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すれ違い三魔将②サッワ&スピネル疑念


 一方馬刺しバーガーを食べて盛り上がった紅蓮と依世(いよ)とクマミミ少女カヤは、スクー魔ーをそっと現地に戻し、タイミングが悪い事に今まさに徒歩でまおう城正門に向かって来ていた。


「もーっ馬刺しバーガー美味しかったよっ! ごめんなさいって言ってるでしょ」

「鬼ババ信用して無かった癖にー、今度こそちゃんとまおう城に案内するモン! コッチコッチ」


 カヤは満面の笑顔で超高速で掌をクイクイする。


「鬼ババ言うなコラ」

「え、このまま正門から普通に入れるの? カヤちゃん何者なのかな」

「エヘンエヘン」


 何だかカヤは胸を張って正門に向けて歩き出した。それはそれでドキドキしてしまう紅蓮と依世である。


(え、このまま門が開いて入っちゃえるの? 大丈夫なの?) 

(てか本当にカヤちゃん顔パスなの?)


 二人は顔を見合わせてカヤの後を付いて行く。遠くに見えていたまおう城の巨大な姿がどんどん近づいてくる。中には魔ローダー倉庫もある相当な広大さである。



「あっサッワだ~~~~!!!」

「カヤちゃん!!」


 寝耳に水であった。おずおずと後ろを付いて行っていた紅蓮依世の前で、カヤは突然スタタと走り出し目の前で少年と人目もはばからず抱き合うと、くるくると回転して笑いあった。


「すっごい偶然、サッワ聞いて街で友達が出来たのっ!」

「お付きの方達は?」


 サッワが周囲をキョロキョロする。


「今日は単独行動OKだったのさっ!」

「いや嘘でしょー、でもお友達が出来たのって凄いじゃないか、紹介してよっ」


 その声を聴いて紅蓮と依世は背中が飛び上がる程、度ビクッとする。


(あれってエロ少年のサッワだよね!?)

(うん、めっちゃ弱い三魔将か何か言う子供だよ)

(どうするのよ?)


「おや、サッワ殿いつの間にカヤ様とその様な事に!? なんという隅に置けぬハハ」

「い、いえ僕の笛の音にいたく感心なされてそれ以来仲良くしてくれてナハハ」


 照れて頭を掻いた。めったに笑顔にならない陰気なクレウが笑ってくれてサッワは嬉しかった。


「いやそれよりも……」


 仕出しに行くと言っていたスピネルが声を聞いて急カーブで戻って来る。


(ゲッあいつ!?)

(知り合い?)

(思い切り蹴って気絶させて、白鳥號を奪ってやった……)

(ヤバイね、逃げる??)


 等と目で会話している内にえらい勢いでスピネルはツカツカとやって来る。慌てて依世は紅蓮の胸に顔を埋めた。


「其方……どこかで?」


 物凄い早業でスピネルは、怖がって抱き合う風の二人を無視して姉役、紅蓮の女装のアゴをクイっと持ち上げた。スピネルは険しい表情で紅蓮の瞳を見つめる。


「アッ」

「ちょ、ちょっとスピネルさん何してんですか!? その子はカヤちゃんの大切なお友達ですぞ」

「スピネル殿ともあろう御方がなんと古典的な……奥方が泣きますぞ」


 二人は紅蓮の女装に完全に騙されていて、スピネルが女性にちょっかいを出していると思い込んだ。


「こらっスピネル命令じゃぞっその手を離さんかっ姉上に言い付けるぞよ!!」


 カヤはサッワと二人きりの時はより口語に近付くが、家臣の前では変な口調になった。尊敬する姉の真似をしているのだった。


「知らん。この娘が怪しいと言っている」


 スピネルは意地になってあごクイを続けた。


「離してっ!」


 紅蓮は言いながらパシッとスピネルの手を弾いた。


「ほほぅ声もおかしいな」

「喉を傷めていてゴホッ失礼ねっ!」


 紅蓮は誤魔化すが……しかし手を払うという気の強い行動が、スピネルの琴線に触れた。彼は気の強い気位の高い高貴な女性が好みであった。謝罪などしていたら全く良く無かった。


「うむ、良いであろうハハハ! では仕出しに参る!!」


 スピネルは笑いながら歩いて行った。


「ゴメンなさいお嬢さん、あの人自由過ぎてまおう様以外手が付けられなくて」

「ううう」


 依世は顔を埋めながら泣き真似をした。


「そりゃ怖いでしょ、悪気は無いのです」

「そうですよ、まおう軍が悪の軍団の様に思われてしまう」

「サッワはいつ何時でも女の子に優しいな!」


 カヤはサッワを騎士の様な羨望の眼差しで見上げた。


「フフ、私は困っている人を見ると放っておけない性分なんだよ」

「わーーーいサッワ好きっ!」


 笑顔のカヤを見て紅蓮は目を細めた。

各関連エピソード(話数は分割等により変動する場合が御座います)


・「まおう軍将、ココナツヒメ重傷」

章 メドース・リガリァ本土攻撃

439 か、ギラギラする日。Ⅱ上 ココナツヒメさま……


・「サッワとクマミミ少女カヤの出会い」

章 北部中部新同盟女王選定会議開始

551 第三幕 戦火の嵐 中 まおう軍の地に生きるⅢ サッワの笛


・「紅蓮、スピネルを蹴って気絶さす」

章 Ⅴ 千岐大蛇チマタノカガチ

674 一緒にいるのに別れ ①


・「パピヨンマスク(美柑)依世、大型艦船倉に転がるサッワに呆れる」

章 Ⅴ 千岐大蛇チマタノカガチ

683 神スキル 国引き ⑥ 父娘



超簡単あらすじ

I セブンリーファ島の古き盟主、ニナルティナ王国が滅亡します。

人物:砂緒と雪乃フルエレが出会い、喫茶店を開店しニナルティナや三毛猫仮面と戦います。


II 力の空白が生まれ、メドース・リガリァ王国とまおう軍が暗躍します。

人物:紅蓮&美柑とメド国エリゼ女王が出会い、砂緒がセレネに手を出し、フルエレがアルベルトに惹かれます。


III 北部海峡列国同盟とメドース・リガリァの決戦が始まります。

人物:砂緒とセレネが旅をして神聖連邦帝国聖都に乗り込み聖女姫乃ソラーレに会います。雪乃フルエレが北部同盟の女王としてメド国と戦い悲劇を経験します。


IV 東の神聖連邦帝国が偵察に訪れ、大同盟の女王が即位します。

人物:神聖連邦帝国重臣、貴城乃シューネが暗躍し紅蓮がフォローします。雪乃フルエレ女王がメド国の旧領を合わせた大同盟の女王にも即位します。


V 東の地クラウディア王国に千岐大蛇が現れ皆で戦います。

人物:三毛猫仮面、猫名が故郷に帰ります。砂緒とセレネと雪乃フルエレの三角関係に一応の決着が着きます。


2ーI セブンリーファ島大同盟に平和な日々が訪れます。

人物:スナコ(砂緒女装)と雪乃フルエレ女王がセレネのユティトレッド魔導学園に転入します。


2ーII現 大同盟に暗雲が垂れ込み始めます。

人物:紅蓮&依世がまおう軍領に潜入してしまいます。

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