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今度こそスナコ&ルン共同……ちょっと待てよっ!


『わかったじゃあルンブレッタ、ル・ツーを固定してくれる?』

「そのつもりさっ!」

「スナコもルンブレッタもがんばってね」


 猫呼は一瞬だけル・ツーを見ると二人に修理を託した。



 そしてルンブレッタは意気揚々とXSの元へ向かった。

 ヒュイーーーーン

 独特の起動音と共に、生徒向け初心者用の魔ローダーXS25が立ち上がる。そして横倒しに寝かせていたル・ツー千鋼ノ天を抱えると、ひょいっとひっくり返して固定した。残りのラフィーヌ達地上組は建物内に退避して、ヘルメット姿のウェドさんだけが透明の坊盾を持ち、クレーン魔車の籠に乗って出来る限り接近して指示を出す体制となった。


「よしスナコ早速やろう!」

「ウェドさん危険じゃないの!?」

「いやいい。本人の意向だ」

 キュキュッ

『では……雷雲出します!』


 一緒に座るセレネに律儀にボードを見せると、砂緒はいつもの様に操縦桿に電気を発して雷雲を呼び出し始めた。

 ゴロゴロ……

 途端に辺り一面に雷が横走りする黒雲が集まって来る。


「凄い……」

「本当にスナコちゃんは雷雲を呼べるのか」


 建物の窓から上空を眺めるラフィーヌ達はスナコの能力に驚嘆した。


「バケモンじゃね?」

「これ。しかしルンブレッタは大丈夫なのだろうね」


 蘭観を教授が叱った。


「今頃言ってもなー」


 蘭観達が見守る中、同盟旗機の蛇輪が両手を上げると雷雲から幾筋もの電撃がビカビカと降りてくる。


「よし、集束させます」


 もはやボードは集中の敵なので、かなり小声で砂緒は言った。


(慎重にやって砂緒)


 雪布留と名乗る同盟女王の雪乃フルエレは心の中で無事に成功する事を祈った。

 バチバチバチ!!

 眩い電撃が一本の細い筋に集束して行く。そのまま蛇輪は指先を、ひっくり返されてるル・ツーのメインシャフトに向けようとした。


(ルンブレッタ……)


 バチッ! パァーーーン!!

 集束させた細い電撃は、あろう事かXS25の肩アーマーに当たって一瞬で砕けさせた……


「あっごめっ!?」

「イタッ」

「あっ!?」

「げっ失敗!」

「スナコのアホーー!!」

「大丈夫なのか?」


 スナコは茫然とした。新・幹道掘削の時と違い、相手が人間の乗る魔ローダーの近く、しかもそれがルンブレッタという事で精神集中が一瞬切れたのだった。


「セレネ、謝って下さい」

『スナコが謝罪している、許してくれ!』


 セレネが渋々だが即座に謝罪した。


『どんまいどんまい! もう一回やろうよ!』

「いいのかよコレで」

「スナコ大丈夫かー?」


 ルンブレッタは陽気に答えたが、見ている皆が心配し始めた。


『さ、もう一回やって!!』

『よし、スナコお言葉に甘えよう、やるぞ!』


 セレネが躊躇無く即答した直後であった。


「ちょっと待てよ!!」


 突然辺りに大声が響いた。


『ダレだよ』


 魔呂に乗る人々や建物内の一同全員が声のする方を向いた。そこに居たのは存在を忘れ去られていたアスティ・ティーニであった。彼はずっと帰還するタイミングを見計らっていたのだ。


「ちょっと待てよ! そのままじゃあルンブレッタが可哀そうだぜ、俺が一緒にXS25に乗ってやるよ……」

『へっ? 突然出て来て何訳の分かん無い事言ってんだよ~~』


 当のルンブレッタが困惑気味に答えた。

 

「二人分の魔力で防御力も多少アップするはずさ」

『いや、狭い操縦席に筋肉バカのアスティーと一緒なんて暑苦しいよ~~』


 ルンブレッタは本気で迷惑そうであった。


「……俺がっ俺がお前を守ってやるっ!!」

『……えっ?』


 普段険しいアスティーの顔は何故か真っ赤に紅潮していた……その瞬間、フルエレと猫呼の表情が邪悪に破顔した。


「ちょっと貴方ソレ、ガチ勢やにゃいかっ!?」

「あらまあ……四角関係だわ」


 そのままフルエレは両手で頬を押さえて目を閉じ赤面した。


「今見た事は……明日には記憶を抹消しよう」

「私も同意する」


 ラフィーヌとアルピオーネが沈痛な面持ちで下を向いた。


「アスティーこえーよ、何考えてっかわかんねーなヒャハハ」


 蘭観も雪布留や猫呼と同様に邪悪に笑ったが、教授は真面目に口を開いた。


「いや冗談は兎も角、アスティーに乗ってもらいなさい。確かに多少の防御力アップの効果はあるだろうね」


 教授のその言葉でルンブレッタは渋々アスティーを乗せた。


「どういうつもりか判んないけど、ボクはスナコちゃんが好きだから」

「お、おう、気にすんなよ」


 アスティーは一緒に操縦桿を握りながら、恥ずかしそうに横を向いた。


(まさに地獄……)


 スナコは茫然としながら操縦桿を握り直した。


「ルンブレッタはスナコが好きで、でもスナコは部長と……でもそこにアスティーが乗り込んで来て……うおおおおおお!?」

「どした? ミラが壊れた!?」


 突然頭を抱えたミラをジーノが心配したのであった。

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