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魔呂スキル神速2 


 あたかも隙間があまり無くキッチリした歯車を高速で回転させる様な、ギャーーッという雑音と共にユーキュリーネのユーキュリネイドは、超高速でセレネのXS25の周囲を輪の様に走り回っている。

だがその囲みは攻撃するタイミングを見計らう為にか、徐々に狭まって行った。



『ちょっとキミ、それぜんぜん見えんやないかっ』

『部長っ負けねえでくだせえ』


 ミラとジーノは半泣きでセレネを応援するが……



(うるさいわっ! ミラもジーノも落ち着け)


 だがセレネ自身は実に落ち着いていた。魔法剣士の達人である彼女は静かに瞑想するかの如くに両目をつぶっていた。


(くくく、見える……余裕で見える)


 彼女は得意の魔法の格子を周囲に展開し、それに触れるユーキュリネイドの動きを手に取る様に完全に把握していた。

高速で走り抜ける生徒会長の機体は、彼女の脳内のグリッドに鮮やかに記憶映像で再現され見えていた。


(しかし、どうした物か? このXSの機体性能ではパワーも腕の動きも全く奴のユーキュリネイドには追い付けない。つまり奴が斬りかかって来てから対処しても間に合わない……予測して対応するしか無い)



(ふふふ、さしものセレネ王女も手も足も出ないですわね! 一発で勝負を決めてやりますわっ!)


 ギャギャギャッ

 同じく周囲を回りながら走り抜けるユーキュリーネは、もはや余裕でトドメを刺すタイミングだけを見計らって居た。



(周囲を高速回転しながら面を打つのは難しい……木剣を振り上げる時に折角のスピードを殺す事になってしまう。恐らく奴は走り抜けながら胴を打とうとするはず。かと言って最初から胴を守れば奴の判断を変えさせる……よし、気持ち上げ気味に竹刀を構え、顔を守ろう……)


 セレネは自然に気取られぬ様に竹刀をやや持ち上げ気味に構えた。



(いけるわっ!! 彼女は私の位置が分からなくて取り敢えず面を守っている?? よし後ろから流れる様に胴を討つっ!!)


 決めるや否や、彼女は丁度セレネのXSの後ろに回り込んだ直後、狭まった輪のままに流れる様にしゅーっと背中から胴を斬りに掛かった。



(動いたっ! 背中から接近したっそこっっ!!)


 見えてから動いてもXSの動きでは追えないので、あらかじめ接敵位置を予測して振り返り竹刀を逆手に構えた……。



 パアァーーーーンッッ!!

 人々には突然竹刀が弾けた様に見えた。

セレネの読みは完全に当たった。

 ズザザアアアアーーーッ

 ユーキュリネイドは地面に手をついて後ろに後退して止まった。

弾けた竹刀をセンサーに、同じくセレネのXSも後ろにピョインと飛んで止まった。

両者共に竹刀が弾けるという予想外の出来事に、少し驚いてびっくりして警戒を優先したのだった。

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