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昔話、始まりの男女……

「気持ち悪い……」

美柑(ミカ)どうしたの?」

「フェ?」


 古城の綺麗な景色なのに急に顔をしかめる依世(いよ)に紅蓮は戸惑う。


「この中庭もお城の造りも余りにも私の家、【海と山とに挟まれた小さき王国】のお城にそっくりなの……」


 依世は不安げにあちこちを眺めた。


「ハッ!? つまり僕たちは遥か未来にタイムスリップしてしまったんだよ! 此処は未来の滅びた海と山と国なんだっ!」

「ナン・じゃってーッ!?」

「? 滅びたとか言うな縁起でもないわ」


 依世は紅蓮の素っ頓狂な発言に目を丸くした。


「フェッフェッフェッ、お姉さんや決して此処は滅びた海と山と国でも未来の姿でも何でもないんじゃよ。とにかくお城の玉座に行ってしまおうかのう?」

「う、うん」

「いやーどんどん暗くなっているけど……」


 紅蓮と依世は灯り魔法をともしながら、あからさまに妖しいお婆さんに付いて行った。

 PON!

 と、突然フェレットが飛び出し、勝手に白いフェンリルの姿に戻った。彼は娘二人? で舐められちゃダメだと自ら無言のプレッシャーを掛ける為に出て来たのだ。


「依世、オレも付いて行くぜ」

「あ、コラ……」

「おやおや可愛い白イヌさんじゃのうヨシヨシ」


 お婆さんは恐れる事無くフェレットの頭を撫ぜ、二人は顔を見合わせた。




 やがて三人はスムーズに玉座の間にたどり着いた。灯り魔法に照らされたそこは、やはりツタや木々が生い茂ってしまっていたが、依世の故郷海と山と国の城内そっくりであった。


「凄い……玉座まで気持ち悪い程に似ている、というか同じ」


 依世が玉座を眺め天井を見上げながら呟いた。


「おや……お嬢ちゃんまさか」

「うっ」

「海と山と国のお城にも観光を?」


 二人は軽くコケた。


「おほほ、そうなの私達姉妹でお城を観光したのよ」

「そうじゃろうのう……では此処の秘密を教えて欲しいかえ?」


 お婆さんは無意味に煽った。しかし二人はそれに乗った。


「ヒミツ!? 知りたい知りたい~」

「教えておばあ様」


 二人は素直にねだった。


「よいじゃろう、昔昔とんでも無く昔さいしょの始まりの人間の男女は、炎の国の大火山ファイアーバードの火口から生まれたんじゃ」

「ヘェー?」

「コラッ」


 白い目であからさまに疑う依世に紅蓮がグーで軽く叱る。


(どんな事でも受け入れてちゃんと聞く!)

(はぁ~い)


「良いかえ? 火山で生まれたさいしょの男女は順調に子供を産みどんどん人間は増え、高い壁に守られた外輪山の中に街が栄え、人々は幸せに暮らしたんじゃ……」

「ほえー」

「ふーん」

「アオーン」


「だがある時、一人の若者が思ったんじゃこの外輪山の外の世界はどんな物じゃろうかと、そしてある日好奇心に我慢が出来なくなった若者は外輪山をよじ登り遂に外の世界に飛び出てしまったんじゃ。そうして生まれた村が、今の【山と村】の少し東にある古の集落跡じゃ……そこを開拓した若者は外輪山から家族を呼び寄せ、その村は発展して行ったんじゃ」 


「へぇーそこから人類がどんどん増えて行ったのねえ」

「壮大な話だわあ……けどそれと小さき王国とどんな関係が?」


「フェッフェ。まだまだ続きがあるぞえ、時が経ってもその村の住人は壁を飛び出た若者の気質を受け継ぎ好奇心が強く、村が発展するだけでは我慢が出来ず、ある時三人の若者と男女家来達がそれぞれ好きな場所に向け旅を始めたんじゃ」


「ほほぅ旅を」

「分かるわぁ」


 冒険者の依世も紅蓮も気持ちが良く分かった。


「最初に旅立った一行は、火山の西今の【まおう軍領】に落ち着き【まおう城】周辺に村を作った……それがまおう軍の最初の王、【王長嶋フィロソフィー王】の事じゃ。そして二番目の一行は東に進んだ。神々が住む高い山を越え遂に東の海岸に出た。そこを【太陽に向かう浜】と名付け定着したが、中からさらに東の海に渡った一行も居た。それが東の地、【神聖連邦帝国】の始まりとも言われているのじゃ」


 紅蓮の顔に衝撃が走った。


(つまり我が祖先の初代聖帝陛下に……)


「あのー小さき王国の事忘れてません? なんで二つのお城は似ているの」


 依世が激しく尋ねた。


挿絵(By みてみん)

お読みいただいてありがとうございます。

この物語の主役はあくまで砂緒です。

このまま主役が紅蓮アルフォードに移る等という事は決して無いですので

しばし紅蓮視点が続きますが、何卒お読み頂けると有難いです。


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設定5月29日更新

主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。またその場合ホワイトボードで文字会話する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。性格は割と普通の女の子。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。魔呂学科の教官も務める。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

ルシネーア 生徒会書記でユーキュリーネに心酔している。

リュディア・セリカ 魔呂学科生。元敵方トリッシュの市民で学園に推薦転校して来た庶民的な子。

ユリィーナ 魔呂学科生。剣の腕に覚えがある生徒。

熱血眼鏡女教師 一見清楚な女教師だが教育の為にはおかしくなる事も。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。(非魔呂学科)

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。

マイヤー 片眼鏡の才女で学園長(国王)の信頼できる部下。魔呂部隊も管理している。


ユ魔導学院関係者

ラフィーヌ・ビュートッエ 美形で真面目な熱血学院生でセレネの幼馴染、影が薄い。

アルピオーネ・マーチェラ 美形で少しキザな金髪青年。雪布留に接近しようとする。

ルンブレッタ・スーヴェテ 年齢より若く見え可愛い女の子の様な外見をしているがちゃんと男。スナコに一目ぼれする。

アスティ・ティーニ 長身で筋肉がある美形俺様キャラ。ルンを慕うが無視される。

蘭観・ファーラル 美形だが変人でメカや薬品好き。

教授 ダンディなイケおじで生徒を暖かく見守る。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に協力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


メラン 元魔導士の冒険者だったが、フルエレ砂緒と知り合い同盟軍の魔ローダー搭乗者になった。二人が居ない時は一応魔呂部隊の責任者となっている。ル・ツー千鋼ノ天に速き稲妻Ⅱと勝手に命名していた。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

ライラ  猫呼の部下でフルエレ女王のボディーガード。鎌を使い、服共々フルエレに貸した事がある。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。

ジェンナ 元メドース・リガリァの女魔呂操縦者で同盟に帰順した。

カレン 元トリッシュ市民でゲリラ活動をしていた少女。砂緒の事が本気で嫌いだが現地妻呼ばわりされる。

芹沢老人  七華が好きな元行商のスケベな老人だが、独自の情報網を持つ。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。



まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

姫乃ソラーレ 聖帝の娘で紅蓮の姉。雪乃フルエレと全く同じ顔声をしている。清楚な美女だが多少の武術の修行はしている上に魔力も高い。常に帝国と民の平安を願う聖女。


紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄(次男)でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。

猫名(三毛猫仮面) 猫呼の兄(長男)で国を飛び出し各地を放浪し三毛猫仮面となる。七華を狙うも砂緒に敗れ各地を転戦、今はまおう軍に所属しスピネルと名乗る。


大猫乃主 おおねこのぬし、猫名・猫弐矢・猫呼の父親でクラウディア王国前王。神聖連邦帝国に降伏時に退位し、千岐大蛇退治の時にル・ツーと共に深い海に沈んで泡となって完全に消えた。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。


ル・ツー千鋼ノ天  る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。


一般機体

XS25 学園生徒達が授業で乗る最弱機体。

SRV 同盟の量産型機で青や赤、緑などの派手なツヤツヤ塗装。

SRV2ルネッサ 王女セレネ用カスタム機体。

SRX 同盟軍次期量産用試験機。


ユーキュリネイド 生徒会長ユーキュリーネの家に伝わる純白の貴族な機体。

ゴレムーⅡ 書記ルシネーアの家に伝わるそれなりな機体。目立たない様に茶色い。

VT25スパーダ かつて伝説の等ウェキ玻璃音大王が若き日搭乗した百年前以上の機体。


謎の不審機・鮭 魔呂実習中に乱入して来た謎の機体。通常の魔呂の1・3倍程の巨体で全身銀色の流線形をしている。フルエレが赤いライン模様を見て鮭の切り身みたいだと言ったので、以後シャケと呼ばれる。


アイテム

魔輪 まりん、魔法力で動くオートバイ。凄く静か……

魔ァンプリファイヤ 魔呂や魔輪、魔戦車などあらゆる魔法乗り物の中枢魔力増幅機関。魔呂のは超巨大で稀にスキルを持つ物が生まれる。破壊されるとスキルは消えて修復不能。

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