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魔ローダー研究室へいくぞ


 ー生徒相談室。

 あたかも刑事ドラマの取調室の様に、雪乃フルエレ女王が生徒に変装した雪布留は、冷たいスチールの机と椅子に縛り付けられる様に座らされていた。


「さぁ先生に何でも相談しちゃいなさい? どんな悩みがあるの~~」


 先生の顔は鬼気迫る物があった。


「い、いえ先生私特に悩みとかは……」


 バンッ!

 先生はいきなり鬼の表情で机を叩いた。


「嘘おっしゃい!! 貴方に悩みが無い訳無いでしょ!? さぁ早くゲロっちゃいなさい!!」

「え~~~? 本当に悩みなんて無いんです~~」

(ヒィイイ、こ怖い!? 先生凄く怖い)


 雪布留は困惑した……その後ろでは兎幸がにこにこと笑いながら様子を眺めていた。



 ―学園エリアに戻る。

 ズシャーンズシャーン

 蛇輪は帰宅したり部活動の生徒達の奇異の目に晒されながら、ル・ツー千鋼ノ天の胴体を抱え西から東に歩いていた。


「でもル・ツー完成したらメラン大喜びねえ」


 静かに魔力を供給するセレネの後ろで、後頭部で後ろ手に組んだ猫呼が唇を尖らしながら言った。


「いえル・ツーにまたメランさんが乗るとは限りません」

「え、何故に?」

「あれ程の格闘戦能力を見せられたんです。砲撃戦能力のメランさんではミスマッチでル・ツー本来の能力を発揮出来ません」


 セレネは感情の籠って無い声できっぱりと言った。その彼女の顔を後ろから覗き込む。


「ありゃ冷たいじゃない、メラン怒るわよ~~」

「怒ってもダメです。メランさんには適当に砲撃戦能力的な魔呂をでっち上げてあてがいます!」

「でっちあげるて」

「それよりも……クラウディア王国の猫呼王女にお伺いしますが、あのアゲハの羽の様な物が出るハイパワーモードの出し方はご存知無いのですか? 秘伝とか何か」

「知る訳無いでしょ! 持ち逃げした兄猫名ですら知らないのに私が知ってる訳無い! お父様から何も聞いて無いわよ……」


 陽気な猫呼の声が途端にシュンと悲し気になって来た。


「ごめんなさい」

「いいわ」


『部長、スナコの奴が学院の敷地内に入ったのではないかと言ってますぜ!』

『うむ、ここからはあたしが操縦しよう』


 セレネの言葉でスナコは操縦桿を離し、彼女の操縦で学院の魔ローダー高度研究室が入る棟に向かった。



『此処だな、魔ローダー高度研Aがある研究棟だ、降りるぞ』


 言うや否やセレネはズシャッと校庭にル・ツーを置き、さらにギューーンと跪いて掌でミラジーノスナコを受けて降ろし、自らは猫呼を小脇に抱えるといつもの様にピョインと飛び降りた。

 スタッ!


「きゃうっ!?」

「皆居るな? 急いで研究室に行くぞついて来てくれ」

『詳しんです?』

「新型魔呂開発でテスト操縦したりしてな……一応知っているだけだ」

『へェー』


 その時であった。


「見ろ、JKが居るぞJK!!」

「マジか!?」

「おわっ魔導学園からギャル様が来たぞ!!」

「ギャルというかスケバンか?」

「かわえええー」


 蛇輪から皆が降りた途端に女学生率が低い魔導学院の男共に発見された。それを合図に窓々から次々に若い男達が顔を出す。


『何ですか一体』

「無視しろ急ぐぞ!」


「見ろ! 王女様だっセレネ王女様が先頭にいらっしゃるぞっ!!」

「す、凄い、本物の王女様だ……美しい」

「あぁー有難い有難い」


 窓から拝む生徒も居た。


「何だ王女の後ろに居るネコミミの可愛い子は?」

「ロリだロリ、可愛いなあ」

「お前そんな趣味が……」

「クラウディア人では?」


 すぐに目立つ猫呼が発見される。


「むっその後ろの妙な髪型の子も……なんだか可愛いなあ」

「うん謎の魅力がある」


 スナコもなかなか好評であった。


「良かったじゃない!」

『むふふ、バカな男共ですくくく』


 そして遂にミラとジーノにも目が行った。


「見ろ! 後ろの髪の長い片目が隠れがちな長身の子!」

「モデルみたいだなあ、クールビューティーみたいな??」

「それよか乳でかく無いか?」

「乳でけーたまらん」

「付き合いたい!!」


 ミラは顔を真っ赤にして猫背になり身を屈めた。


「部長すんませんっス! あたいの乳がデカくて本当すんません!」

「謝んなよ」


 そして……


「最後歩いてる子……」


 ドキドキ

 ジーノの胸は高鳴った。


「普通だな」

「うん普通だ」


 ジーノはコケた。

 ポン

 スナコは笑顔でジーノの肩を叩いた。


「じぇええい!」


 彼女はすぐに手を振り払った。



 ー魔ローダー高度A研究室。

 好機の目に晒されながらも一行は遂に目的の研究室に辿り着いた。

 ガラッ

 無表情でセレネはいきなり引き戸を開けた。


「あっセレネッ! 待っていたよ来たんだね!!」


 開けた途端に、一人の男子学院生がふわっと走り寄っていきなりセレネに抱き着いた。

お読みいただいてありがとうございます。


主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

ルシネーア 生徒会書記でユーキュリーネに心酔している。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に強力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


メラン 元魔導士の冒険者だったが、フルエレ砂緒と知り合い同盟軍の魔ローダー搭乗者になった。二人が居ない時は一応魔呂部隊の責任者となっている。ル・ツー千鋼ノ天に速き稲妻Ⅱと勝手に命名していた。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。


まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。


ル・ツー千鋼ノ天  る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。

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