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生徒会長ユーキュリーネの判定



 白熱したしりとりバトルが繰り広げられたのも束の間、しかしやがてする事が無くなり一行は目を細めて無言で三角座りをしてスナコと兎幸の帰還を待ちわびていた。


「……」


 ガガガガガガガ

 が、突然皆が座る小島一体に微振動が起こり始めた。


「おっ?」


 ガラガラガララガラガラ


「うっ遂に来たか?」


 とセレネが言った直後、さらに振動は激しくなった。

 ビシャアッッ!! ゴバアァッッ!!

 砂緒の雷の独特な轟音が鳴り、そして小島の真横の天上の岩が一気に崩れ落ち、突然大穴が開いた。


「大量の岩が……」

「ぎゃはっあぶなっ!」

「ちゃんと計算してやってるハズよ」


 紅蓮や猫呼が冷や汗を掻きながら上を見上げ、しかしフルエレは砂緒を信用し切っていて全く焦らず推移を見守った。


「兎幸先輩の計測は正確ですから」


 とセレネが言った直後、空いた大穴からスイーっと糸で釣っている様に蛇輪が静かに降りて来た。


『ご安心を、兎幸のUFO子機で正確に座標を把握してます、とスナコは言ってるピョン!』

「兎幸がキャラ付けする為にピョンとか言い出したわ!」

「スナコの奴ボードだからスピーカー使えないんだな」


 バシャッ!

 跪いた蛇輪のハッチが勢い良く開き、ようやくスナコが顔を出した。


「よし、早速皆を掌に乗せてくれ!」

『OKよ!』


 びよーんと蛇輪の巨大な両手が島に差し伸べられる。


「スナコ、今回はボード使いが徹底してるわね?」

「きっとミラかジーノのどちらかを油断させて狙ってるのね」

「軽い犯罪だわ……」


 雪布留と猫呼は心配顔でミラとジーノをちらっと見た。


「うっスナコの奴マジで魔呂動かせるんだな?」

「でも魔力は無いって言ってたしな」

「でも私らは操縦席に乗っただけでドッと疲れてしまうから、凄いよ」

『猫呼?』


 掌に乗らない猫呼をスナコや雪布留が心配顔で見た。


「私はル・ツーの操縦席で待ってる。父を一人で残したくない」

「でも、また黄金糖衣竜が戻って来たら?」

「大丈夫よハッチを閉じてれば。さぁ行って頂戴!」

『……すぐ戻ります!』

「そうね、行きましょう」


 雪布留が言うとスナコは猫呼一人を残して立ち上がった。

 ピョイン!

 しかし掌からこぼれる様に紅蓮が飛び降りた。


「僕はこの猫呼姫を守るよ! 同じ中心の洲出身だしね」

「うっじゃああたしも!」


 釣られてセレネも飛び降りようとしたが、雪布留が腕を掴んだ。


「キリが無いわ!」

「父と二人きりになりたいの、紅蓮さんも戻って」

「え?」


 こういう所は外見に似合わず、割とさばさばしているフルエレであった。紅蓮はすごすごと戻った。


『行きますだピョン!』


 兎幸の言葉で一行を掌に乗せた蛇輪は、ふわーっと浮き上がって行った。



「ふふ、お父様も海の底でこんな気持ちだったのかな」


 一人残された猫呼はル・ツー千鋼ノ天の操縦席で、空いたハッチから見える岩の天上を見上げながら呟いた。

 ヒュイーーーーーン

 程なくしてジェット航空機の様な甲高い音と共に蛇輪が降りて来て、猫呼の視界の前に大映しとなった。


『猫呼! 大丈夫でしたか? さぁこっちに飛び移って下さい。運搬中に落下事故を起こすとやっかいですから』

「久しぶりにアンタの声聞いた気がするわ」


 賢く聞き分けの良い大人な猫呼は素直に蛇輪の操縦席に乗り移った。


『さ、臨時代用お姉さまの横に乗りなさい』

「はいはい」


 等と言いながらも猫呼は少し泣きながら砂緒の肩に抱き着いていた。


「行きますよ」


 砂緒の言葉でル・ツーの胴体を抱えた蛇輪は飛びあがり、先程まで居た小島がどんどんと小さくなって行った。



 一行が学校を無断欠席した次の日。

 セレネ達は発見したル・ツー千鋼ノ天の片腕と両脚を無くした胴体を、討伐及び喫茶文化研究会館の前にズシャッと置いていた。そのくらいの空きスペースはあった。


「おっやって来たっスよ部長!」

「うん」


 ミラの言葉でセレネは背筋を伸ばし嫌いな生徒会長ユーキュリーネに備えた。



「あら皆さんお揃いで御機嫌よう! で、この私生徒会長のユーキュリーネを呼び出してなんですの?」


 ユーキュリーネは腕を組んで踏ん反り返った。


「見たら分かるだろーが?」

「眼の前にあんだろ、ふざけてんのか!?」


 ミラとジーノが憤ったがセレネが止めた。


「シッ、生徒会長我々討伐部の成果として同盟軍の副将機、ル・ツー千鋼ノ天の中枢部を発見した。そういう訳で部館の使用をこれまで通り認めてもらいたいです」


 言葉は丁寧だが、セレネの目は鋭かった。

お読みいただいてありがとうございます。


主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に強力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。


まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。


ル・ツー千鋼ノ天  る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。

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