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スナコ戸惑う……

「アスティ、セレネの前でそんな言い方ないだろ!? きっと彼女にも深い事情があるんだよ」


 穏和そうな見た目と違ってすぐにカッとなりやすい熱血漢なのか、ラフィーヌが少し大きな声で反論した。


「知らねーよ。だから深い事情って何なんだよ」

「それは……王女としての権限をなるべく使わない様にしないと、ユーキュリーネに不合格の判定をされる」


 セレネが眉間にシワを寄せながら小声で言った。


「幼馴染の研究員に頼んで学院のファクトリー施設使う事も結局王女の権限じゃねーか?」


 アスティの言った事に一瞬納得してしまって、ぐっと声が出ないセレネだった。


「アスティさっきから何でそんな意地悪なのさ? 優しい時もあるのにー」


 煮詰まって来た雰囲気を和まそうと、ルンブレッタが間に入った。


「お前も賛成なのか? 俺はとにかく苦労知らずの王女とか王族とかが大嫌いなんだよ!」

「そ、そんな言い方しなくともさー」


 しかしアスティの言い方にそれまで黙っていたセレネ一行達が黙っていなかった。


「てめー男だからって舐めてんじゃねーよ」

「そうだぞコラー」


 第三者として黙っていた猫呼もセレネの苦労を知っているので黙ってられなかった。


「黙ってたけど、ちょっと今の言い方は酷いわ、ねえスナコちゃん」


 それまで他人事の様に眺めていた砂緒もカチーンと来ていた。しかし彼は今なるべくセレネの邪魔にならない様に学園生活を送ろうと思っていたので、実際どうしようかと迷っていた。なんなら今何かしなくとも夜陰に紛れてこの者を暗殺する事も出来る……そんな事を考えながら殺気立った目で見ていた。


(砂緒、何もするな……)


 そんな殺気を感じたのか、セレネが振り返って片手を上げた。


「アスティ、私も黙っていたがお前の権力嫌いを今王女にぶつけるのは止めたまえ。学園の生徒が此処の施設を頼って来た、それだけの事じゃないか。私もラフィーヌに賛成しよう」

「本当かっ! 有難い」


 ルンブレッタに続きアルピオーネ・マーチェラまでもが手伝う事に賛成してアスティは面白く無い。


「そうだっ蘭観! お前なら分かるだろ? お前も反対だよなっ」


 窮したアスティは我関せずで本を読み続ける、美形だが変人ぽい蘭観・ファーラルに問い掛ける。


「俺は権力とか王族とかJKとか全然興味無いよ、知らない」


 本を読んでいたかと思ったが、話は聞いていたのか淀み無く会話に入って来た。


「なっ? ほら」

「けど、ル・ツーってあのクラウディアのル・ツー千鋼ノ天だろ? 魔ローダー工学者としていじってみたいよねフフ」

「くっ。て、テメーもかよ」


 アスティ以外の研究員4人が手伝う事に同意していた。面白く無いアスティは大暴れでもしそうな形相になる。

 ガラッ

 そのタイミングで研究室のドアが再び突然開いた。


「そういう事です。貴方達魔ローダー工学者として、クラウディアの神秘の機体の修理に関われる事はとても運が良い光栄な事ですよ。修理期限は三日ですか? 是非見事成し遂げて名声を得てみなさい。それも勉強です」


 とても落ち着いた声で語り掛けたのは、苦み走った良い男のイケおじだった。


(え誰? ていうか廊下で話聞いてたんか??)


 スナコは怪訝な顔をして振り返ったが、研究員達4人は目を輝かせた。


「教授! 許して下さいますか?」

「ああ、是非やりなさい」


 イケおじは大きく頷いた。


「ヤッター!」

「フフッ有難う御座います」

「そんな所だね」


 やって来たのはこの研究室の教授であった。


「うっステキな御方……」

「ジーノお前?」


 目を輝かせたのは四人達だけではなく、ジーノも乙女の瞳になっていた。


(ほほう、ジーノはイケおじが好みでしたか……)


 セレネも軽く頭を下げた。


「教授殿助かる。ありがとう」

「いやいや純粋に研究に役立つからです」


 と、しかし一人面白く無いのはアスティであった。


「ちっバカにすんな! 俺は降りるぜ、じゃあな帰るわ! あばよっ」

「あっアスティーちょっと待ってよ~~」


 研究室から出て行くアスティをルンブレッタが慌てて追い掛けて行った。


(ふぅ~~やれやれ、どうせアイツなんやかや言って、へっ俺がいないと駄目だな……とかって戻って来るパターンだろ)


 スナコはとんだ茶番を見る様な覚めた目で事の成り行きを見守った。


「ふぅーアスティ行っちゃったよ強情だなあ……あっ君確か名前は?」

 キュキュッ

『……まだ言ってなかった。私スナコ』


 脱力してる時に突然自分が標的になってちょっとぎょっとする砂緒であった。


「なんだかキミ大人しそうだけど、何かあったら言ってね」


 ルンブレッタは年齢より幼く見えるクリクリした瞳で見つめながら言った。


(うっっこの状況は!?)


 ルンブレッタは一目見た砂緒が女装するスナコに好意を持ってしまった……

お読みいただいてありがとうございます。

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主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

ルシネーア 生徒会書記でユーキュリーネに心酔している。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に協力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


メラン 元魔導士の冒険者だったが、フルエレ砂緒と知り合い同盟軍の魔ローダー搭乗者になった。二人が居ない時は一応魔呂部隊の責任者となっている。ル・ツー千鋼ノ天に速き稲妻Ⅱと勝手に命名していた。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。


まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。


ル・ツー千鋼ノ天  る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。

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