしている自分が楽しいだけだった。


「いえいえ当たり前の事。お嬢さんお困りの事があればこのサッワにご相談下さい」


 サッワは大袈裟に胸に手を当て頭を下げた。


「サッワ今からどこか行くの? 寂しいよー」

「ココナツヒメ様の転地療法に行くクレウ殿と一緒にトコナッツまで行くよ。けれど僕は直ぐに戻ってくるからね」

「そうなのですカヤ様、サッワ殿をお借りします」


 クレウが頭を下げた。


「うん、また笛聞かせてくれるー??」

「お望みならいつでも!! ではまた」


 クレウとサッワは揃って頭を下げると引き下がった。手を振るカヤの前で二人の姿は小さくなって行く。




(ふぅ行きよったわ……)

(切り抜けたね)


 紅蓮と依世は離れて顔を見合わせた。彼らとすればいつでもビュンッと飛んで逃げる事が出来るが、出来れば大同盟相手のまおう軍と事を荒げたく無かった。


「じゃ、まおう城に入ろう!」

「うん?」

「本当に!?」


 カヤが正門前に立つと、通用口から召使達が出て来た。


「カヤさまっ、お探ししましたっ!」

「まあっ人さらいよっ」

「この人たちは友達だからねっ! 怒っちゃダメだよ」

「はぁ?」


 ギギギ……

 その会話の途中に城門の大きな扉が開く。中にはずらっと兵士達が並んでいた。


「さぁ行くのじゃー!」

「うっ」

「ひええ」


 二人は胸を張るカヤの後ろを恐る恐る付いて行った。




 一方停車場に向かったサッワとクレウは、待っていたココナツヒメのリムジン魔車に乗り込んだ。

 バタムッ!

 ドアを閉めると車椅子から降ろされたココナツヒメが声を上げた。


「あうあー」

「お叱りはごもっとも、ココナツヒメさま遅れまして申し訳ありません」

「お言葉がわかるのですか?」


 サッワが怪訝な顔でクレウに聞いた。


「……その様に仰ってられると信じています」

「よし行け!」


 サッワが厳しい顔で言うと運転魔導士が静かに車を出す。炎の国市街を北に向けて走り出した。


「ココナツヒメさまの生まれ故郷、トコナッツに行けば何か変わるかもしれない、儚い望みでしょうか」

「いいえ、そんな事無いですよ」

「サッワ殿はお優しいわざわざ付いて来て頂いて。それに反してスピネル殿は何故これ程ココナ様を嫌われるのか。しかしそれにしては愛妻家ぶりは凄い物ですな」

「いえ、彼はいい人なんですが、それ以上に複雑な事情が……愛妻家なのもどこまで本当の彼の姿なのか、単純な人では無いのです」


 サッワは彼の故郷クラウディア王国での戦いを思い出したが、詳しくは触れなかった。



「でも……もう無理かなとは思っているのです、挫けそうになる事も」


 クレウは頭を下げ暗い顔になる。


「ちょっとご本人の前で!」


 そう言われてサッワは少し前のまおう抱悶と交わした会話を思い出した。




 ーまおう城玉座の間。そこは高い崖の様になっている恐ろしい場所である。サッワは緊張して直訴した。


「まおう様、どうぞお願いです! 白鳥號を取り戻しココナ様に回復(超)をっ!!」

「なんじゃまたその話か……メンドクサイのう」

「何卒何卒!!」


 サッワは命を懸けしつこく食い下がった。


「ふふふ、カヤの男の頼みか……」

「そ、それは、申し訳ありませぬ」


 彼は生きてる心地がしなかった。


「良いじゃろう……そろそろ頃合いとは思っておった。掛けてやるかのう?」

「え!? ほほほほ本当ですか? して白鳥號はどのように取り返すのですか」

「バカ者、白鳥號はワシが念じれば何処からでも飛んで来よるわ。それに同盟からも保管の連絡は来ておる。慌てる必要はないぞよ」

「ハッ!?」


 サッワは目の前がぱあっと明るくなる思いがした。


挿絵(By みてみん)

各関連エピソード(話数は分割等により変動する場合が御座います)


・「まおう軍将、ココナツヒメ重傷」

章 メドース・リガリァ本土攻撃

439 か、ギラギラする日。Ⅱ上 ココナツヒメさま……


・「サッワとクマミミ少女カヤの出会い」

章 北部中部新同盟女王選定会議開始

551 第三幕 戦火の嵐 中 まおう軍の地に生きるⅢ サッワの笛


・「紅蓮、スピネルを蹴って気絶さす」

章 Ⅴ 千岐大蛇チマタノカガチ

674 一緒にいるのに別れ ①


・「パピヨンマスク(美柑)依世、大型艦船倉に転がるサッワに呆れる」

章 Ⅴ 千岐大蛇チマタノカガチ

683 神スキル 国引き ⑥ 父娘



超簡単あらすじ

I セブンリーファ島の古き盟主、ニナルティナ王国が滅亡します。

人物:砂緒と雪乃フルエレが出会い、喫茶店を開店しニナルティナや三毛猫仮面と戦います。


II 力の空白が生まれ、メドース・リガリァ王国とまおう軍が暗躍します。

人物:紅蓮&美柑とメド国エリゼ女王が出会い、砂緒がセレネに手を出し、フルエレがアルベルトに惹かれます。


III 北部海峡列国同盟とメドース・リガリァの決戦が始まります。

人物:砂緒とセレネが旅をして神聖連邦帝国聖都に乗り込み聖女姫乃ソラーレに会います。雪乃フルエレが北部同盟の女王としてメド国と戦い悲劇を経験します。


IV 東の神聖連邦帝国が偵察に訪れ、大同盟の女王が即位します。

人物:神聖連邦帝国重臣、貴城乃シューネが暗躍し紅蓮がフォローします。雪乃フルエレ女王がメド国の旧領を合わせた大同盟の女王にも即位します。


V 東の地クラウディア王国に千岐大蛇が現れ皆で戦います。

人物:三毛猫仮面、猫名が故郷に帰ります。砂緒とセレネと雪乃フルエレの三角関係に一応の決着が着きます。


2ーI セブンリーファ島大同盟に平和な日々が訪れます。

人物:スナコ(砂緒女装)と雪乃フルエレ女王がセレネのユティトレッド魔導学園に転入します。


2ーII現 大同盟に暗雲が垂れ込み始めます。

人物:紅蓮&依世がまおう軍領に潜入してしまいます。

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