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王立魔導学院に行くぞ

「くすくす……あら、判定ですの? お聞きになりたい?」


 いちいちユーキュリーネは勿体ぶって引っ張り、それを見てセレネはイラッとするが耐えた。


「そう言っています」


 その後ろでスナコはこそっと雪布留に聞いた。


『何でセレネはニナルティナに居る時みたいに、うるさいんじゃボケーとか言わないんですか?』

「彼女なりに王国の品位や風評を気にしているのよ。喫茶猫呼や此処の討伐部だけが彼女が自然で居られる場所だったのね」

『マンガだったらフランクな性格の方が受け入れられますが?』

「本当の貴族や王族は頭ガチガチの人が一杯いるのよ。そういう方々に笑われない様に苦労してるのね」

『へェー』


 と言いながら二人は七華の父、リュフミュラン王の事が頭に浮かんでいた。にしてもスナコはいつもの調子でおかしな行動を連発して、校風に風穴を開けるとかそういう彼らしい事は1Nミリも考えていない模様だった。


「ルシネーアさんはどう思いますか?」


 後ろから付いて来ていた生徒会書記のルシネーアが興奮気味に答えた。


「これは凄いですよ! 北部同盟の因縁の宿敵Sa・ga地域のメドース・リガリァを倒す戦いに多いに貢献した、副将機のル・ツー千鋼ノ天を発見されるなんて、凄い大成果……」


 そこまで言って生徒会長が激しく睨んでいる事に気付いた。


「コホン、今うちの書記は高熱を発し少々判断能力が著しく低下されてる模様ですの」

「何!?」

「申し訳御座いません。今高熱を発しておりましたゴホゴホ」

「今思い切り褒めてたじゃねーか、ねえ部長!」

「そーだそーだ」

「で、良いから生徒会長御自身の評価は?」


 さらに冷たい目でセレネが再び聞いた。


「そうですわね、もったいぶらずに結論を言えば……ダメ、不合格ですわねうふふ」

「何だと!?」

「もう我慢出来ねえ」

「いいから黙れ。何故? 理由をお聞かせ願いたい。手前みそとなるが、今回のこの発見はなかなかの成果だと自負しています」


 少しピシッと怖い顔になって三度問うた。


「確かに同盟に多いに貢献した魔ローダーを再発見されたのは凄い成果ですわ。それは私もお認めしましょう」

「だったら何故」

「でも……貴方達は大切な事をお忘れでは? 学生の本分それは授業に出て勉強をする事ですわね。しかし討伐部一行は昨日の授業を無断欠席してしまった。学校欠席し放題で成果を出すとか言い出したらそれはもう企業のやる事ですわ。学生の部活動ではありません!! だからダメーーッ」


 セレネは瞬間的に居合切りで胴体を両断しようとしたが寸前で止めた。


「部長……?」

「良いんですかい? こんな好き放題言われて」

「三人でこの女をフルボッコにしちまいましょう!」

「あら恐ろしいわ! ですけれど、セレネ様が最強の力で私をねじ伏せられるだとか、王女として強権発動されてご命令されれば、私は臣民として大人しく服従致しますわ! どうぞご命令を」


 ユーキュリーネはセレネに強権発動させて、ユティトレッドの宮廷やサロンでセレネの悪口を広めまくろうと目論んでいた。しかしそれでは彼女のおじい様の王の評判を落としてしまう。


「……雪布留さん、私は貴方のお考えに従おう。どうかご意見を」


 セレネは冷たい目でフルエレに聞いた。もちろんエコヒイキしてもらおうと助けを求めた訳では無く、セレネなりに怒りに任せた自分では無く、信頼する親友の意見を純粋に聞きたいだけであった。しかしユーキュリーネには、女王を引き込んで味方にしようという行為にしか見えない。


(むっフルエレ女王を味方に……汚い手ですわ!)


 人々が一斉に雪布留を見つめた。


「……セレネ、この生徒会長さんは凄く嫌味っぽい様に見えるけど、言っている事はいちいち筋が通っているわ。昨日いきなり授業を休んでしまった……それはやっぱり駄目だと思う。けれど成果としては大きい。そこで、残り三日以内に金メッキを落として手足くっつけて歩ける様にしてみてはどうかしら? それは新たな大きな成果だと思うの!」


 皆は雪布留の提案にその手があったかと一瞬意表を突かれたが、果たして可能なのかという気もしていた。


「うっその様な事可能なのかしら?」

「雪布留さん有難う。ひいきしてごり押しもしない、かと言って負けも認めない、貴方らしい判断です」


 セレネはふっと笑うと少しだけ笑顔になった。


「ま、まあ良いでしょう。私は雪布留さんとは良い関係を築きたいのです! それならばお待ちしておりますわ、おほほほほ」


 ユーキュリーネは笑いながら書記と共に去って言った。



「どうすんですかい?」

「そうですぜ、あと三日で修理するって」

『出来るのそんな事? ニナルティナに持って行くの?』

「ごめん、また難題を作ってしまって」

「いえ、私に考えがあります。少々ズルいかも知れませんが、手段は指定されていない。元々我が王国の魔呂開発にも関わる王立魔導学院に行きましょう!」


 セレネの言葉にミラとジーノは困惑した。


挿絵(By みてみん)

お読みいただいてありがとうございます。


主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に強力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。


まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。


ル・ツー千鋼ノ天  る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。

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