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追い掛けるっ跳ぶ!

『うげっあいつ自分の切れた腕を剣で刺しやがったぞ!』

『ソーセージーみてえだな』


 ミラとジーノが抱き合いながらホラーでも見る様に怖がった。


『何だ!? 何のつもりだ、撃て撃て撃ちまくれっ!!』


 なおもセレネは本官さんの様に銃撃を命令し続けた。

 ドパパパパン!


「長篠合戦ですか? セレネは銃を撃ち過ぎです。あれじゃ取り押さえる事が出来ない!」

「言おうか?」


 砂緒の呟きを兎幸が拾うが、彼は手を振った。眼前では、雨あられと全身で弾丸を受ける謎の不審機・シャケが、ジーノが言う様にマンガに出てくる謎肉の如くに剣先に腕を突き刺して掲げている。

 プシューーッ

 がその時であった、鮭の全身から煙幕が発生して猛烈な勢いで周囲を覆い始めた。


『イカン、逃げる気か? 撃ち方やめっ、コラッ撃つなやめいっ!!』

『撃ち方やめっ』

『銃口を上げろ!』


 セレネの命令で慌ててジェンナとカレンがSRV部隊に命令する。



「言わんこっちゃない! 突入する!!」

『スナコ、煙幕の中に突入するピョン!』


 言いながらル・ツーはもくもくとえらい勢いで広がる煙幕の中心に突っ込んで行った。


『私もっ!』

『雪布留さんはダメだっ!』

『エーッ?』

『SRV銃を置いて半数突入! 一般生徒もネズミ一匹逃さぬ様に輪を作れっ!』


 セレネは突然前言を翻した。生徒達は一瞬混乱する。


『セレネ王女、煙幕の中が大混乱しますわ!』

『いいからやれっ!!』


 ユーキュリーネにも苦言を呈されたが、セレネは余計に意地になって命令した。


『各機決して剣は使うな! 相討ちになるぞっ』


 ジェンナが慌てて追加命令を出す。予想通り煙幕の中は、わやくちゃで大混乱となってしまった。

 バキャッ ドンッ


『きゃっ痛い!?』

『鮭かっ!?』

『ちがうもん!』

『くそっ見えん!!』


「ちーっこれではまるでルパン○世ではないですかっ!? なんと無様なっ」


 ドンッと思わずスナコは魔法コンソールを叩いた。

 ドシューーーーッ

 直後、スナコの至近で謎の噴出音が鳴った。さらに何点かのブラストの様な赤い光が見える。


「スナコあれッ!?」

「そこかぁーーーっ!!」


 スナコは当てずっぽうで手刀を振り上げて突っ込んで行く。

 ザシューーッ!!

 が、赤い光のあった場所には既に手ごたえは無く、空振りして急制動を掛ける。


「スナコ上っ!」

「何!?」


 兎幸に言われて上を見上げると、ゴウッとロケットの様に煙幕の中を何者かが赤い光を噴出しながら上昇していく。


「お前はアイ○ンマンかーっ!!」


『しまった、飛んだ!!』

『飛んで来たから飛んで逃げるのよ!』


 セレネの叫びに雪布留が突っ込んだ。


『ええい、SRV撃てっ!』

『待って! スナコが飛んで追い掛けるからっ!』


 セレネの再度の射撃命令に兎幸が即座に制止する。


『飛ぶ!?』

『分かったわ、蛇輪も飛ぶからっ!』

『雪布留さんはダメです。スナコ、今すぐ跳べっっ』

『あいよピョン』


 兎幸がとっさに代理で返事したが、スナコは言われるまでも無く、至近の魔ローダーの頭にジャンプすると、思い切り踏ん張って背中から魔法粒子を放出して飛翔した。


「おりゃーーーーー跳べーーーーーっ!!」

『イデッ』


 頭を踏まれたのは、アスティのSRXであった……

 ゴギーーーン……ゴンッ

 妙な音と共に何かがアスティのSRXの頭の上に落ちてくる。


『うっ?』

『ちょっと何よこれ……きゃっル・ツーの片足!?』


 雪布留は拾ったばかりの、ちぎれた脚部を思わず放り投げた。



 バシュウウーーーーーーーッ

 あたかも衛星打ち上げロケットの如く、全身から赤い粒子を噴出する鮭は一直線に北の空に飛んでいく。


「逃がすかぁあああああ!!!」


 ヒューーーーーーッ

 その後ろを猛烈な勢いで、アゲハの羽から紫の魔法粒子を放出しスナコのル・ツーが飛翔して追い掛けて来た。


「はぁはぁ」


 まだまだグングンと空を駆け上がって行く。兎幸の息が荒い。

 ギュオオオオーーーッ


「あともうちょい!!!」


 ル・ツーは手が届きそうな鮭の脚に腕を伸ばした……

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