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雪布留、頼もしい味方

(うっ……)


 砂緒にしては珍しく、手をきゅっと握られるという相手の行動に一瞬どうして良いか分からず、微妙な顔で硬直した。


(あれ……スナコちゃんの手、冷たくて硬い……まるで大理石の様だ)


 実はそれはルンブレッタも同じであった。彼にしてみれば女の子の手を思わず握ってしまうという咄嗟の行動であったが、それよりもスナコの手の冷たさと硬さの異様さに彼も硬直してしまっていた。


「……」

「あっごめん僕とした事がっ女の子の手を」


 ワンテンポずれてルンブレッタは赤面して両手をぱっと離した。


『手冷たかったでしょう? 邪竜に襲われて以来こんな体に……』


 またもや万能邪竜のお陰で適当な理由を付けた。


「ごめん、でもううん! 凄い怪力だったり人力で剥離剤も無しにメッキを剥がしたり、なんてニッチな能力の持ち主なんだろう……君みたいな子って珍しいよね、一家に一人スナコちゃんみたいな子が居たら良いよね」

『え?』


 スナコは白々しくハッとした顔をした。


「まあっそれってプロポーズみたいだにゃあ~~」


 間髪入れずに猫呼も要らぬ合いの手を入れた。


「ハッ!? ち、違うよっそんな意味じゃなくってね、そ、その一回くらい遊びに来て欲しいなって、ハハ」


 ルンブレッタはさらに激しく赤面しながら頭を掻いた。


(私にどーせぇーと?)


 スナコは目を細めて赤面するルンブレッタを見つめた。しかしさらにその後ろではセレネが恐ろしい形相で二人を睨んでいた。彼女にも誰への何の嫉妬かよく分からない感情であった。


「ラブのコメだわ~~」

「スナコの奴いいなあ」

「ジーノ?」


 恥ずかし気も無く指を咥えて見ているジーノであった。


「よし、次は暴走しない様に背中の大型畜念池を外して、早速研究用のSRXの手足を接合する作業に移ろう!」


 ラフィーヌが仕切り直して大声で叫んだ。



 一方ユティトレッド魔導学園校庭。

 ヒュイイイン

 雪布留は兎幸とサイドカー魔輪に乗って一路東の学院に向かっていた。


「ふぅふぅ……あの先生、優しそうな見かけによらずしつこいわぁ~~。悩みなんて無いって言ってるのに! もう兎幸も助けてよー」

「雪布留楽しそうだったよ!」

「どこがっ、女王として権限をフルに使ってあの先生を首にしてやろうかしら!? いや、猫呼に頼んで闇の者に消してもらうとか……フフ」


 等と言っていると兎幸にじとっと見られている事に気付いた。


「ジョーダンです! で、学院の高度研究室Aって何処にあるのよーっ」


 その後もフルエレは当てずっぽうで走り回った……



 30分後。


「うっ学院って結構敷地広い……こんなの無理だよー」


 雪布留はいきなり他人に話し掛ける勇気が出ずに、キョロキョロしながら走り回った。


「ちょっと待った!」


 いきなり長身の男に立ちはだかられて、雪布留はキキッと魔輪を止めた。


「は、はひ!?」

「何で学院の敷地内を制服着た女学生が魔輪に乗って走り回ってんだ? 此処は乗り入れ禁止じゃねーか?」

「ひっ!? すいません、すいません」


 雪布留は超高速で頭を下げまくるが、その相手は偶然にもアスティ・ティーニであった。

 

「ん、何だお前……」

(え、超可愛い子じゃないか!? 何なんだこの子……)


 一瞬でアスティもフルエレの可愛さに見とれたが、イメージを保つ為に辛うじて怖い顔を保った。


「あ、あの実は魔ローダーA高度研究室って所に行きたいのですけど」


 フルエレは上目遣いに恐る恐る聞いた。


「あっ?」

(ゲッやっぱりこの子可愛い……じゃないじゃない、オレの研究室じゃねーか!? どうすんだよこの子連れて行くのか? いや連れて行きたいよ、連れて行って友達になれるかもしれんし、いやいや、そんなの俺のイメージじゃねーな。それに今戻ったらあいつらにバカにされるだろ)


 いつも俺様のアスティーだが、静止画の様にフルエレの前でぴたっと止まった。


「あ、あのーー?」

「あーー?」


 どう対応して良いか分からず、取り敢えず怖い顔で誤魔化すアスティーであった。


「ヒィッす、すいません!」


 隙を見てフルエレは魔輪で突っ切って逃げようとした。


「あれーー君は、もしかして?」


 と、そんな時に二人の後ろから声がした。フルエレはその声がなんとなく聞いた事がある様な気がして、すぐに振り返った。


「あっ」

「おっウェドさん」

「う? アスティーくんに、フル……」

「わーーーっ! ウェドさん久しぶり!?」


 慌てて雪布留は首を横に振りまくった。


「なんだ、ウェドさんの知り合いの子か? じゃあ頼むぜ、小娘の相手なんてまっぴらごめんだからな、ふっ」

(うっもっと話したかったぜ……)


 アスティーは本心を隠し、かっこつけてくるりと背中を向け指を振るとそのまま歩いて行った。

お読みいただいてありがとうございます。

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主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

ルシネーア 生徒会書記でユーキュリーネに心酔している。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に協力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


メラン 元魔導士の冒険者だったが、フルエレ砂緒と知り合い同盟軍の魔ローダー搭乗者になった。二人が居ない時は一応魔呂部隊の責任者となっている。ル・ツー千鋼ノ天に速き稲妻Ⅱと勝手に命名していた。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。


まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。


ル・ツー千鋼ノ天  る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。

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