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二人の共同作業……

「あ、部長何処に行くんでやんす?」

「あんたそんな口調だった?」

「それは兎も角、付いて来ちゃダメよ、うふふ」


 等と言いながらミラジーノを制止して雪布留と猫呼二人は笑いながら付いて行った。



 ー学院・魔ローダーファクトリーの裏手。

 バンッ!

 セレネはスナコを壁に押し付けると、いきなり壁ドンをした。


『うっ!?』

「おい砂緒どうした、変だぞ?」

『何が?』

「暗いから読み難いわ! 地声でしゃべれやっ」

『……今は男の子の声で喋りたく無い』

「しゃべれやぁああああ」


 セレネはスナコの口をつまんで引っ張った。


「ちょっと止めて上げて! 砂緒は私の物でもあるのよ? 忘れたの共有物だって……」

「私の臨時代用お兄様でもあるのよ、大切に扱って」

「ちっ」


 セレネは渋々手を離した。


「私も……本当の事を言うべきだと思うのですが、何故か言いたくない気持ちもあって、どうしたら良いか」

「何かそんなの未練があるみたいな不気味な言い方するなよ? 明日わしゃー男なんじゃーゆーたったら良いだろーがっ!」


 セレネは両手の拳を握り、歯を食いしばりながら叫んだ。


「そんな事……出来ない」

「乙女ねえ」


 雪布留はいい加減にも胸をときめかした。


「お前分かってるのかよ? キスするとかって……男のベロがモンスターの様に妖しくうごめくんだぞ?」


 セレネの衝撃的な発言に猫呼は夜道で突然目があった野良猫の様にハッと目を見開いた。 


「……ちょっと貴方ソレ、ビーのエルやにゃいかっ!?」

「何でそこまで具体的に言う必要があるの?? いきなりそこまでする訳無いじゃない!?」

「私も薄々分かっています……でもルンブレッタはアンドロギュヌスの如くと言うか、なんだか嫌いになれなくて」


 スナコは目を閉じて首を振った。どうやら本気っぽい……


「アンドギュって何だよ!? とにかく嫌いになれやーーっ」

「うぶぶ!?」


 セレネは再びスナコの口をつまんで持ち上げた。


「だから止めて上げて。セレネ、この子は前世は石作りのデパートやらと言う物だったの。それがまだまだ人間になったばかりで、恋とか愛とか言う物を良く理解出来ていないのよ……」

「え、そうだったにょ?」

「いやあたしは前世の前世はあの等ウェキ玻璃音大王だって聞いてたけど」

「うん、それはそれよ」

「それはそれにゃんだ?」


 だんっとセレネは壁を両手で叩いた。


「でも……恋とか愛とか分からなくても、あたしの砂緒が受けっぽいのが耐えられないよ。せめて……せめて砂緒が攻めだったらなんとか気持ちの整理は付くのに……」


 セレネは叫びながらポロポロと涙を流した。


「セレネ貴方、何を言っているの? 攻めだったら許せるの?」

「受けとか攻めとかよく意味がわから無いにゃー」


 猫呼は肩をすぼめ両手を広げた。


「ごめん……」


 スナコは力なく謝罪した。その姿は如何にも女の子っぽい。


「そんなんじゃ駄目だーっ! お前なんかこうしてやるっ!」

「はむっ!?」


 セレネはいきなりスナコの唇を奪った。雪布留と猫呼の目もはばからない激しい口付けであった。いわゆるバ〇コ〇ン方式のショック療法と言う物であろう。


「あら……大胆ね、もぅ」

「臨時代用お兄様……ごくり」


 二人の激しいキスは続いた。



「もーー部長、何やって……!?」

(うっ、部長とスナコが激しいキスしとる!?)


 一人時間差で付いて来ていたミラが二人のキスシーンを目撃して、腰を抜かしそうに成る程驚くが思わず声を殺して後ずさりした。そしてそのまま深夜の暗がりで気付かれていない事を良い事に仮眠室に戻って行った。



「はぁはぁ……」


 セレネは唇を離すと、ワイルドに腕で口を拭った。スナコは黙ったまま自らの唇を押さえている。


「すきっ」


 シュバッ!

 しかし直後に子供の様にセレネの低い胸目掛けて抱き着いた。


「……単純やにゃ?」

「私の砂緒が……」

「寝るぞ……」


 こうしてセレネ達は仮眠室に戻って来て、静かに眠りに就いた。


(……ね、寝れん)


 ミラは目がギンギンになって寝れ無かったという。



 ー次の日。

 王家の沽券の為に優等生を演じるセレネのみ根性で起きていたが、雪布留以下全員メンバーは全授業を爆睡して放課後となった。そして学院のファクトリーにやって来た。


「やぁスナコちゃん、来てくれたんだね!」


 ルンブレッタが小躍りする様にスナコに接近するが、ささっとセレネが壁を作る。それよりもルンブレッタは視線を合わせてくれないスナコに少し戸惑いを覚えていた。


「ラフィーネさん、早速作業に取り掛かろう」

「あんた頼んでやってもらってる立場だって分かってる?」

「いや雪布留さん良いんだ、セレネとは幼馴染多少の好き勝手も親しい内さ!」


 ラフィーネはウィンクしたが、セレネは無視した。


「そうだね、今日は早速スナコちゃんにメインシャフトの軸を切削加工してもらわないと」

『はい』


 アルピオーネの言葉にスナコは小さく頷いた。

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