表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

813/1099

③ まおう城へのつて


 カーンカーンカーーン

 コーーンコーーン

 紅蓮達が見に行くと、そこは何等かの建築物の建設工事が行われていた。


「あのう、これは一体何なのでしょうか?」


 紅蓮は道行く人に聞いた。


「まあべっぴんさんねえ。此処は五軒熊さんが新しい神殿を建てている所だよ。丁度今日は棟上げの儀式があるのよ~」


 ご機嫌なご婦人が紅蓮の女装を褒めてくれて彼は機嫌が良くなったが……


「マダムありがとうフフ。……ちょっと美柑(ミカ)、芯柱御建ての儀って単なる棟上げ祝いの事じゃないか期待して損したよっ!?」

「紅蓮……貴方本気でスケベな儀式か何かだと期待していたでしょ」

「……」


 等と会話していると……


「皆見てみろよ! 芯の御柱が立ったぞ!! ヨーーッ」


 パチパチパチ

 一斉に観衆から拍手が上がった。


「つまらん!」

「つまらん言うなーッ!」


「あの芯柱の上におまじないの縄飾りを置いたら完成よ!」


 またご婦人が指を差した。


「どうでも良い、僕達は急いでるんだまおう城に急ごう」

「紅蓮貴方……?」


 紅蓮は非常に渋い顔をしていた。


「わらわがやるーっお姉さまみたいにビュンって飛ぶんだモン!!」

「あ、カヤさま、お嬢様行けません!!」


 ちらりと声の方を見ると、先程のクマミミ少女が今度は大工さんから縄飾りを奪い、凄い機敏さでぴょんぴょんと人々の間をすり抜け、芯柱という一際大きな柱に登り始めた。


「大丈夫なのかあの子?」

「深窓の御令嬢と思っていたのにアクティブね」

(姉上みたいな子……)


 依世(いよ)は一瞬、幼き日素潜りで鮑を取ってくれた姉、夜宵(やよい)姫の事を思い出した。しかし見る間にえらい勢いでクマミミ少女は柱を上り詰めて行く。そして遂に高い高い柱に登ってしまった。


「ふははは、どうじゃ姉上にもサッワにも自慢してやるの! うふふふ……う?」


 ビューーーッ

 興奮したまま登り切ったクマミミ少女だが、冷静になって下を見た途端に足がすくんだ。彼女には多少普通よりは健脚なだけで、空を飛ぶ能力など無かった。


(アワワワ、どうやって降りよう……)


 その少女の異変は下からも伺えた。


「いけねえ、あの子足がすくみやがった! よし命綱を付けておいらが登ろう」


 若い大工さんが救助に向かおうとする。


「お、お嬢様ぁ~!?」


 召使い達が悲惨な顔で叫ぶ。

 ビューーッ

 しかしその時突風が吹き、遂にぐらりとした少女がコケた。


「きゃーーーっ!?」


 芯柱の先っぽにクマミミ少女はぶら下がった。人々が悲鳴を上げる。


「だめだっ大工さんの速度じゃ間に合わない、行こう!」

「え、目立つんじゃない!?」


 等と依世が言う間に既に紅蓮はセレネの様に、ピョンピョンと小さな節を足掛かりに忍者の如く一瞬で登り切った。


「何だあのお嬢さんは!?」


 人々が指を差す。


「君、手を貸して!」

「怖い……」

「えいっ」


 怖がる少女の手を取り無理やり引っ張り上げた。そのまま紅蓮はお姫様抱っこで柱の上に座り込んだ。人々が息を飲む。


「……ありがとう、其方は?」

「うふふ、お節介なお姉さんよ」

「もーっ紅蓮、まおう城に急ぐんじゃ無かったの!!」


 フワリと依世が飛んで来た。


「ぎょぎょ、お前さん飛べるのかえ? 姉上みたいじゃ」


 クマミミ少女が遥か高い場所を余裕で飛ぶ依世にギョッとする。


「まあね、凄いでしょー」

(姉上?)


「ごめんごめん、この子を降ろしたら本気でまおう城へのつてを探すよ」


 しかし紅蓮はクマミミ少女を抱えてまんざらでも無い様だった。


「待て、其方らまおう城に行きたいの? わらわがまおう城へ案内してやっても良いぞ」

「え、君がー?」

「嘘くささ100%よ」

「失礼なっ! だが条件がある、あの下におる召使い達は実は悪人でな、わらわを監禁しておるのじゃ、あ奴らから私を救って欲しい」


 少女はビシッと指を差した。


「え~嘘っぽ。貴方深窓の御令嬢で、あの方達ただの召使いだよねっ」

「ちがーう、あいつらは悪人だモン! あれだめこれだめ言うんだモン」

「まあ良いよ。まおう城のつてが彼女しか無いなら、彼女に従ってみよう」

「ええ!? 本気紅蓮」

「よっと」


 紅蓮は少女を抱えたまま柱の上に立ち上がった。恐怖で少女は強く抱き着く。


「きゃあ!?」

「依世、重いけど私を抱えて飛んで!!」

「知らないわよ、この子は後で返しま~~~す!!」


 そのまま紅蓮はゲ〇ゲの鬼〇郎の如く飛んで行った。


挿絵(By みてみん)

お読みいただいてありがとうございます。

ブックマークお願いします!


設定5月29日更新

主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。またその場合ホワイトボードで文字会話する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。性格は割と普通の女の子。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。魔呂学科の教官も務める。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

ルシネーア 生徒会書記でユーキュリーネに心酔している。

リュディア・セリカ 魔呂学科生。元敵方トリッシュの市民で学園に推薦転校して来た庶民的な子。

ユリィーナ 魔呂学科生。剣の腕に覚えがある生徒。

熱血眼鏡女教師 一見清楚な女教師だが教育の為にはおかしくなる事も。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。(非魔呂学科)

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。

マイヤー 片眼鏡の才女で学園長(国王)の信頼できる部下。魔呂部隊も管理している。


ユ魔導学院関係者

ラフィーヌ・ビュートッエ 美形で真面目な熱血学院生でセレネの幼馴染、影が薄い。

アルピオーネ・マーチェラ 美形で少しキザな金髪青年。雪布留に接近しようとする。

ルンブレッタ・スーヴェテ 年齢より若く見え可愛い女の子の様な外見をしているがちゃんと男。スナコに一目ぼれする。

アスティ・ティーニ 長身で筋肉がある美形俺様キャラ。ルンを慕うが無視される。

蘭観・ファーラル 美形だが変人でメカや薬品好き。

教授 ダンディなイケおじで生徒を暖かく見守る。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に協力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


メラン 元魔導士の冒険者だったが、フルエレ砂緒と知り合い同盟軍の魔ローダー搭乗者になった。二人が居ない時は一応魔呂部隊の責任者となっている。ル・ツー千鋼ノ天に速き稲妻Ⅱと勝手に命名していた。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

ライラ  猫呼の部下でフルエレ女王のボディーガード。鎌を使い、服共々フルエレに貸した事がある。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。

ジェンナ 元メドース・リガリァの女魔呂操縦者で同盟に帰順した。

カレン 元トリッシュ市民でゲリラ活動をしていた少女。砂緒の事が本気で嫌いだが現地妻呼ばわりされる。

芹沢老人  七華が好きな元行商のスケベな老人だが、独自の情報網を持つ。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。



まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

姫乃ソラーレ 聖帝の娘で紅蓮の姉。雪乃フルエレと全く同じ顔声をしている。清楚な美女だが多少の武術の修行はしている上に魔力も高い。常に帝国と民の平安を願う聖女。


紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄(次男)でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。

猫名(三毛猫仮面) 猫呼の兄(長男)で国を飛び出し各地を放浪し三毛猫仮面となる。七華を狙うも砂緒に敗れ各地を転戦、今はまおう軍に所属しスピネルと名乗る。


大猫乃主 おおねこのぬし、猫名・猫弐矢・猫呼の父親でクラウディア王国前王。神聖連邦帝国に降伏時に退位し、千岐大蛇退治の時にル・ツーと共に深い海に沈んで泡となって完全に消えた。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。


ル・ツー千鋼ノ天  る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。


一般機体

XS25 学園生徒達が授業で乗る最弱機体。

SRV 同盟の量産型機で青や赤、緑などの派手なツヤツヤ塗装。

SRV2ルネッサ 王女セレネ用カスタム機体。

SRX 同盟軍次期量産用試験機。


ユーキュリネイド 生徒会長ユーキュリーネの家に伝わる純白の貴族な機体。

ゴレムーⅡ 書記ルシネーアの家に伝わるそれなりな機体。目立たない様に茶色い。

VT25スパーダ かつて伝説の等ウェキ玻璃音大王が若き日搭乗した百年前以上の機体。


謎の不審機・鮭 魔呂実習中に乱入して来た謎の機体。通常の魔呂の1・3倍程の巨体で全身銀色の流線形をしている。フルエレが赤いライン模様を見て鮭の切り身みたいだと言ったので、以後シャケと呼ばれる。


アイテム

魔輪 まりん、魔法力で動くオートバイ。凄く静か……

魔ァンプリファイヤ 魔呂や魔輪、魔戦車などあらゆる魔法乗り物の中枢魔力増幅機関。魔呂のは超巨大で稀にスキルを持つ物が生まれる。破壊されるとスキルは消えて修復不能。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ