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火照るミラ 新たな調理人……


 ミラが覗いているとも知らずにイェラはスナコを攻め続けた。


「ふふ、もっとどんどん脱がせてやろうか? 顔だけ女の子の情けない姿になるな……」


 はだけた肩からさらに制服をずり降ろそうと引っ張った。


「止めて下さい、人が来てしまう」

「ではこっちはどうかな?」


 等と言いながらイェラはスナコのプリーツスカートのさらに下のジャージを少し降ろし、白い太ももを軽く触る。


「おや、つるつるだな、もしかして脱毛しているのか情けない」

「言わないで下さい、もうなるべく生足を出すのは止めたんです」


 最初は調子に乗って生足でスカートを履いていたスナコだが、ルンブレッタの登場以降何故か急に羞恥心が芽生え、常にジャージを履く様になっていた。


「ふふっそんな事を言いながら、此処はこんな風にして恥ずかしいヤツ」

「いやっ言わないでっ」


 イェラは男の娘モノで頻出の台詞を言い放った。年齢制限の為に詳細は書けないが、彼女はスナコを長い指で妖しく弄び始めた。



(お、おい……あの女、スナコのスカートとジャージの中にまで手を突っ込んで、女同士で何やってんだよ!)


 ミラは林に隠れながら二人の様子を凝視していたが、もはや割って止めに入るのもはばかられる様な状態に突入し、彼女は顔を真っ赤にして硬直して固唾を飲んでしまった。



「はぁはぁ……いけない子だな……お仕置きが必要だフフ」

「ダメです、ハァハァこんな場所じゃ、誰かに見られちゃう……色んな意味で通報されます……くっ」


 林の木々で全身は見えないのだが、相当に妖しい段階に移行しつつあるのは明らかだった。



(何やってんだよ! 何でお前いつも迫られてんだ? 破廉恥過ぎるだろーがっ止めろよ……スナコ)


 だがそんな事を思いながら目を皿の様にして覗くミラの身体にも微妙な変化が表れ始めた。何故かはぁはぁと息が荒くなり、体がカッと熱くなって来たのだ……


(はぁはぁ……カラダが変だ……スナコを見てると段々……何だか)


 いくら硬派で真面目なミラでも、二人を見て自分が何を欲しているのかは薄っすらと分かっている。額に汗が滲み手持無沙汰に掌が空を舞う。

 パキッ

 しかし油断したミラが大きめの枝を踏んでしまう。


(しまった!?)


「見られた!?」

「誰だっ!! 出て来い!」


 スナコが背中を向け、大声でイェラが怒鳴った。


(何なんだよ、見られてヤバイのはお前らだろーーがっ! スナコのアホーーッ!!)


 心の中で叫びながらミラは一目散に走り出した。当然ながらその足音は二人に聞こえたが、背中を向けていたスナコは逃げた者が誰かは見る事は出来なかった。


「行ってしまったな……」

「どうしよう見られた!」

「構わんだろう、続きだっ」

「ちょ、ちょっと」

 

 抵抗も程ほどにスナコとイェラは林の中に崩れ落ちた。



 ー放課後……部室館。


『ミラジーノすいません、焼きそばパンは謎の部族に襲われて没収されました。また後日ご命令下さい』


 ひょっこり現れたスナコは適当過ぎる嘘を付いた。


「ヘェー?」

「お前嘘だろ、謎の部族って何だよ? 何やってた??」

『ミラ、明日は絶対に買って参ります!』

「ふん」


 スナコが書いても、ミラは目も合わせない。


『すいません、お怒りはごもっともで御座います』

「知るか」


 スナコは彼女はパンを食えなくて怒っていると思っていた。

 ガチャリ

 その時店部分からのドアが開き、雪布留が入って来るなり両手を合わせて笑顔になった。


「今日は皆に紹介したい人がいるの! スナコびっくりするわよ、ほら調理師のイェラよ」

「よっスナコ、久しぶりだな!」


 彼女は何食わぬ顔で入って来てミラはぎょっとする。


『イェラお久しぶりですね!』

「ふふ、此処でも調理を担当する事になったぞ」

『そう心強いわ!』

「ふふふ」

「何だよーまたスナコの知り合いかよ! よろしくなー」


 気楽なジーノは笑顔で握手した。


「ども」


 それに比してミラはぼそっと言ったのみである。


『ごめん、この子パンの恨みで機嫌が悪いんです』


 ペコリと頭を下げるスナコ。


「そんな時もあるさ、よろしくな!」

「はぁ」

(なんつー二人だっ汚い! 汚い二人の関係だよ……部長知っているのか?)


 ミラは内心かなり引いた。

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