またまた生徒会長の判定……
ー次の日。
この小説はいい加減なので土日などは気にしないで下さい……
「遅い!! ユーキュリーネは何をやっている!?」
放課後、遂に修理が完成したル・ツー千鋼ノ天を披露して、生徒会長ユーキュリーネに討伐部室館の継続使用を許可してもらおうと、セレネは彼女を学院に呼び出して居た。
「そうカリカリしないで。学園から学院に来てもらうのよ、時間が掛かるわ」
『佐々木小次郎みたいです、落ち着いて下さい。鞘を投げ捨てると撲殺されますよ』
「意味が分からんわ」
セレネはさらにカリカリした。
「でもさー敵陣に呼び込む訳だから、セレネも策士よねえ」
「いや、それ程の敵陣という訳じゃない」
「にゃんで?」
「何でも……」
言いながらセレネはラフィーヌをちらっと見た。
「そう言えば教授が言っていたけど、作業場に散らばっていた金メッキ、本物の24金なんだけど……本当に貰ってしまっていいのかい?」
「にゃ、にゃんだってー!?」
「えーーーっあれ私のだよー?」
ラフィーヌの突然の発表に猫呼と雪布留が同時に声を上げた。
「部長、えらい気前がいいですねー」
「えーーあたいらも少しは分け前あるんじゃないかと」
ミラとジーノも不満気だったが、スナコは最近金銭欲が失せていて、特に何も思わなかった。
「アホかお前ら! あれだけの作業してもらってタダで済む訳ないだろーがっ」
「アホかいいよったな? 私はじょ」
「止めて下さい雪布留さん」
雪乃フルエレ女王の決め台詞をミラが慌てて止める。
『でもそれだったらウェドが好きな業者に頼んだのと同じでは?』
最近にしては珍しくスナコが突っ込みを入れる。
「いや違う、本当に偶然たまたま幼馴染が学院で研究員してて、そのつてで修理を依頼して偶然発生した24金を折角だからお礼替わりに受け取ってもらっただけだ。最初から業者に発注したのとは違う」
「屁理屈じゃない?」
「うるさいっ!」
なおもしつこく食い下がる猫呼にセレネは怒鳴った。
「ちょっとー何イライラしてるのよ」
「そうだぞ、修理を手伝ってくれた仲間じゃないか」
ラフィーヌがたしなめるとセレネは不満気に押し黙った。と、そのタイミングを見計らってルンブレッタがスナコにささっと接近した。
「スナコちゃん、今日はアスティーは居ないから安心して」
『う、うん』
ちなみに修理が終われば馴れ合いを好まない蘭観も居ない。
「ル・ツーの修理は終わっちゃったけどさ、あのーーコホン。前に言ってた事覚えてくれてる? このままこれっきりなのは嫌なんだー、僕はスナコちゃんとまた会いたいと思ってる……また会ってくれる?」
その言葉でセレネがギロッとスナコを睨んだ。あからさまに断れと信号を送っている。
(うっセレネの言う様に、わしゃー男なんじゃー伝えるなら今……)
内心砂緒はきっぱりと断ろうと思っていたのだが、キラキラした目でこちらを見てくるルンブレッタの顔を間近で見ると、決心が鈍って来た。ルンブレッタの中にあるスナコのイメージを破壊するのが何故か怖いと感じていた。
『え、えっと……』
「い、いやーーセクハラとかパワハラするつもりはないから、嫌だったら」
『べ、別に嫌じゃないですっ!』
コキーーン!
セレネの心か何かが凍り付いた音がした。
「そ、そう……凄く嬉しいな~~」
ルンブレッタは少年の様に笑顔で喜んだ。
「どうすんのよコレ?」
「実際は会う機会なんて無いでしょ? 自然消滅よっ」
雪布留は願望混じりに猫呼に言った。
「私も、仮面の奥に隠された神秘な貴方の秘密をもっと知ってみたいです。またお会い出来ますか?」
アルピオーネも内心雪乃フルエレ女王に接近したいという野望を隠して雪布留に誘いを掛けた。
「ええ結構よ、またお会いしましょ、うふふ」
パピヨン雪布留は余裕の態度でアルピオーネの誘いを受けた。
「のーーーーほっほほほほほ!」
しばらくして、甲高い笑い声と共に生徒会長ユーキュリーネがルシネーアを引き連れて現れた。
「ようやく来たか……」
直ぐにセレネはぴりっと怖い顔になって腕を組んで待ち構えた。
「あーーーらっセレネ王女殿下、お待たせしましたかし……え」
高笑いしながら現れたユーキュリーネは、ラフィーヌの顔を見てその高慢な態度がピタッと止まった。
「生徒会長ユーキュリーネって、やはり君だったのか? ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー」
「ラフィーヌ……どうしてこの場に? はっセレネ王女殿下、ラフィーヌを引き込んで……汚いですわっ」
生徒会長は感情剥き出しの顔になってセレネを軽く睨んだ。
「ユーキュリーネこそどうして? 幼い頃はよく三人で遊んだ仲じゃないか」
どうやらセレネと生徒会長とラフィーヌは知り合い同士だった様だ。




