雪布留合流!
「行っちゃった……それよか、やぁウェドさん!」
「やぁフルエレさん!」
二人は音がしそうな程ガッシリと強く握手をした。
「ウェドさん凄く懐かしいわ! 何故に此処に?」
「貴方も僕が整備した魔輪に乗ってくれているのですね? 実は学園や学院の生徒達の魔戦車や魔ローダー整備を下請けしているのです。業者に回せば高額な料金を請求される所、私がご家庭で整備をすれば多額のお金を節約する事が出来るのです。しかしフルエレさん、貴方確か雪乃フルエレ女王になったはずではないですか?」
「ちょっと声が大きいです! 実はかくかくしかじか……」
フルエレは小声で事情を説明した。
「成る程、女王陛下が女子高生として転校してくるなんてフルエレさんらしいですね。僕で良ければ何でも言って下さい」
「有難う! 実はセレネ達を追って高度魔呂研究室Aに行きたいのです!」
フルエレは魔輪を降りると必死に事情を説明した。
「成る程、そこなら行った事があります、早速行きましょう。けれどその前に貴方にこれを渡しましょう」
言いながらウェドは女優帽とサングラスと日焼け止めの長い手袋にマスクを渡した。
「これは?」
「学院には戦争に従軍したり、式典に出たりして雪乃フルエレ女王の姿を知っている者も多いのです。これを装着すればバレずに済むでしょう」
「うっ……でもこれは日焼けを気にし過ぎなおばさまの様な風情になってしまうわ、でも安心してこんな事もあろうかと私は妖しいパピヨンマスクを常備してるのよ!」
フルエレはカバンからくしゃくしゃになったパピヨンを取り出した。
「……そっちの方が変な事は無いですか?」
「え、そうかな?」
等と言いつつもフルエレはパピヨンマスクを装着すると、小走りで先導するウェドと共に研究所に急いだ。
研究室ならぬファクトリー。
セレネとラフィーヌ達は早速メッキを落としたル・ツー千鋼ノ天に、試作型魔ローダーSRXの手足を装着しようとしていた。
「ううむ、ル・ツー両大腿部の内部フレームが露出している断面に合う様に、SRXの同じ部分を切断してみようか……」
ラフィーヌが必死にプランを練ったが……
「そんな事しても、内部機構の魔法アクチュエーターとかの仕様が違えば、全然合う訳ないじゃん! 外見だけのドンガラじゃ無いんだからさ」
即座に蘭観が容赦なく否定する。
「正論だな」
アルピオーネがうんうんとうなづいた。
「じゃ、どうするのさ?」
ルンブレッタが他人事の様に聞く。
「……これ、本当にうまく行くのかね?」
「さぁーー」
ミラとジーノは元々乗れないのもあって大声では言えないがあまり興味は無かった。
「急いでもらわんと」
「お父様……」
セレネの横で猫呼は少しだけまた前の悲し気な顔に戻っていた。背中の大型畜念池を外した瞬間、千岐大蛇を倒した時からずっと小さく生きていた、ル・ツーの主魔法システムが完全に切れた。それによって猫呼は今度こそ父の息吹が消え去った様な気がしたのであった。
「ふむ、本来なら分解してメカニズムを解析して、それを元に新部品を新造して作り変えるのが正道なのだがね、そんな時間は無い。女王殿下の御依頼では今は取り敢えず歩ける様にする事だからね、多少のハッタリは必要かもしれないね」
教授が冷静に分析した。
『つまり適当にハリボテをくっ付けるしかないと』
何故か魂を抜かれた様に元気が無いスナコが話をまとめた。
「ちょっと待ったぁああああああ!!」
そこに可愛い声で大声で響く。
「何?」
「誰ですか?」
「今度は誰かな」
「うっこの声は」
『雪布留の声ですね』
登場人物が多いので省くが、人々が口々に言いながら振り返ると、そこには確かに雪布留ともう一人見上げる様な大男が立っていた。もちろん一緒に来たウェドである。
「研究室に行っても誰もいなし、どれだけ探したと思ってるの~~!? もーーー!!」
魔輪から降りた雪布留は地団駄を踏んだ。
「妖しい」
「え、パピヨンマスク!?」
「でも、全体的には美しい子だ」
「なしてパピヨン??」
研究所四人と教授はいぶがしがったが、セレネ一行はなんとなく理解した。
『この子はこんな子なんです、気にしないで下さい。それよりもウェドですか?』
またややこしい再会だが、この事は道中雪布留から聞いていた。
「ええ、スナコちゃんお久しぶりです。そんな事よりも手足を効率的に修理する方法があります」
うってつけの提案に再会には興味が無いセレネが飛び付いた。
「どうするのです?」
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主人公3人
砂緒 元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。
雪乃フルエレ ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫 だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留と名乗る。
セレネ ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。
ユティトレッド魔導学園関係者
ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。
ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。
ルシネーア 生徒会書記でユーキュリーネに心酔している。
サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。
学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。
仲間
依世 雪乃フルエレの妹。 美柑 と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。
猫呼クラウディア 東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。
兎幸 うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に協力したりする心強いサポート係。
イェラ 元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。
メラン 元魔導士の冒険者だったが、フルエレ砂緒と知り合い同盟軍の魔ローダー搭乗者になった。二人が居ない時は一応魔呂部隊の責任者となっている。ル・ツー千鋼ノ天に速き稲妻Ⅱと勝手に命名していた。
シャル 猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。
イライザ 喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。
ニィル イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。
有未レナード公 旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。
ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。
メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。
まおう抱悶 可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。
神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)
紅蓮アルフォード 【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。
瑠璃ィキャナリー るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説 の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。
貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。
猫弐矢 猫呼の兄でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。
魔法メカ・ロボット
魔ローダー 全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。
蛇輪、日蝕白蛇輪 へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。
ル・スリー白鳥號 はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。
ル・ツー千鋼ノ天 る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。




