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討伐部大成果?



「見て、まだ主魔法システムが生きてる」


 雪布留がハッチのロックの光を見て言った。


「じゃあこの魔呂には誰か人が乗ってるんスか?」

『私でも短時間動かせる様に、メランが大型畜念池付けてくれてましたからね。何とも言えません』


 皆の視線が猫呼に集まった。


「開けて見ようと思うの」

「猫呼先輩あれから二か月以上、貴方は中を見ない方が良いでしょう。この機体の調査は王立学院で行い、もしどなたか居れば丁重に弔います。それからでも……」


 セレネが彼女なりにやんわりと猫呼を押し留めた。その二人を雪乃フルエレがじっと見る。彼女もこういうシチュエーションに辛い思い出があったからだ。


『猫呼?』

「いいの……中身がどんな状態であれ、お父様を見届けて弔うのは私の役目よ。やっぱり今開けて見ようと思う」

「じゃあ一緒に居て上げるわよ」


 雪布留が猫呼の手を握った。


『じゃ、じゃあ臨時代用姉上の私も』

「両手握られたらハッチ開けられないし」


 という訳でスナコが手を離すと、猫呼と雪布留は一緒に外側から緊急ハッチ解放キーを開けた。


「皆避けて!」


 ピピピ、バシャッ!!

 勢いよく魔ローダー千鋼ノ天のハッチが開け放たれたが、猫呼は思わず目を閉じていた。


「これは……!?」

「うっ?」

「うーむ」

『猫呼、目を開けてみなさい』

「だから見えんて。目を開けろとスナコは書いてるゼ」


 ミラの声でゆっくりと彼女は目を開けた。


「えっ?」


 ハッチの中、操縦席の中には生きている彼女の兄、三毛猫仮面・猫名はもちろんの事、最後まで命を懸けて操縦し千岐大蛇と戦っていた父・大猫乃主の姿も何も無いもぬけの殻であった。


『どういう事ですか?』

「もしかして生きて!」


 雪布留が両手を合わせて笑顔になった。


「もし生きてらしたら姿を隠す意味も無いでしょう」

「私もそう思うわ……」


 娘猫呼が言う通り、確かに大猫乃主は命を燃やして最後まで戦い、その前に行っていた神聖連邦帝国重臣・貴城乃シューネとの高層神殿を建設させるという誓約を見届ける為に、命が消える寸前海の中に泡となって溶けて消えていた。今後は海の中から家族を見守る事になる……



 しばらく重い沈黙が続いた後に、少し皆と距離がある紅蓮アルフォードが口を開いた。


「で、折角見つけてくれたこの機体、神聖連邦帝国に返してくれるの?」

「お前デリカシーゼロか! この機体はもうあたしらのもんじゃい!」

「部長じゃいって」

『セレネ、歯向かう様なら二人がかりで口封じしましょう!』

「そうね、紅蓮くん見逃して頂戴」

「うんいいよフルエレちゃん!」


 紅蓮は一転、異常に早く食い気味に返答してセレネはコケた。


「でも考えようによっては討伐部の大成果じゃないの? 私も父の魔呂に再会出来てよかった……此処に持って来てくれた、あの竜殺さなくて本当によかったわ」


 最初に当の猫呼自身が頭を切り替えてくれたお陰で皆がやり易くなった。


「そうですね猫呼先輩、これはあたしも思わぬ大成果です」

「これでユーキュリーネの奴をギャフンと言わせるぜ!」

『では兎幸、私を大急ぎで蛇輪の元まで連れてって下さい。数時間はかかるかも知れませんが、蛇輪と私の雷でここまで大穴を開けて降りて来ます。その間この小島で待ってて下さい』

「あいあい」


 皆の間に微妙な空気が流れた……


「此処でスナコを待つ?」

「地獄だな」

「ごめん、皆私の為に足止め食って」


 猫呼がシュンとして皆がハッとして悪い事を言ったと反省した。


「じゃあスナコお願いね! 皆で楽しく待っておくわっ!」

『は、はいとにかく大急ぎで行きます!』


 そう言うと、スナコは新たに生やしたマジックハンドに足を掛けて、兎幸と共にUFOで飛んで行った。


「あれって一種のズルだよな」

「自分だけ歩かんと」

「もちろんあたしらも帰りは蛇輪に乗せてもらうよ。……紅蓮以外」

「ぐはっなんでだよセレネちゃん!」

「また焦らしプレイっスね」

「本当に仲が悪いんじゃ?」


 等とミラとジーノが言っていた直後。


「そうね、此処でじっとしていても仕方がないわ! 皆で輪になってしりとりしましょう!!」


 雪布留が唐突に笑顔で提案した。


「なしてしりとり?」

「もっと他に文化的な事は何でもありそうですが」

「でももう便利道具を出してくれる兎幸はいないのよ!」

「僕はフルエレちゃんに賛成! しりとりしよう!」


 セレネはじとっとした目で見たが、フルエレはやる気満々だった……


「じゃあ私から行くわよ~~最初はドラゴンの【ん】!」

「……」

「……」


 皆の目が点になった。あれ、この女王様もしかして頭が……? 等と薄っすらと皆が思い始めていた。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

お読みいただいてありがとうございます。


主人公3人

砂緒(すなお)  元現代日本のデパート建屋だったが、魂が発生し百年後に崩壊してセブンリーフに異世界転生して来た。硬くなる重くなる電気が出るなどの地味スキルを持つ。中程度の怪力で特に強く無い。気分次第で異常に完成度の高い女装スナコちゃんに変身する。


雪乃フルエレ  ヒロイン①【海と山とに挟まれた小さき王国】の 夜宵姫(やよいひめ) だったが家出して色々あってセブンリーフ大同盟の女王になってしまった。金髪の天使の様な美少女。魔導学園では 雪布留(ユキフル)と名乗る。


セレネ  ヒロイン②ユティトレッド魔導王国王女で髪の長い美少女だが異常に強い魔法剣士。最初嫌悪していた砂緒に猛アタックされフィアンセ同然になる。フルエレを女王に推挙した張本人。討伐部部長。


ユティトレッド魔導学園関係者

ミラとジーノ セレネの子分兼大切な友達。

ユーキュリーネ・カナルト・ヒューゴー 生徒会長でユティトレッド重臣の娘。

サトー スナコの隣の席の目立たない生徒。

学園長 ユティトレッド魔導王国の現王でセレネのおじい様。立派な長い髭がある。


仲間

依世(いよ)  雪乃フルエレの妹。 美柑(みか) と名乗り紅蓮と冒険者をやっていた。探していた姉、夜宵姫・フルエレと遂に再会したが喧嘩が絶えない。


猫呼クラウディア  東の地(中心の洲)クラウディア元王国の元王女。失踪中の兄猫名を探してフルエレ達の仲間になった。今は闇ギルドの頭目をしている。背の低いおしゃまな付けネコミミ少女。


兎幸  うさこ。リュフミュラン天球庭園の氷の博物館の館長。月で魔改造されて微妙に成長した。魔ローダーで補助機能になったり砂緒の女装に強力したりする心強いサポート係。


イェラ  元女戦士の褐色の背の高い美人。厨房で料理を作っている。麺料理屋台のチェーン展開するという野望を持つ。口数少ない性格だが砂緒の事が好き。


シャル  猫呼の部下闇ギルド員でボディーガード。腕がぐんぐん伸びる。

イライザ  喫茶猫呼店員。ぜんぜん意地悪く無い普通の子。

ニィル  イライザの兄で元浪人であったが砂緒セレネに拾われ新ニナルティナ軍幹部に。

有未レナード公  旧ニナルティナ王国の軍師だったが、ポンコツで無害だったので新ニナルティナの代表に選ばれた。雪乃フルエレ女王を盛り立て、東の地【神聖連邦帝国】との関係に悩む。


ウェカ王子 ラ・マッロカンプ王国の王子。御幼少のみぎりに幼稚園留学生として出会った依世に一目惚れしたが、彼女の裏の仕事を目撃し魔法を撃たれ死に掛けてしまった。

メア ウェカ王子の理解者でセクシーなメイドさん。しつこいくらいに玉の輿をねだる。


まおう抱悶(だもん)  可愛い熊耳の美少女だが恐ろしい魔力を秘める。砂緒と知り合った関係で雪乃フルエレ女王と大同盟を組む事となった。


神聖連邦帝国(東の地・中心の洲)

紅蓮アルフォード  【神聖連邦帝国】第二百十二代聖帝の息子。西の島、セブンリーフに単身まおう討伐を命じられて渡って来たが、美少女美柑(依世)と知り合い篭絡され、なかなか討伐する気が起きず、いつもブラブラしている。実は劇中一番強い人物だがなかなか本気で戦わない。爽やかでイケメンで真面目な風情に反し、実は人一倍女の子に興味があるムッツリスケベ。


瑠璃ィキャナリー  るりぃきゃなりー。神聖連邦帝国四旗機 桃伝説(ももでんせつ) の搭乗者であったが、紅蓮のサポートとしてセブンリーフに渡り行き倒れ、ウェカ王子に助けられ以降居候になる。かなり強い騎士だが、当地と故郷の間で悩む事になる。モデルは船〇リリィ。


貴城乃シューネ たかぎのシューネ、神聖連邦帝国重臣で主人公達と度々戦う。

猫弐矢 猫呼の兄でクラウディア王国現当主。父王である大猫乃主を失う。


魔法メカ・ロボット

魔ローダー  全高25Nメートルの騎士の鎧、プレートアーマーをそのまんま巨大化した様な、魔法力で動くロボット。魔法や物理等殆どの攻撃が効かず、魔ローダーの魔法エネルギーが乗った剣攻撃しか効かない。


蛇輪、日蝕白蛇輪  へびりん、ひばみはくじゃりん。砂緒とフルエレとセレネが交代で乗る主役機。劇中唯一の複座型で、表面は鏡の様なテカテカのメッキ調の銀色で、装甲各所に金色の華麗な装飾が施され非常に成金趣味な見た目をしている。頭部に蛾の触覚の様な巨大な二本の角があり、背中にはド派手な巨大な羽を背負い鳥型の飛行形態に変形出来る。実は砂緒の前世の前世、【等ウェキ玻璃音大王】が、ル・スリー白鳥號を参考に真似して作った機体。両手の尖った爪で突き刺した対象からスキルや能力をコピーする事が出来る。また砂緒の能力で巨大化したり強力な雷攻撃を発したりも出来る。


ル・スリー白鳥號  はくちょうごう。【まおう抱悶】の先祖である【王永嶋フィロソフィー王】が搭乗していた純白の機体。蛇輪に似ているが、よりヒロイックな形状をしている。古代にクラウディア王国で建造された。今は 【千岐大蛇】(チマタノカガチ) 退治の時に紅蓮が偶然入手し扱いに困惑している。劇中最強の機体で数々の魔ローダースキルが隠されている。かつてセレネと砂緒が制作させた【最強の魔法剣】を偶然所有しているが、標準装備の【魔法の刃の剣】も使用出来る。


ル・ツー千鋼ノ天  る・つーせんはがねのてん。猫呼の実家、東の地(中心の洲)【クラウディア王国】の旗機であったが、【神聖連邦帝国】に服従した時に彼女の兄【猫名】が乗り逃げしてしまった。その後【三毛猫仮面】と名乗った猫名がセブンリーファで暗躍して搭乗していた。その後雪乃フルエレに負け鹵獲され同盟の副将機となっていた。濃い紺色の機体に頭部に長大な一本角があり全身が鋭角的に尖っている。

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